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補給機へ

 マキの機体は敵陣の奥へと向かっている。ほとんどの敵を無視しているが積極的に挑んでくる敵には相手をしている。

『さすがジャックですねー。C判定って嘘でしょ?』

「残念ながら本当だ」

 傍から見たらC判定だったなんて信じられないだろうが、それは事実だ。

『まあ、壊れていたかなにかでしょう。そろそろメンテナンスが必要みたいですね』

 その会話の間にも一機墜とす。

 今マキは敵陣の奥にある魔力補給機に向かっている。

「場所は間違っていないんだろうな」

『大丈夫です。私を信じてください』

 アリサによるとこの奥に補給機があるらしい。陸はなんとか堪えているため、先に劣勢に立たされている空の補給機を壊そうという考えだ。

「魔力と言うのは補給できるのか?」

 気になっていたことを聞いてみる。

『説明しましょう』

 魔力の根源は人間や動物などの生物だ。魔力は個人差はあるものの一度に出せる量と言うものが決まっている。この世界の機械はほぼすべて魔力を使う。戦車や戦闘機も例外ではない。全力で戦うには魔力を大幅に使ってしまう。そんなのでは長期戦に対応できない。それを解決するために作られたのが魔力補給機である。魔力は人から人を通せば渡すことができる。それを遠距離でもできるようにしたのが補給機だ。補給機は普通の機体よりも大幅に大きく作られており、その中には奴隷のような人間が大人数乗っている。その人たちが魔力を機体へ補給し、その機体から他の機体へと補給するのだ。

『渡し方は、そうですねぇ、無線と同じ方法と考えてもらって構わないです』

「なるほど。しかし、奴隷に魔力を提供させるというのは許せないな」

『それが問題なんですよね。魔力を補給できるのは嬉しいことなのですが、非人道的なんですよね。世界各国で議論されてますよ』

 どこもかしこも問題を抱えているようだ。

『人間じゃなくて動物に補給させればいいという考えもあるんですが、それはそれで動物愛護団体の方がうるさいんですよね』

 レーダーに映し出されている補給機の位置にはもう少しだ。そろそろ肉眼で見れるようになってもおかしくないはずだ。

「発見」

 レーダーの位置とも合っている。機体も周りと比べて大きい。あれだ。

「何をすればいいんだ?」

『後ろに魔力を溜める場所があります。それを壊しさえすれば大丈夫です。場所は一目でわかるはずです。補給機ですから武装もしてないはずです。落ち着いて狙ってください』

 補給機に近づくと、周りの護衛機たちがこちらに気づいて向かって来る。

 マキは舌打ちをする。敵は四機。一分隊って感じだろうか。もしも分隊だとしたら連携してかかってくるだろう。注意しなければいけない。

 最初に威嚇がてらミサイルを撃ってみる。案の定フレアでかわされる。やはり機銃が一番か。

『対空ミサイル残り10です』

 アリサの声が疲れている体に染みてくる。機械音のはずなのになぜか落ち着く。

 すれ違いざまの一機に機銃を撃つ。思ったより当たってくれたのか、排熱部から火が出ている。撃墜とはいかないが無力化をできたようだ。恐らくあの機体はもう戦えないだろう。これであと三機。

 インメルマンターンをして、敵を追いかける。どうやら敵は自分より高度の低いところにいるようだ。レーダーを頼りにその機体の後ろにつこうとする。

 急に後ろから撃たれる。急旋回をしてこれ以上の被弾を避ける。

『被弾。戦闘に影響はありません』

「了解」

『この機体装甲厚いんです。ちょっとの攻撃じゃ墜ちません』

 コブラを行い、敵の機体の後ろに回る。撃ってきた敵に機銃のお返しをする。

『敵機撃墜』

 残り二機。

 二機にロックオンしたのちミサイルを放つ。さっきと同じでフレアでかわされる。

『残り8』

「アリサ、なんであの敵はローリングでかわさないんだ?」

 今まで戦ってきた敵の動きを見ると、フレアを使わないでローリングを使って攻撃をかわす癖があるらしい。もしかしたらフレアやジャマーを積んでないのかもしれない。

『え、ああ。あの機体はローリングできませんよ』

「そういうことは先に言ってくれ」

『あ、すいません』

 初めての戦場で初めての戦闘だ。知ってることなど皆無と言っていいだろう。

 相手がローリングができない機体ならこっちのものだ。この機動力とマキ自身のパイロットとしての力があれば相手がエースではないかぎり負けることなど無いだろう。

 さっきまで相手はどのようにして動いてくるのかを予想できなかったが、今の相手は簡単に予想できる。ローリング頼みのせいかできない機体に乗ってしまうと新米パイロットぐらいになってしまうらしい。

 もて遊ぶように一機を撃ち墜とす。

『残り一機』

 その一機はやばいとでも思ったのか尻尾を巻いて逃げ出した。

 マキはバーナーを炊き、機体を追いかけ機銃を放つ。何の抵抗もなく墜ちて行った。

『今の敵に撃った機銃、全部命中しましたよ。もうあなたバケモンですね』

「よく言われてたよ」

 地球の頃、不死身の分隊だのバケモン分隊だのいろいろ言われたものだ。敵味方問わず畏怖の対象だった。

 護衛機はいなくなった。これで補給機に集中できる。

『ミサイルアラート!』

 突如機内に警告音が鳴り響く。急いで旋回しスレスレでミサイルを避ける。

「どこからだ!」

『補給機からです!』

「補給機は武装してないんじゃないのか?」

『そのはずなんですが……』

 今愚痴愚痴言っててもしょうがない。できることをするだけだ。

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