プロローグ
のんびりゆっくり更新していきたいと思います
正直ありきたりの設定なのでほかの小説と被ったりしているところがあるかもしれませんが真似しているつもりはありません、ご理解をお願いいたします
星が煌めく宇宙。そこに幾多の戦闘機が駆け回る。
『状況を教えてくれ!』
『こちらが押されております!』
オペレーターが答える。劣勢の戦場に駆り出されることは日常茶飯事だ。
エース分隊。そう言われてからどのくらい経つのだろうか。そう呼ばれるようになってから数えきれない程の戦場へ赴き、数えきれない人を殺してきた。果たして自分はこれを望んでいたのだろうか。一人の男がぼんやりと考える。
『おい、マキ』
隊長が男の名前を呼ぶ。
「はい」
『ボーっとしているなよ』
「分かってます」
必要最低限の言葉を返し、まっすぐ前を見据える。そこには敵味方の戦闘機が入り乱れていた。
『よし、シャーク隊。行くぞ』
分隊は戦闘の渦へと呑み込まれる。
『0-4、ミサイルアラート!』
フレアをばら撒きミサイルを避ける。
後ろの敵には構わず前の敵に集中する。味方の数が少ない。軽く20機は落としたはずなのだが。それでもこの戦力の差だ。覆せるのだろうか。
敵に狙いを定め機銃を撃つ。あっという間に戦闘機は鉄屑と化す。破片にぶつからないように素早く旋回する。
『ロックオンされています!』
コックピット内に警告音が鳴り響く。今度はジャマーを撒きながら旋回する。一応ロックオンは外れたが、敵戦闘機はしつこく喰らいついてくる。
「雫。後ろの敵を墜としてくれ」
同じ分隊の雫に援護を求める。
『えー、めんどくさい。自分でやりなよ』
この生意気な女め。心で罵倒しながら、旋回を続ける。しばらく鬼ごっこを続けていると、目の前から別の戦闘機が向かって来るのを見つけた。
マキは素早くその戦闘機の方に機首を向け、すれ違う。
後ろから轟音が聞こえてくる。どうやら狙い通りになったようだ。相手方はすれ違いに失敗して正面衝突したのだ。
『敵要塞発見』
通信が入ってくる。今回の戦いは敵の超大型要塞を壊せば任務達成だ。
『光学迷彩の要塞ねー。すごいもの見ちゃったな』
『蓮、無駄口をたたくな。シャーク隊、全力であれを破壊せよ』
『了解』
分散してそれぞれ要塞に向かう。試しにミサイルを放つが、傷一つ与えられない。戦闘機に積める程度のミサイルごときで傷つけられるなど到底思っていないが。
『敵対空機銃展開』
機首を反転させ一旦距離を置く。さて、どうしたらいいものか。考えていると要塞の中心部分が不気味に光り始める。
『っ、回避行動を取れ!』
言われるまでもなく、要塞の下に陣取る。
要塞は光を徐々に強くなり、一瞬消えたと思った次の瞬間、戦闘機に向かってレーザー光線を放った。
「敵味方関係なしか」
相手は仲間の事なんかどうでもいいようだ。勝利第一。好きに慣れない考え方だ。
『今の光線のチャージ中に攻撃できそうね』
『よし、解析を頼む』
『もうやってます!』
仕事が早くて何よりだ。頼りになるオペレーターだ。
『解析完了。データ送ります』
さっそく届けられたデータを開く。チャージ中に要塞後部にある排熱部分が露わになるらしい。そのタイミングに攻撃を仕掛ければいいってわけだ。
『よし、マキ排熱部分への攻撃は任せた。残りは敵戦闘機とレーザー攻撃を出させることに集中しろ』
「了解」
残り二名からブーイングが聞こえるが関係ない。攻撃に備えて装備を再確認する。
ミサイル10。機銃はまだまだ余裕ある。フレアとジャマーは底を尽きかけている、が問題ない。燃料はまだ半分以上ある。戦闘機自体に不備は無し。よし、行ける。
『敵チャージ開始』
懐から一気に飛び出し排熱部分を探す。素早く探しだし、一直線にそこを目指す。出せる分のミサイルを一気に放ち、機銃も同時に撃つ。
ミサイルの着弾と共に要塞の爆発と黒煙を確認。案外もろいな。
「どうだ?」
『チャージの中断を確認。……ダメです、まだ墜ちそうにありません』
「もう一回か」
『マキ、代わってあげてもいいんだよ』
雫の問いを無視し、目の前の要塞に集中する。
コックピット内に警告音が鳴り響く。ロックオンされたようだ。素早くジャマーを撒く。しかし、ジャマーのタイミングが遅かったらしく、警告音がミサイルに狙われているものに変わる。優雅にミサイルを避けている時間が無いため、最後のフレアをばら撒きミサイルを避ける。旋回してなんとかその戦闘機を巻く。その後ろには蓮の戦闘機が見えた。
自ずと笑みがこぼれる。頼もしい仲間がいる。なんて嬉しいことか。
『チャージ開始』
オペレーターの声が聞こえる。素早くさきほどの位置に向かい、攻撃を仕掛ける。
最後のミサイルの着弾と共に再び爆発が起き、黒煙が立ち上る。
「どうだ」
『チャージの中断を確認しました。要塞は、まだみたいです』
ミサイルはもう尽きた。攻撃を代わってもらうしかあるまい。対空機銃の届かない要塞の懐に再び陣取る。
『っ!シャーク隊早くそこから逃げてください!要塞が崩れます!』
「どっちなんだよ!」
文句を言いながらもバーナーを炊き、全速力で要塞から離れる。
残りのシャーク隊に合流し要塞の崩落を見る。
『敵要塞の崩壊を確認。ミッション終了です。帰投してください』
ようやく戦いが終わった。オートパイロットに切り替え、座席に身を沈める。
『マキお疲れさん』
『隊長、私たちには?』
『みんなもよくやってくれた』
通信画面に各々の顔が映る。ヘルメット越しとはいえみんなの顔を見ると自ずと落ち着く。しかし、ほっとしたのもつかの間
『マキさん!ミサイルアラートです!』
警告音が鳴り響く。大きく旋回し回避行動を取る。
『マキ、フレアは!?』
「もう無いです!」
回避行動も無駄になり、機体に着弾する。なんとか壊れずに済んだが次喰らったら宇宙の藻屑となってしまう。
『各機散開!敵戦闘機は墜とせ!』
『了解!』
『マキ、なんとか逃げててね!』
雫の言葉に苦笑いを浮かべ、バーナーを炊き全速力で逃げる。なんとかミサイルの範囲から逃れればいいのだが。
『敵いねえぞ!』
『探せ!まだ近くにいるはずだ!』
再びミサイルアラートが鳴り響く。ロックオンの警告音が無かったことに驚きながらも素早く旋回し回避行動を取る。
レーダーでは機体の真後ろにミサイルが迫っていた。
「ちっ」
小さく舌打ちを残し、マキの戦闘機が撃ち墜とされた。
前書きでも書きましたがとても不定期更新となります
ご了承ください