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十年の眠りの間に、私の弟子は最強になっていた  作者: あさび


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第十一話 まだ届く距離

棚を整理し、薬草の品揃えを確かめる。


減っているものは後で仕入れなければならない。


隅々まで箒で掃き、カウンターやテーブルを拭くと、朝の支度はひと通り終わった。


野菜を刻み、スープの下拵えをする。


仕込んでおいたパンの生地を並べ、オーブンに火を入れた。


いつもより少し多めに作るパンとスープは、朝の楽しみだ。


目を覚ました時、疲労が抜けきっていないことに気づいた。


仮眠は取ったはずなのに、身体が重い。


魔力の乏しい肉体は、思った以上に不便だ。


それでも店は開けなくてはならない。


待っている人たちがいる。


疑いを向けられないためにも、日常を崩すわけにはいかなかった。


昨夜、剣身が交わった瞬間を思い出す。


あれは、リオだった。


申し分ないほど強くなっていた。


自分自身を守れるほどに。


胸の奥が、わずかに緩む。


ちゃんと、生きている。


それだけで十分だと思った。


もう、私がいなくても大丈夫。


小さく息を吐く。


それなのに――


かつて隣に立てた距離が、ふいに恋しくなる。


――戻りたい。


思ってしまった自分に、少しだけ驚く。


けれど、その感情を掘り下げることはしなかった。


窓の外へ視線を向ける。


十年前と同じ歪みを、確かに感じた。


結界の綻び。


そして、あの気配。


竜。


あの日、消えたはずの存在。


胸騒ぎが消えない。


けれど今はまだ、空は穏やかで、街は静かだ。


すべてが明らかになるまでは離れられない。


それだけは確かだった。


アウレリアは深く息を吸う。


オーブンから焼き上がりの香りが漂ってくる。


そろそろ良い頃合いか。


キッチンへ足を向けた。


今日も一日は始まる。

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