表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/2

2

「その武器、面白いわね」


 ミリンダルが、ジローとミア&トラコの銃に興味を示す。


「そっちの武器は出鱈目(でたらめ)な強さだな」


 ジローが呆れた。


 ミア&トラコが、コクコクと頷く。


 5人は最上階である5階に到着した。


 フロアは、ここまでで1番の数の敵がひしめいている。


「ミリンダル」


「ええ」


 ラファンタの呼びかけにミリンダルはハンマーを振り上げ、敵に突進した。


「左右を片付けるぞ!」


 ミア&トラコに指示したジローの大口径ハンドガンが火を吹く。


 それを合図に、宇宙傭兵娘2人も銃撃を開始した。


 薄暗い塔内に銃の発射光と、聖女2人の放つ温かな光が輝いた。


 敵中に飛び込んだミリンダルの背後は、ラファンタが構えた円盾が守る。


 激しい攻防の果て、とうとう闇獣たちは数を減らし、勢いを弱め始めた。


「このまま押し切るね!」


 ミリンダルの宣言に、ラファンタ、ジローとモッキュ、ミア&トラコが頷いた、その時。


 銀のハンマーを振るう聖女の周りに残った怪物たちの陰から、上腕部が鋭い刃となった明らかに上位の魔物が4匹、飛び出した。


 この奇襲に、さしもの聖女2人もハッとなり、反応が遅れる。


 4獣の8つの刃が、ミリンダルの首へと迫った。


 刹那(せつな)


 ジローの双眸が、ギラリと光る。


 彼は元々は、遺伝子操作によって造り出された12人のハイブリッドソルジャーの1員だった。


 左手のブレスレットから特殊な薬剤を体内に注入し、高速の知覚を得ることが出来たのだが。


「これは今となっては、かなり昔の技術だよ」とミアの姉レラの元カレ(元サヤの(きざ)しはある)で、恋人ならぬ変人のメフィスト博士は評した。


「身体への負担も大きい。僕のオペで、もっと使い勝手を良くしてあげよう」


 マッドサイエンティストの提案を受け入れ、ジローは新たなサイバー手術を施された。


 といっても、メフィストが造ったナノマシンを体内に注入しただけなので、一瞬で終わったのだが。


 (ちな)みに、このナノマシンはレラの身体も構成している最新バージョンである。


 それら無数の微細機械(びさいきかい)が、以前の薬剤とは違い、ノーリスクで少年戦士の知覚をブーストする。


 ジローの両眼は瞬時に敵4匹の頭部をロックオンし、すさまじい早業(はやわざ)で引き金を引いた。


 大口径ハンドガンから発射された4発の銃弾は、美しい聖女を絶妙に避け、周りの4獣を撃ち倒した。


 さらにミリンダルに迫ろうとする他の魔物たちは、ラファンタが投げた回転する円盾が、全てなぎ倒す。


 残りの敵も、ミア&トラコの銃が片付けた。


 とうとう、このフロアの闇獣は全滅した。


「ひゃー! 終わったー!」


 ミアがハンドガンを腰のホルスターにしまい、自らの細身を両腕で抱き締める。


 トラコも額の汗を(ぬぐ)い、ひと息ついた。


 モッキュが「皆、お疲れ様ー」と、冷たいおしぼりを配って(ねぎら)う。


「ジロー、ありがとう。助かったわ」


 ミリンダルが、キュートにウインクした。


朝飯前(あさめしまえ)だ」


 ジローが、ニヤッと笑う。


「あれよ」


 ラファンタが、怪物たちの居なくなった部屋の中央を指す。


 そこには真っ黒な、人の頭大の球が浮いていた。


 ジローと向き合っていたミリンダルが、振り返って闇球にハンマーを投げつける。


 聖なる武器の直撃を受けた、ミッドランドに居る闇巨人の核のひとつは粉々に砕け、宙に溶けた。


「これでよし」


 戻ってきたハンマーを腰帯にしまい、ミリンダルがニコッと笑う。


「あなたたちのお陰で、時間を短縮できた。感謝します」


 ラファンタが、ジローとモッキュ、ミア&トラコに頭を下げた。


「ありがとう、皆」と、ミリンダルも同様にする。


 ジローは眉間にしわを寄せ、モッキュはニコニコしている。


「エヘヘ」とミアが照れ、トラコは誇らしげだ。


「さあ、ミッドランドに帰りましょう」


「ええ」


 ラファンタの(うなが)しに、ミリンダルが頷く。


 聖女2人は宇宙傭兵たちに手を振り、階段を下りた。


 残った4人の会話が聞こえてくる。


「はぁー、ホントに良かったー!」


「ホンマやな。ミア、すごい顔で撃ちまくってたやん!」


「えー!? だって、レラお姉ちゃんが居ないお仕事は初めてだったから、仕方ないよ! ちょっとトラコ、笑いすぎ!」


「ミアちゃん、大活躍だったね!」


「ありがとう、モッキュちゃん! そだ、ジローさん!」


「ん?」


「私の、レラお姉ちゃん同伴なしの初仕事、100点満点で何点でした?」


「あー? 5点」


「ごごご、5点!?」


「ジローさん、辛口(からくち)やなー」


「5点!? 5点って、何ですか!?」


「そだな…ちょっと甘いか」


「そそそ、そっち!?」


「ダメだよ、ジロー! ミアちゃん、大丈夫! モッキュポイントを10000点、あげるから!」


「ここ、今度は10000点!?」


「俺もモッキュポイント欲しい!」


「アカン! ジローさんの眼が、またハートになってしもてる!」


 大騒ぎする4人の声に、ミリンダルとラファンタはフフフと笑い合った。


 塔の外に出た2人はユニコーンに乗り、颯爽(さっそう)と走りだす。


 ミッドランドでの、闇巨人との戦いが待っているのだ。




 おわり


































 最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)


 大感謝でございます\(^o^)/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ