表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

1

 7聖女たちの別世界での活躍のひとつ。




 ミリンダルとラファンタを乗せたユニコーン2頭は、黒雲に覆われた空の下に建つ、不気味な塔に到着した。


 2人は、一角獣から降りた。


 並んで、塔の中に入る。


 そこは戦場だった。


 広間で、崩れた柱や壁に隠れつつ、4人の男女が中央の闇へと銃撃を加えている。


 まず1人は、10代半ばほどの少年だ。


 宇宙傭兵の軽アーマースーツに身を包み、右手の大口径(だいこうけい)ハンドガンを連射し、接近しようとする無数の闇生物たちを的確に倒している。


「ジロー!」


 少年の名を呼んだ、ライトアーマー装備の愛らしい小熊型宇宙人が、レーザーガンを投げた。


 ジローはそれをキャッチし、弾の切れたハンドガンと持ち替え、再び撃ちまくる。


「サンキュー、モッキュ!」


 パートナーの感謝にモッキュが、かわいすぎるサムズアップで返した。


「キャー! あっち行ってー!」


 モッキュの横で、ジローよりも少し年下の少女が、両手に持ったノーマル・ハンドガンを闇雲に撃っていた。


 若者に人気のコンバット・スーツに、ピンクのヘルメットを被っている。


 ヘルメットにはホログラムのアニメステッカーが、ベタベタと貼ってあった。


「ちょっとちょっと、ミア! しっかり狙って撃ってや!」


 ミアと同年代で同じく小柄な、黒と黄のボディスーツに防弾ジャケットを羽織(はお)ったクシャクシャ髪の少女が、コンパクトタイプのアサルトライフルを連射しながら注意する。


「だって、トラコ! いっぱい居て、怖いんだもん!」


 ミアがトラコに涙目で訴えた。


 確かに彼らに迫る闇獣たちは人間大ではあるが、数が多かった。


 4人(実質ガンナーは3人)の銃撃の激しさにもかかわらず、奥から湧いてくるのか、敵はいっこうに減る気配がないのだ。


 2人の聖女は、彼らの(そば)に立った。


「「「「え!?」」」」


 ジローとモッキュ、ミア&トラコが驚く。


 ラファンタの円盾が飛び、宙を旋回して、黒い魔物たちをなぎ払った。


 ミリンダルが敵中に突進し、片手用ハンマーでとどめを刺していく。


「今だ!」


 ジローの指示で、少年少女たちの銃撃が再開する。


 聖女たちの加勢によって、闇獣は全て動かなくなり、粉々に消失した。


「ふぅ」


 ジローが、ひと息つく。


 モッキュが、彼の額の汗をハンカチで甲斐甲斐(かいがい)しく()いた。


 ミアとトラコも、ホッとしている。


「お姉さんたち、ありがとう!」


 モッキュが、聖女2人に礼を言った。


「あら、この子!」


 ラファンタが、眼を丸くする。


膨大(ぼうだい)な闇の(ちから)を秘めてるわ」


「本当!」


 ミリンダルも驚いた。


 2人の眼差しを受け、モッキュは慌てた。


「あ! ボク、元々は破壊神的な生き物だったから…」


 ジローが、モッキュの前に出て(かば)う。


「今は大丈夫だ。ヤバい(ちから)は上手く封印してる」


 彼が聖女たちを、にらんだ。


「だいたい、あんたたち何者だ?」


「ミリンダル」


「ラファンタ」


 2人は名乗った。


 ジローとモッキュ、ミア&トラコも名乗る。


「私たちは7聖女」


「7聖女?」


 ラファンタの説明に、ジローが首をひねった。


「アイドルグループか?」と、ミアに訊く。


「ううん。知らないよ」


 ミアが答える。


 トラコも、首を横に振った。


 ラファンタは、彼女たちがここに来た経緯(いきさつ)を話した。


「なるほどー」


 モッキュが、腕を組む。


 かわいい。


「お姉さんたちの世界が危ないってことだね。それで、この塔に居る悪いものを壊しに来た」


 ミリンダルとラファンタは頷いた。


「あなたたちは、どうしてここに?」


 今度はミリンダルが訊く。


「アタシたちは田舎の惑星の、このエリアに急に正体不明の塔が現れたから調べて欲しいって依頼を受けたんや」


「そうそう」


 トラコの説明に、ミアがコクコクと頷く。


「今回、初めてレラお姉ちゃんと別行動でトラコと2人でここに来たら、偶然、ジロモキュさんも同じ依頼を受けてたの! それで4人で塔に入ったら、いきなりさっきの怪物たちが!」


 闇獣たちを思い出したのか、ミアが表情を曇らせた。


「なるほど」


 納得するミリンダルの隣で、ラファンタは天井を見上げた。


「上から、悪の気配がするわ。それにここ、私たちも敵も魔力が弱まる結界が張られている」


「だから、この子たちの非魔法武器でも闇の生き物を倒せたのね。どうして、そんな結界を?」


 ラファンタの分析に、ミリンダルが問う。


「時間稼ぎでしょう。どちらも魔力を使いづらければ、自然と戦いは長引く。その(あいだ)に闇の巨人がミッドランドで暴れだす」


「敵は用意周到(よういしゅうとう)ね」


 ミリンダルが、ため息をついた。


「でも、私たちは幸運よ」


 ラファンタが微笑む。


「どうして?」


「彼らは、敵にとってのイレギュラーなの」


 ミリンダルの問いに、ラファンタがジロモキュとミア&トラコを見る。


「手を借りましょう。急がないと」


「おい! どうして俺たちが手を貸す流れになってんだ!?」


 ジローが両眉を吊り上げた。


「え!? ジローさん、手伝わないの!? 私、手伝う!」とミア。


「アタシも手伝う!」


 トラコもミアに賛同する。


「いや、信用できるのか?」


 ジローが、聖女たちをジロジロ見る。


「このお姉さんたちは悪い人じゃないと思う!」


 モッキュが元気よく、手を挙げた。


 かわいい。


「ジロー! ボクたちも手伝おうよ! お願い!」


 甘えるモッキュを見たジローの両眼が、ハートになった。


「よし! すぐに片付けるぞ!」


 一転(いってん)して、俄然(がぜん)やる気になったジローは、ミリンダルとラファンタの後に続いて、階段を上に進んだ。


 モッキュとミア&トラコも続く。


 途中で1階と同じ怪物たちが襲ってきたが、ラファンタの円盾が防ぎ、その(すき)にミリンダルのハンマーとジローの大口径ハンドガン、ミアのハンドガンとトラコのアサルトライフルが撃退した。











































評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ