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ごっどぶれすゆー スサノオ様本気出す?  作者: 宮城 英詞
何事も、水に流すが世の習い
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大盛況なんだけど……

 不安しかない状況で開店したパチンコ店だが、なぜか盛況なまま数か月が過ぎていた。

確かに周辺からよくごみが舞い込んできてすぐ汚れるし、観葉植物はいつの間にかイミテーションのものに変わっていったようだが、店そのものは好調なままのようである。

最初は物珍しさからくるものかと思ったが、勢いは衰える様子がない。

あの日から何か月も立ったその日、仕事帰りにその道の前に通りかかった俺は、らんらんと光るパチンコ屋のネオンサインをながめ首をかしげていた。

またも、たまたまばったり会った千住院もさすがに気にかけてはいたらしい、俺の誘いについては来たのだが、同じく順調にお店が回っている様子に実に奇妙な感覚を覚えたようだった。

「……あんだけ疫病神に好かれた土地でも。何とかなるもんやなぁ。」

「そうなんですよ。あの手の神様は何にもしないことで商売が好調になるなるものなんですけどねぇ。」

ビルを解体してスサノオ様を浄化したように、人間の努力である程度この手の厄神の力を弱めることはできる。だが、今回の状況はそれどころの話ではない。

ゲームに例えるならば、運のステータスが残らず0になっている状況だ。

どんなに頑張っても伝染病で店が閉鎖されたり車が店に突っ込んできやすい状況なのでである。

 多分あの量の穢れが蓄積すれば都市伝説が生まれかねないほどの不可解な災厄が連発すると思っていたのだが……。

今のところ、おかしな話は聞こえてこない。それどころか連日大賑わいと話題になっている。

 俺自身も、忙しいスサノオ様とアポが取れず。最近は会えずじまいになっていた。

それと、不可解な点がもう一つ。

千住院もそれに気づいたらしい。

パチンコホールに近づこうとした彼は、数歩踏み出した段階でそのおかしさに気づいたらしく足を止め、その建物全体を覆うものに気が付いた。

「……なんじゃこの禍々しい気は!」

「そうなんですよ。まったく浄化されている気配がないんです。」

人間とはいえ、霊感の我々にははっきり感じ取れる。それは以前の廃墟と同等の、穢れた気配だ。

流石にムカデなどが這いまわっているイメージは見えないが、黒くくすんだ靄のようなオーラが見える。晴れた日でもこの近辺だけ曇天の日のような空気が流れているのである。光るネオンサインのせいか、何か魔王か何かの城のようにすら見えてくる。

「アミューズメントなんてお祭りみたいなものだから浄化が進むと、明石さんは言っていたんですがねぇ。」

「……むしろ、煩悩を増幅しとるように見えるぞ。」

 表向きはともかく、霊的には不安いっぱいなこの状況。俺たちはそれに胃がわしづかみされたような不安感とストレスを感じ思わず胸を押さえた。

一体なぜこんなことになっているのか?

ここ数か月通りかかるたびにその疑問が大きくなってきていたのだが、千住院も同じ感想となるとやはり気のせいではあるまい。

 そしてその答えは、意外にあっさり見つかった。

「おい榊、あれ見てみろ。」

 最初に気づいたのは千住院だった。

 彼が指さした方向を見ると、横断歩道を渡ってこちらにやってくるパチンコ目当ての人間の集団だった。

彼らが俺たちの前を横切り、パチンコホールに入っていくまでの間彼らを眺めていた俺たちにははっきり「見えて」いた。

それは、お客さん一人一人に寄り添うようにぴったりと「憑いて」いる貧乏神の群れが、それぞれの人間をパチンコホールに導いていく姿だった。

「……まさか。」

俺たちは顔を見合わせ、一つの答えを導きだそうとしていた。

それは盲点とはいえ、考えたくもない答えだった。


大盛況なんだけど

なんだかオーラが禍々しい

大盛況なんだけど

胸騒ぎが止まらない

そんなこんなで榊君。

このお店の秘密に迫る。

さてその内容は?

続きは次回のお楽しみ

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