第13回『ダンジョンに蠢く怪物・ロックスパイダー3』
しかし、我々取材班はここでふとあることを疑問に思いました。
魔力球カメラは光源となる程度には明るく、これだけ近よっていれば十分に眩しいはずです。ロックスパイダーには、通常の蜘蛛と同じ八個の目を持っています。
足などを折り曲げて丸くなってはいますが、目はしっかりと露出したまま。
だというのに、ここまで近づいた魔力球カメラに一切反応を示さないのは、なぜなのでしょうか。
「その理由は簡単です。あのロックスパイダーは今、一部の感覚以外全てを休眠状態にしているからです。
つまり目も一切機能しておらず、明るさに関係なく見えていないんですよ」
体を小さく丸めて岩に擬態しているロックスパイダー。
そうして擬態している間、彼らはほぼ機能停止状態に近いのだそうです。機能しているのは、糸の振動や動きを感知する器官のある口の周辺だけ。
ですからこの時のロックスパイダーは、それこそ大地震が起きて生き埋めにされたとしても気づくことはありません。
ある意味では、バレにくい理想的な擬態と言えるでしょう。
では、ここでロックスパイダーの目について博士に説明をして貰いましょう。
「彼らの八個ある目は、一対ごとに果たしている役割が違っています。
暗視、体温感知、音波感知、そして通常の視界。これらを使い分けることで、洞窟内でも正確に獲物を捉えることができるんです」
四対の目がそれぞれ違う役割を持っているからこそ、どれかが使えなくなったとしても獲物を見失う心配がない。まさにゴーレムだからこそ、とも言えるその構造には驚かされるばかりです。
ちなみに彼らの八本ある足もまた、丸まっている状態の時にも言ったように、ゴーレムならではの構造をしています。
「そうですね。彼らの足は非常に可動域が広く、さらに関節部も多いため通常ではありえない軌道で動くことができるようになっています。地面からジャンプして、途中から足を180度回転させて天井に張り付く、なんてことも」
ゴーレムという非生物だからこそできる動き。
それもまた、洞窟という狭い場所で機敏に動き回るために必要な構造なのでしょう。ダンジョンという限られた場所に生息するために特化した肉体。
これこそロックスパイダーに限らず、ダンジョンに生息するモンスター全ての特徴と言えるかもしれません。
少し短いですが、キリがいいのでここで一度区切ります。
読んでいただき、ありがとうございます。
その4へ続きます。
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