第13回『ダンジョンに蠢く怪物・ロックスパイダー2』
「そういえば皆さんは、ロックスパイダーはどうやって獲物を捕まえると思いますか?」
突然の博士の質問に、我々は何を当然のことを聞くのかと思ってしまいました。
スパイダーという名前がある通り、蜘蛛のように通路に巣を張って、通路を通る獲物を捕まえると考えるのが普通ではないでしょうか。
しかし、博士は苦笑しながら首を横に振ります。
「ロックスパイダーは確かに蜘蛛のように糸を使って獲物を捕らえます。
ですがそれは巣を張るのではなく……地面を見てください」
博士に言われてカメラを下へと向けます。すると、当然ながらそこには土がむき出しになっていますが、よく見ると3㎝ほどの太さをした白い線のようなものが一直線に引かれているではありませんか。
まさか、この白い線がロックスパイダーの糸なのでしょうか。
「その通り。彼らの厄介な点は、通路全体を塞ぐように巣を張るのではなく、こうして地面に糸を置いておくことです」
当たり前ですが、魔力球の光があったとしても洞窟内は非常に見通しが悪くなっています。
我々取材班が今カメラ越しに地面の糸を発見できたのも、博士に注目してみてと言われたからに他なりません。
であれば当然、普通にダンジョン内を移動している場合、発見はより困難なものとなるでしょう。
ですが糸は見つけることができたものの、肝心のロックスパイダーの姿は周囲に見当たりません。今回の主役であるロックスパイダーは、一体どこにいるのでしょう。
我々はロックスパイダーを見つけるために、地面に引かれている糸を辿ってみることにしました。
そうして糸を辿ること数十分……ついにロックスパイダーの姿を見つけることに成功しました。
洞窟の壁の下側、そこに空けられた50㎝ほどの不自然な穴の中。その中へとカメラを動かしていくと……いました。
長い手足を縮めて丸い岩のようになっている、ロックスパイダーです。地面に続いていた糸は、ロックスパイダーの口元へと繋がっています。
名前の通り蜘蛛のような見た目をしていますが、その全身は岩で構成されています。
ですから縮めている足も、一本一本綺麗に折りたたまれていて、一見するとそういった玩具のようにも見えます。
「スパイダーという名前から、彼らを生物だと思っている人も多くいます。
でも実は彼らは非生物……つまりゴーレムの仲間になるんです」
博士の言う通り、ロックスパイダーを岩を纏った蜘蛛のモンスターだと思っている人間は、探索者を含めても意外と多くいるのです。
しかし実際にはゴーレムと同じ、非生物型のモンスターなんですね。
そういう事実を知ったうえで丸まっているロックスパイダーを見れば、なるほどあちこち不自然な折れ曲がり方をしているなど、生物ではありえない構造をしているのが見えてきます。
「ロックスパイダーの体は全て岩で構成されており、胴体部の背中側中心にゴーレムが動くために必要な魔力結晶が埋まっています」
カメラを動かして丸まっているロックスパイダーの背中を見てみると、確かにその中央には紫色に光る直径10cmほどの魔力結晶を確認することができました。
魔力結晶の周りには幾何学模様が描かれており、これがロックスパイダーを動かすための魔法陣となっているのでしょう。
これこそ確かに、ロックスパイダーがゴーレムだという証なのです。
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その3へ続きます。
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