表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/83

第2回『平原の厄介者・ディグラビット1』

この小説に目を留めていただきありがとうございます。

皆様の暇つぶしになれば幸いです。

 この世界にはさまざまな生き物――モンスターが存在しています。山と見紛うほどに巨大なドラゴンをはじめとして、陸海空を問わず人間よりもはるかに広大な範囲に生息するモンスター達。

 しかしその生態を知っている人は、意外と多くありません。私たちにとって身近な存在でありながら最も遠い存在。

 そんな異世界のモンスター達の生態に、迫っていきましょう。


 第2回はスライムと同じぐらい、我々が普段から目にするモンスターのディグラビット。

 一般家庭にも食用肉として並ぶことが多く、スライムと同じように街道沿いの平原を動き回っているところを目にすることがあるでしょう。

 我々が知る動物のウサギとは、見た目こそ似ていますがその生態は全く違っているディグラビット。


 自分が良いと思った場所なら、コンクリートで舗装された道ですら穴を掘ってしまう彼ら。

 その生態から、平原の厄介者としても知られています。


 最近の研究では、そんな彼らの知られていない生態も明らかになってきました。

 今まで知らなかったその生態に、今回は迫ってみたいと思います。

 それでは世界モンスター紀行、はじまりです。




●世界モンスター紀行

 第2回『平原の厄介者・ディグラビット』




 今回の舞台は、前回と同じくトーキョーの周りに広がる平原。

 他の街へと続く舗装された道路以外には、次元融合以前にあった建物の残骸以外、人工物は見当たりません。平原の奥には森が見えますが、今回の主役である牙ウサギが主に生息するのはその少し手前。


 トーキョーから10kmほど離れた森と平原のちょうど中間地点に広がる、背の高い草が生い茂る地帯。彼らはその付近を拠点として広く生息しています。

 このあたりの地面に目を向ければ――ありました。

 直径40㎝ほどの少し大きめの穴が、周辺の地面のいたるところに空いています。あちこちに空いているこの穴こそ、ディグラビットの巣穴なのです。



 体長はおおよそ40㎝、そして体の高さはその半分ほどで体重は平均して2㎏前後。

 体の表面には地面と同じ茶色の体毛が生え、通常のウサギと同様長い耳も持っています。

 見た目だけなら愛くるしいディグラビットですが、モンスターと呼ばれるだけあって、通常のウサギとは大きく違っている部分も数多く持っています。



「ディグラビットは、基本的に巣穴の中だけで生活をしています。

 背の高い草が生えている地帯の近くに巣穴を掘るのは、あまり巣穴から離れずに餌を集めるためですね」



 解説をしてくれるのは、前回と同じくレナード博士。

 博士は我々の生活に特に関わりの深いモンスターを研究しています。ディグラビットもまた、食肉として我々の生活に深く結びついているため、こうしてまた解説をお願いしました。



「ディグラビットの特徴として、あまり知能が高くないというものが挙げられます。

 実は彼ら、非常に記憶力が低いモンスターとして、我々研究者の間では有名なんですよ」



 あまり記憶力が無いからこそ、巣穴から離れることができないディグラビット。

 時折街道でウロウロしている個体は、巣穴の位置を忘れてしまって帰れなくなっている個体らしいです。

 だからこそ、巣穴の位置を忘れないように――そして忘れてもすぐに判別できるよう、えさ場の近くを好んで巣穴の場所として選んでいるのでしょう。


 ちなみに記憶力だけでなく、ほぼ暗い地中にいることで視力もあまり良くありません。

 そのため、余計に道に迷うことが多く巣穴に戻れなくなる個体は意外と多いようです。



「巣穴の横にいるのに、位置を忘れて別の場所に新しい巣穴を掘る個体もいます。

 まあ、そのせいで平原のあちこちに穴ができてしまい、落とし穴のようになっているのですが……」



 そう。ディグラビットが『平原の厄介者』と呼ばれる最大の理由は、彼らのこの習性にあります。

 地面に巣穴を掘るディグラビットは、それこそ適していると思ったならどこでも穴を掘り始めてしまいます。それはこういった平原の地面はもちろん、コンクリートで舗装された道路も共通です。


 体が大きい分穴も大きいため、人の足はもちろん車のタイヤなどもハマってしまう危険があります。

 この穴が原因で怪我をする人は後を絶ちません。探索者の中には、戦闘中にディグラビットの穴に足を取られて、それが原因となって命を落とす人も多くいます。


 穴を掘って巣穴の中に住む。

 この習性と記憶力の低さ、この両方が原因でもたらされる穴害。

 平原においてもっとも嫌われているというのも、納得できるのではないでしょうか。



「ディグラビットの習性は知られていますが、明らかに生息数よりも多く穴が掘られていることは、気づいている人は意外と少ないんですよ。そういうモンスターだから穴を掘っている、と思ってしまうんでしょうね」



 確かに取材班も、博士に解説してもらうまでディグラビットが穴を掘るのは、そういう習性だと思い込んでいました。

 まさか自分の巣穴を忘れてしまい、そのせいで別の場所に巣穴を掘ろうとしていたとは驚きです。






最後までお読みいただき、ありがとうございました。

作者のラモンと申します。


今回からは第2回として、平原地帯のモンスター2種類目となるディグラビットの紹介です。



※何度も書き直し、書き足しを行っているため、内容がおかしな場所があるかもしれません。

もし内容が繋がっていない、矛盾している、誤字脱字などお気づきの点がありましたら、感想などでご指摘ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ