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第11回『探索者の登竜門・ホーンシープ3』

この小説に目を留めていただきありがとうございます。

皆様の暇つぶしになれば幸いです。

「ホーンシープの主食は地面に生えている草です。彼らはモンスターですが、体の構造はほとんど普通の羊と変わりません。

 通常のモンスターに比べて、魔力を補給するためというより、純粋に栄養を取るために食事をしているようです」



 一般的なモンスターにとって、食事というのは栄養よりも魔力を取り込み、活動して減った魔力の補給をしたり自分自身の強化ために使用するなどを目的としています。

 しかしホーンシープは珍しく、ただ栄養補給のためだけに草を食べ、魔力は空気中から自然に取り込むだけで十分なようです。これはホーンシープは体内の魔力を循環する効率が非常に高く、少ない魔力で効率的に生きていけるからだと言われています。

 あれだけ荒々しい行動を見た後だと、本当に少ない魔力で活動できるのかと疑ってしまいたくなりますね。



「ちなみに地面に食べられそうな草が無い場合は、ジャンプして木の枝に生えている葉っぱを食べることもあります。

 ホーンシープのジャンプ力は強く、5mくらいは軽々と垂直にジャンプすることができるんです」



 平原しか移動していないと考えられがちなホーンシープ。

 しかし、実際には森林の外縁部にもしばしば訪れ、木の枝に生えている葉や木の芽を食べることがあるようです。もっとも森林部にはシルバーベアをはじめとして、凶暴なモンスターが多いため頻繁に訪れるということはありません。

 そういった姿を見れるのは、秋口から冬にかけて、つまり草木が枯れる頃合いです。



「ところで、あのホーンシープが移動しているのは、自分が攻撃した岩の周りだけなのに気付いていますか?」



 博士にそう言われてよく観察してみると、確かにカメラが映しているホーンシープは、自分が攻撃して穴だらけになった岩の周りをグルグルと回るようにして草を食べています。

 そんなことをしなくても、周辺には草が生い茂っていますから好きな場所に移動した方が良いと思えますね。



「彼らは臆病と言いましたよね? だからこそ、彼らは先に障害物などへ攻撃をした場合、もう自分へ危害は加えないと安心できるのでしょう。そのため、ああして攻撃したものの周りで食事をするんです」



 確かに攻撃した後なら、相手はホーンシープを攻撃できるような状態ではありません。安全地帯だと分かっている場所で食事をするというのは、なるほど理論的な行動です。

 そうしてしばらく食事をしていたホーンシープですが、満足したのか別の場所へと移動を開始し始めました。

 彼らは平原にいる多くのモンスターたちの例に漏れず、基本的に一ヶ所に留まることはなく、平原中をゆったりと移動しています



「平原にいるモンスターたちの多くが一ヶ所に留まらないのは、やはり見晴らしのよさが原因です。

 これだけ見晴らしが良い場所で、巣も持たず一ヶ所に固まっていては、格好の標的とされてしまうでしょう」



 見晴らしのいい場所で一ヶ所に留まるのは、スケイルウルフなどの肉食モンスターはもちろん、探索者たちからも標的とされやすくなってしまいます。

 ホーンシープの走る速度はそこまで速くありません。先に見つかってしまえば、スライムなどでもない限り、逃げ切ることは困難です。臆病なはずのホーンシープが、それでも平原中を歩き回っているのは、そういった未知の危険から自分を守るためでもあるのです。






読んでいただき、ありがとうございます。

その4へ続きます。

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