第10回『人類を狙う深夜の狩人・ヒューマンキャッチャー4』
この小説に目を留めていただきありがとうございます。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。
精神魔法と疑似餌を使って狩りを行うヒューマンキャッチャー。
彼らは獲物が疑似餌に近づいてきた際、どのように襲うのでしょうか。今回はそれを実際に観察するため、探索者がヒューマンキャッチャーにどうしても近接戦闘をしなければならない時に使われる方法を実践します。
その方法とは、こちらも同じく疑似餌を使ってヒューマンキャッチャーに捕食させることで精神魔法を止め、その隙に数に頼んで倒すという方法です。
もちろん本物の人間を使うわけにはいきませんから、餌として使うのは自動人形です。自動人形とは、魔力を通すことで簡単な動きをさせることができるマネキンと言えば、分かりやすいでしょうか。
これを疑似餌に向かって歩かせることで、獲物として差し出すわけですね。
「あいつらは目は良いんだが、頭の方はそこまで良くない。疑似餌に近づいてきたのが本物の人間かどうか、いちいち確認しせず、人間の形をしたものが疑似餌に近づいてきたら襲い掛かるんだ」
人間の形をしたものが疑似餌に近づいてきた、つまり精神魔法にかかったと判断した時点で襲い掛かるヒューマンキャッチャー。しかし彼らはしっかりと人間を認識して襲うのではなく、形が人間かどうかでしか獲物を判断していません。
ですが平原や森林部では、人間の形をしているモンスターは存在していないので、その識別でも十分なのでしょう。
「ちなみにこの自動人形、そこそこ高価なわりに耐久度は人間と同じなので、こういった使い方をする場合は使い捨てが前提となってしまいます」
自動人形の価格は、1体500万円と確かにそこそこな値段となっています。これは魔力をよく通す物質を、人型に整えるのが難しく、さらに簡単ではあっても移動などの命令ができるようにするのに、非常に手間がかかるからです。
皆さんも、量販店やスーパーマーケットで荷物を運んでいる自動人形を見かけたことがあるのではないでしょうか。
基本的に細かな動きを任せられない自動人形は、ああいった企業が簡単な運搬作業をさせるために購入するのが普通です。
500万円という価格は、中級以上の探索者なら簡単に捻出することができる価格ですが、探索者で自動人形をデコイとして使う人は殆どいません。
それは使い捨てになってしまうから収支が釣り合わないのはもちろん、人間大の荷物を運ぶ手間があるからです。
わざわざ背中に大きな荷物を抱えて、モンスターが闊歩する場所を歩くのは自殺行為にしかなりません。車などで移動するにしても、やはり結局途中からは徒歩になるので邪魔になってしまいますからね。
「まあ、どうしても使わなきゃいけないって時を除けば、誰も使わないだろうな」
今回は取材ということで運搬は我々取材班が車で行いましたが、車を停めた場所から今いる場所までは、イチロー氏に抱えて貰うことになりました。あの手間を毎回すると考えれば、確かにわざわざ使う人はいないでしょう。
そもそも相手を引き付けるという意味では、耐久力に優れ高性能の防具で身を固めたディフェンダーがいれば十分です。
わざわざ高価な使い捨ての荷物を使うというのは、本当に切羽詰まった時ぐらいのものでしょうね。
「だいたい、わざわざ難しいことをしなくても遠くから魔法や銃でやれば楽だしな。
金をかけてまで、面倒で危険な近距離戦をやりたい奴なんて、そういないよ」
読んでいただき、ありがとうございます。
その5へ続きます。
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