第10回『人類を狙う深夜の狩人・ヒューマンキャッチャー2』
この小説に目を留めていただきありがとうございます。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。
「彼らは平原や森林部に生息しているモンスターの中では、唯一人間のみをターゲットにしているモンスターです。
ですから、その生態も人間を襲うことに特化したものとなっているんですよ」
レナード博士が言うように、彼らは人間しか襲わないモンスターとして有名です。
今まで数多くの実験がされた中で、彼らは人間以外の動物やモンスターには一切興味を示さなかったという結果も残っています。人間だけをターゲットにしている理由としては、平原や森林部においては人間がもっとも高度な知性を持っているからだ、という説が有力とされています。
普通は知性が高ければターゲットにしにくいと思ってしまいますが、その理由は後程。
ですが人間を狙って襲うならば、それこそ深夜よりも早朝や昼間の方が多く見つけられるのではないでしょうか。
「何故深夜に行動を始めるのかと言えば、それは彼らの狩猟スタイルに起因します。
彼らは自分の存在を相手に気取られることなく、狩猟をすることに特化していますからね」
博士が言うヒューマンキャッチャーの狩猟スタイル。
それは疑似餌を使って人間をおびき寄せ、疑似餌の近くに来たところで襲うというものです。この疑似餌こそ、ヒューマンキャッチャー最大の特徴と言えるでしょう。
彼らの額からは、5mにも及ぶ長い触角が生えています。ですから触角の長さも合わせると、彼らの全長は15m以上ということになるのです。
そしてその触角の先端部分は、10歳くらいの女の子供に見える疑似餌の頭部と繋がり、疑似餌をぶら下げています。
この疑似餌は非常に精巧にできており、遠目から見れば人間かどうか見分けるのはほとんど不可能でしょう。もちろん明るい場所ならば、疑似餌が垂れ下がっている触角が見えるため意味がありません。
ですから彼らは深夜、自分たちの触角が見えにくくなるような時間帯から活動を始めるワケですね。
「彼らの主な狩場となっているのは、深夜の街道です。街道脇に疑似餌を立たせておくことで、深夜にそこを通る人達をターゲットにしているんですね」
「ゴーストなんかの夜にしか狩れないモンスターを討伐にきた探索者、夜通し街道を運転している運送業者。
このあたりが奴らの主なターゲットになっているんだ」
確かに深夜であっても、街道を通る人間がいないということはありません。さらに深夜、つまり人通りが少ないからこそ疑似餌を効果的に使うこともできます。
街道には立てても壊されてしまうからという理由で、街灯は置かれていませんから余計に見えないのでしょう。
月明かりしかなく、しかも草陰に周囲と同化するような色になって隠れるヒューマンキャッチャーだからこそ、人間によく似た疑似餌に注目を集めることができるのです。
「ただ、ほとんどの人はヒューマンキャッチャーの疑似餌について知識を持っています。
それに深夜の街道に立っている人なんて、今時誰でも警戒しますよね」
言われてみれば、確かに深夜の街道横に無防備に立っている一般人は普通に考えれば存在しないでしょう。
ですからいくら精巧な疑似餌であっても、本来はそうそう引っ掛かるような人はいない筈なのです。しかし、現実にはヒューマンキャッチャーの餌食となる人は、一般人と探索者を合わせて相当数に上ります。
何故、分かりやすい罠だと分かっている筈なのに、これほどまでに犠牲者が出てしまっているのでしょうか。
読んでいただき、ありがとうございます。
その3へ続きます。
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