第9回『愛されるペットモンスター・岩ヒトデとエアフィッシュ5』
この小説に目を留めていただきありがとうございます。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。
「見た目が魚に酷似しているからフィッシュと名付けられていますが、体のつくりは全く違います。
どちらかと言えば、トカゲなどの爬虫類に近いかもしれませんね」
エアフィッシュは尾びれや胸びれはありますが、エラは存在しておらず肺呼吸をしています。また餌を食べないので消化器官は存在せず、口は呼吸のためだけの機能しかありません。
さらに目の構造も違っており、高空でもしっかりと周りを見渡すことができるよう、目は薄い膜で覆われています。
その他にも、こまごまとした部分が魚とは構造が違っていて、見た目以外は全く別の生物と言えるでしょう。
また、彼らは一度空に浮かぶと死ぬまで落ちてくることはありません。死ぬまで空に浮かび続け、死期が近くなると地上付近まで下りてきてそのまま地面に落ちて死ぬ。
浮かんでいるだけで生きているからこその、何とものんびりした一生です。
「ちなみに高度500mというと、彼らを食べる鳥型のモンスターもほとんど飛んでいません。
それもあって、無理に動く必要がないんでしょうね」
そんなエアフィッシュですが、ペットとして捕まえる際にはどのようにしているのでしょう。
もちろん、人間でも重力魔法を使えるマジックユーザーなら、高度500mまで上昇することはできます。ですが、それだけの実力を持ったマジックユーザーは上級探索者くらいのもので、いくらペットとして需要があるとはいえとても報酬との釣合いがとれているとは思えません。
さらに探索者ギルドの依頼にも、エアフィッシュの捕獲依頼は多く出ていますが、依頼を請けるのは駆け出しや下級の探索者ばかり。高度な重力魔法は使えないだろう彼らは、どのように捕獲するのでしょうか。
「答えは簡単で、ドローンを使って捕獲するんですよ」
次元融合が起きてからも、当然ながらそれ以前まで使われていた科学技術は多く使われています。それは乗り物などはもちろんですが、ドローンなど便利な機械も同様です。
しかも今では魔法技術と合わさって発展しているため、さらに便利なものとなっているのです。
例えば現在使われているドローンは、飛行する際に重力魔法を込めた魔石が使われています。そのため科学技術だけのドローンよりもさらに繊細かつ、高度もかなりの高さまで浮かぶことが可能となります。
そんなドローンを使えば、確かに動きの遅いエアフィッシュを捕まえるのは簡単です。
一般的にはドローンの後方に捕獲用の網を付けて、そのままエアフィッシュが生息している高度500mをしばらく動き回るだけ。それだけで数十匹のエアフィッシュが捕獲できてしまいます。
先ほど言ったようにエアフィッシュの移動速度は遅いため、捕獲用ドローンを見て逃げようとしても逃げ切れません。
ですから彼らは、面白いように捕獲することができるのです。
「その捕獲しやすさもあって市場価格自体はそこまで高くありません。
しかし、実はごく限られた条件を満たすエアフィッシュは、なんと100万円単位で取引されています」
捕まえやすいエアフィッシュの店頭価格の平均は、おおよそ千円前後。
それを考えると、100万円というのは非常に高額です。そんな高値で取引されるエアフィッシュとは、どのような条件を満たしたものなのでしょうか。
「エアフィッシュの鱗は、吸収したマナの属性によって変化するというのは先ほど言いましたよね。
この鱗の色が変わっていない――無色のエアフィッシュが、高値で取引されているんです」
エアフィッシュたちの鱗の色が変わるのは、そこまで時間はかかりません。モンスターとして発生した瞬間からマナを吸収して、だんだんと変わっていきます。おおよそ2時間くらいは変化が起きませんが、それ以降は加速度的に色がついていって24時間後には体全体の色がしっかりと変化します。
ですから鱗が無職のエアフィッシュというのは、発生してからおおよそ2時間以内の個体です。
いつ発生しているのか分からないモンスターだからこそ、無色のエアフィッシュはとても貴重とされています。
読んでいただき、ありがとうございます。
その6へ続きます。
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