第9回『愛されるペットモンスター・岩ヒトデとエアフィッシュ4』
この小説に目を留めていただきありがとうございます。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。
「では、次はエアフィッシュについての説明をしていきましょうか」
博士は手に持った岩ヒトデを水槽の中に戻し、その隣に置かれた水槽をデスクの上に持ち上げます。
その中には、赤や青などそれぞれ違う色の鱗を持った、5~7cmくらいの6匹の小魚が何もない空間を泳いでいました。この魚型のモンスターこそエアフィッシュです。
野生のエアフィッシュは魚の形をしていますが、本来は高度200mほどの空に生息しています。
そう、その名前の通り彼らは空中を泳ぐ魚のモンスターなのです。
「彼らは小規模な重力魔法を使い、体を空中に浮かせています。
見ての通り、彼らは非常に体が小さいですからね。ほとんど魔力を使わない魔法でも、高度500m以上まで自分を浮かすことができるんですよ」
重力魔法は、対象の重さによって消費する魔力が変わります。僅か5~7㎝ほどの大きさしかない彼らの体重は、それこそ1gもありません。そのぐらいだと、それこそ人間で言えば呼吸するほどの魔力消費による重量魔法で、かなりの高い効果を得ることができるんですね。
「空中を泳ぎながら、彼らは常に空気中のマナを口から吸収しています」
空中を泳ぐために重力魔法を常に使っていても、泳ぎながらマナを補給して魔力に変換していますから、決して魔力切れが起きる心配はありません。なにせ消費する魔法も少ないですから、泳いでいるだけで十分すぎるほどに魔力を補給することが可能です。
この際、吸収したマナの属性によって鱗の色が変わります。
彼らはこの世界の各地に生息しているため、生息している地域によって色とりどりのエアフィッシュを見ることができるわけですね。
「彼らがペットとして人気が高い理由として、手間のかからなさが挙げられます。
空気中のマナを勝手に吸収するので餌もいりませんし、糞もしないので水槽を綺麗にする必要もありません」
やはりペットを飼うとなると、気になってしまうのは世話の手間。
それがまったくかからず、勝手に部屋の中を泳がせているだけでいいというのは、飼い主にはうれしい生態でしょう。そのため子供から大人まで、それこそ忙しい会社員などでも飼うことができるペットとして注目されています。
「さて、彼らの姿から水中の魚のように、彼らも素早く泳ぐのではと思うでしょう?」
博士がそう言いながら水槽の蓋を開けると、非常にのんびりとした速度でエアフィッシュたちが研究室の天井付近へと向かっていきます。
その速度はとても遅く、その気になれば素手で捕まえることができるほどです。
これは研究室の中だからというわけではなく、野生で見かけるエアフィッシュたちも同じくらいの速度で移動しています。
「彼らは移動する際に、普通の魚と同じように尾びれなどを動かします。
しかし空中は水中とは違い、周囲にあるのは空気ですから水中のように上手く動くことができません」
水中で魚が素早く動けるのは、周囲に水があるのでヒレを動かすことで反発力が発生するからです。空気ではそこまで大きな反発力を得ることができず、結果としてエアフィッシュはゆっくりとしか動くことができません。
また、これは彼らが空中を泳いでいるだけでも魔力を確保することができるということも、理由のひとつです。
獲物を追いかける必要がなく、ただ移動しているだけで魔力が得られますから、早く動く必要がないわけですね。
読んでいただき、ありがとうございます。
その5へ続きます。
※誤字脱字などありましたら、感想などで教えてください。




