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第9回『愛されるペットモンスター・岩ヒトデとエアフィッシュ3』

この小説に目を留めていただきありがとうございます。

皆様の暇つぶしになれば幸いです。

 自分の身に危険が迫ると、自動的に防衛行動をとってしまう岩ヒトデたち。

 そのため、例えば間違って岩から剥がれ落ちてしまい、地面にぶつかった瞬間にも彼らは自衛行動をとります。

 そうすると当たり前ですが、そのまま表面の皮膚全てがはじけ飛んだ岩ヒトデは、内臓などが零れ落ちてしまいそのまま死亡してしまうのです。

 岩場の近くで岩ヒトデが仰向けに死んでいる場合、たいていはこのように自動で自衛手段が発動してしまった結果というわけですね。



「これもまた、彼らが基本的に捕食されないからということでしょうね。危機に対する防衛を考える必要がなかったので、自己防衛能力が培われていないんです」



 当然ですが襲われる回数が多ければ多いほど、モンスターも生き物も自己防衛の方法はより高度なものになっていきます。

 そういった意味で、ほとんど捕食対象として見られていない岩ヒトデは、自己防衛についてそこまで深く考える必要がなかったのでしょう。自然界においては、安全すぎるというのも善し悪しなのかもしれません。



「彼らの触腕は、移動や自分の体を支える腕であるのと同時に、内臓を守るものでもあります」



 星型に見える岩ヒトデの5つの触腕。実はこの1本1本に、内臓が詰まっています。

 当然といえば当然ですが、石は削ったとしても消化しやすいものではありません。岩ヒトデの胃はとても強力な胃酸を発生させますが、それでもしっかりと消化するにはそれなりの時間がかかります。

 そして体の小ささに比例して胃も小さいですから、普通に考えてみればすぐに満腹になってしまいます。


 そこで岩ヒトデは、ひとつの胃が満腹になるまで食事をしたら次の胃を使うようにして、3つの胃を順番に使うことで常に食べ続けることができるようにしています。

 そこまでしなくても、十分に魔力は補充できるのですがそこはやはり脳が無く、本能に従って生きている故なのでしょう。岩ヒトデは食べること、排泄すること、移動することという3種類の行動だけを繰り返しています。

 胃が3つあるのは食べ過ぎて胃の容量を超えてしまわないように、という意味もあるのです。



「彼らは食べた岩を消化すると、それに含まれていた石の成分を逆流させ、皮膚へと染み出して皮膚の擬態を行います」



 石のように見える彼らの皮膚、それは食べた石の成分が皮膚へと染み出して乾燥することで完成します。

 そのため岩ヒトデの体をレントゲンで撮影すると、口から触腕へと続く管のような機関からは、皮膚に向けて細かく延びる管を見ることができるのです。

 逆流させる際には一度口を経由しますが、その際に彼らはしっかりと口を閉じ、成分が出ていかないようにしています。



「石の成分と聞くと、固まったらしっかり石のように硬くなるのではと思うでしょう?

 しかし、正確に言うなら石の成分が混ざった唾液というのが正しくて、だからこそ彼らの皮膚は石のような見た目ではあるものの、少しだけ硬い皮膚にとどまっているのです」



 何とも不思議な食事をする岩ヒトデ。では彼らが持つ残り2つの触腕には、何の内臓が入っているのでしょう。

 ……その答えは心臓です。彼らは胃が内包されていない残り2つの触腕に、それぞれひとつずつ心臓を持っており、仮に片方の心臓が潰されたとしても生き残ることが可能となっています。



「まあ、とはいっても心臓が潰されるほどのダメージを受けたとしたら、反射的に自衛行動をとってしまうので結局死ぬ場合がほとんどなんですけどね」



 たしかに心臓が潰されるほどのダメージなら、かなりの危険を感じる痛みを感じる筈。ならば彼らは本能的に皮膚を吹き飛ばしてしまうため、心臓が残っていても死んでしまうでしょう。

 なんともちぐはぐな生態をしている岩ヒトデ。これもまた襲われにくい環境で生きてきた弊害と言えます。


 当然ですが、そんな彼らは討伐依頼が出ることは皆無となっています。

 異常発生をしたとしても、そこまで大きな被害が出ることはありませんから放置されがちで、そのうち勝手に数を減らしていきます。そして自ら他の生物を襲うこともないので危険性もなく、モンスターとして分類されてはいますが、犬猫など普通の動物の方が危険なくらいです。


 さらに言うと彼らは素材の供給源としてもまったく価値がありません。

 一応、彼らの皮膚は素材として採取することはできますが使い道はなく、採取したところで1円すら手に入れることはできないのです。

 そういう理由もあって、彼らは討伐対象はもちろん素材目当ての依頼も出ておらず、探索者もわざわざ狩猟しません。

 ですがその危険性の無さが、彼らにペットとしての価値を与えたのですから、何があるかわかりませんね。






読んでいただき、ありがとうございます。

その4へ続きます。


※誤字脱字などありましたら、感想などで教えてください。

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