第8回『死を呼ぶ羽ばたき・吸血蝶6』
この小説に目を留めていただきありがとうございます。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。
さて、マヒ毒で獲物をマヒさせてその血を集団で吸い尽くす吸血蝶。
だからこそという理由もありますが、吸血蝶はとても討伐依頼の多いモンスターでもあります。ですがそれは、危険だから討伐しなければいけないという理由だけではありません。
「吸血蝶の鱗粉は、実はかなりの分野から需要のある素材でもあるのです」
マヒ毒を持つ吸血蝶の鱗粉。しかしそれと同時にその鱗粉は、マヒ毒の解毒剤を作るための材料になっています。そのため薬局から需要があり、また鱗粉を凝縮して作成するためかなりの量が必要となるので、大量に需要が出てきます。ひとつの解毒剤を作るために、吸血蝶1匹の羽から採れる鱗粉を全て使うのですから、必要な量の多さがわかろうというものでしょう。
さらに病院からも、少量で強力な麻酔として使うことができるためかなりの需要があります。
また、彼らの鱗粉は鍛冶職人たちからも人気のある素材となっています。
というのも、吸血蝶の鱗粉は別の素材に混ぜたとしてもその毒性を失うことがないため、相手をマヒさせる特性を持った武器を作る際によく使われているのです。とはいっても、剣など近接武器へ混ぜ込むというよりは、どちらかと言えば銃の弾丸や、弓矢の矢じりに混ぜ込むという使われ方がポピュラーでしょう。
モンスターをマヒさせることができれば、それだけ安全にモンスターを狩猟することができます。しかも彼らの毒は強力ですから、銃弾程度の大きさであっても大型のモンスターをしっかりとマヒさせることが可能なのです。
命がけでモンスターを討伐する探索者からすれば、安全に討伐を進められる武器はどれだけあっても困りません。
特殊な製法で作られるので値段は少し高くなりますが、それでも大量生産されている銃弾や矢じりは、毎日のように探索者が買い求めています。
さらにモンスター研究所でも、モンスターの生け捕りをする際の罠として彼らの鱗粉は使われています。
少量でマヒさせることができますから、生け捕りに使うのにはとても便利なんですね。
「吸血蝶の鱗粉は、幅広い使用用途で使われます。マヒという単純な効果ですが、だからこそ使い勝手がいいんですね」
1匹からかなりの量を確保できる吸血蝶の鱗粉ですが、需要が多いのもあり市場価格はそれなりです。
さらに討伐して素材を確保するためには、専用の装備も必要となりますから意外と高値で引き取ってもらえます。とはいえ山岳地帯をのぼる必要がありますから、あまり好んで討伐にいく探索者はいませんが。
ちなみに、彼らの討伐自体はそこまで難しいものではありません。
それこそ細い棒でもいいので、適当に殴って体に当てればそれだけで討伐可能です。
ただ、しっかりと鱗粉を確保しようと思うと羽を傷つけるわけにはいかず、本体だけを正確に狙わなくてはいけないので、技術面という意味での討伐難易度は高いかもしれません。
ですから彼らの討伐は、正確に素早く本体だけを攻撃する技術を持った、熟練の探索者が受けることが多いです。
中には、吸血蝶の討伐を専門に請け負う探索者もおり、そういった探索者は同業者の間では「クライマー」という名前で呼ばれています。
クライマーと呼ばれる探索者たちは、病院や店舗と専属契約を結び、吸血蝶の鱗粉を毎月決まった量納品することで報酬を得ています。そういった専門業者が生まれるほど、吸血蝶の鱗粉の需要は多いのです。
山岳地帯で出会うことができる、大きな蝶の姿をしたモンスター……吸血蝶。
彼らの鱗粉は死に直結する危険な毒でもありますが、私たち人間はさまざまな場面でその毒を有効活用しています。特に医療現場にとっては、彼らの鱗粉はいまや無くてはならない物となりつつあるのです。
マヒ毒という特殊な毒を持ち、それを活用することで安全に狩りを行う吸血蝶たち。
脆い体を持ちながらも、多くのモンスターたちを狩ることができる彼らは、一流のハンターと言えるでしょう。そして何よりも驚かされたのは、しっかりと優先順位を守って捕食を行うその社会性です。
決して低くない知能を持ち、体の脆さを感じさせないほど優雅に獲物を捕まえるハンター。
彼らは今日も、岩壁にとまってその熱センサーを使いながら獲物を待ち続けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
作者のラモンと申します。
今回は虫タイプのモンスター、吸血蝶を紹介してみました。
蝶などのモンスターは、イコールで鱗粉を使った毒攻撃をしてくるイメージがありますよね。
あれって何故なんでしょうね。やっぱりゲームのイメージなんでしょうか。
それではまた、次回でお会いしましょう。
ラモンでした。
※何度も書き直し、書き足しを行っているため、内容がおかしな場所があるかもしれません。
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