第6回『泳ぐ刃物・ナイフフィッシュ3』
この小説に目を留めていただきありがとうございます。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。
さて、ただ泳いでるだけで場所を問わずに生きていけるナイフフィッシュ。
そんな彼らですが、外敵に襲われた時にはどうしているのでしょうか。普通に考えれば、ナイフのような切れ味があるヒレを使って、外敵を切りつけて反撃するのではないかと思うでしょう。
しかし実際には、彼らは外敵に対して非常に無防備なのです。
「彼らは基本的に外敵に立ち向かうということはしません。それは、自分たちが無力であることを知っているからです」
ナイフフィッシュのヒレは確かにナイフのような切れ味を持っています。
ですが、外敵と真正面から戦うことができるようなものではありません。彼らのヒレは2㎝程しかなく、全力で切り付けても小さな切り傷を付ける程度しかできず、到底相手を倒すことはできません。
それを知っているからこそ、彼らは外敵が現れた時、常に逃げることを選択します。
「とはいっても、ナイフフィッシュの泳ぐ速度はそこまで速くありません」
なんとナイフフィッシュは魚型のモンスターであるというのに、泳ぐ速度は我々人間とほとんど変わりません。
人間の泳ぐ速度と言えば、泳げる生物の中でもかなり低い方となるでしょう。それと同じくらいなのですから、海を縄張りとしている海洋モンスターに及ばないのは当然とも言えます。
逃げるしかないのに、逃げるには速度が足りない。こうなってしまったのは、ナイフフィッシュが餌を捕食する必要がないためと言われています。
では、彼らはただ捕食されるだけなのかというと、そんなことはありません。
「彼らは捕食者への対策のひとつとして、モンスターの中では珍しく10匹ほどの少数の群れを作っています」
基本的にモンスターは群れを作りません。それはお互いが魔力を得るために捕食をする競争相手だからというのも大きいですが、死んだところでいつの間にかまた生まれているという特徴から、普通の生物ほど自衛に興味がないのではないかとも言われています。
そんなモンスターたちの中では非常に珍しく、ナイフフィッシュは群れを作るモンスターなのです。
ですが10匹ほどでは、決して戦闘力が向上するとは言えませんし、なにより泳ぎが遅い以上ただの的になってしまうのではあないでしょうか。
「そこで役に立つのが、やはりナイフのようになっているヒレなんですね」
博士はそういいますが、彼らのヒレで相手を倒すことはできなかったはずです。では、あのヒレが役に立つというのは、どういう意味なのでしょう。
取材班がそのように疑問を持っていると、ちょうど観察用船舶の船底近くでナイフフィッシュの群れを捕食しようとしているロケットシャークの姿を見つけました。
ロケットシャークは非常に素早いモンスターで、船でも逃げ切れない海洋モンスターとしても知られています。
そんなロケットシャークが大きな口を広げ、加速しながらナイフフィッシュが群れている場所へと突撃していきました。
すると、当然ながらナイフフィッシュの群れは近づいてきたロケットシャークを認識して逃げようと動き出します。
しかし悲しいかな、逃げる体勢となる前に既に10匹ほどで構成されたナイフフィッシュの群れは、大きく開いたロケットシャークの口の中へとまとめて吸い込まれていきます。
ある程度固まって動いているからこそ、全員がまとめて食べられてしまいました。
お読みいただき、ありがとうございます。
その4へ続きます。
※誤字脱字などありましたら、感想でご指摘ください。




