第5回『駆け回る弾丸特急・ヘッドバード6』
この小説に目を留めていただきありがとうございます。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。
「大きな嘴の内側には小さな鋸状の歯がびっしりと生えており、下手に噛まれれば大怪我をしてしまいます。
ですから攻撃をする際には、彼らの前からではなく後ろから攻撃をしなくてはいけません」
噛みつきと足による攻撃さえ何とかできれば簡単に狩ることができ、走っていなければ危険度そのものが低い。
平原を走る弾丸特急とまで呼ばれるヘッドバードは、そういったモンスターなのです。
「そんなヘッドバードですから、必要になれば簡単に素材を確保することができるため、買取価格は低くなっています」
ヘッドバードから採れる素材で取引されているのは、羽根と眼球です。
羽根は主に翼部分のものが取引され、羽毛布団などに使用されています。そして20㎝ほどもある大きな眼球は、含まれている特殊な成分がポーションの材料として使えるため、低級ポーションの材料として使われています。
低級とはいえポーションの材料であるため、眼球は高値で取引されているイメージを持つかもしれませんが、ヘッドバードの眼球1つあればポーション1000個分ほど賄うことができるため、需要がそこまで頻繁に出るものではありません。むしろ供給されやすいせいで余り気味となっており、最近では買取拒否されることもあります。
「一時期は彼らの肉を鶏肉の代替品として扱っていたこともありましたが、実際にはあの大きさに対して食用に適した肉がほとんど取れないため、コストに見合わないと近年では見向きもされていません」
ヘッドバードは身体の大きさに対して、内臓や骨の占める割合が非常に高く、食用に適した肉が取れる部分は思っている以上に少なくなっています。
いくら簡単に狩ることができるとしても、可食部の少なくては意味がありません。
そのため、今ではヘッドバードの素材はコストに見合うよう、低品質な物ばかりとなっているのです。
「さらに言うと、実はヘッドバードの眼球は、ポーション作成の材料として必須ではないんです。
ポーションの持つ独特の苦みを和らげるために、ヘッドバードの眼球に含まれる成分が使われています」
ヘッドバードの眼球を使わずに作られた低級ポーションは、それこそ二度と飲みたくないと言われるような苦みを持っていますが、効果そのものは多く販売されている低級ポーションと変わりません。ですからそれを和らげるために使われているヘッドバードの眼球は、厳密には作成で必須の素材ではありません。
とはいえ、苦いポーションをわざわざ飲みたいという人はほぼいませんから、売り上げの関係で使われているのです。
そんなヘッドバードの素材ですが、手に入れるには高い解体技術が必要となります。
翼部分は丁寧に解体しないと羽根に血がついてしまい価値が下がりますし、眼球部分も傷つきやすいので気を付けて解体しなくてはいけません。
ですから探索者の多くはヘッドバードの死体をそのままギルドへと持ち込み、ギルドが雇っている専門の解体職人に任せることがほとんどです。ただ、この方法では解体料金を取られてしまうので、あまり良い稼ぎにはなりません。
それでも、5体以上持ち込めば安宿で一泊するくらいの稼ぎにはなるので、死体漁りと呼ばれる探索者は後を絶ちません。
解体に技術が必要で、そのくせ買取価格は高くない。
素材が使用されている先も地味な彼らは、面倒という言葉をそのままモンスターにしたと揶揄されることもあります。
平原中を駆け巡る珍しい見た目が特徴的なモンスター……ヘッドバード。
走ることに特化しすぎたせいか、知能の低さにより我々だけでなく自分たちにまで多くの被害をもたらす彼らは、探索者や民間人を問わず多くの人間の嫌われて者として知られています。
走り出す理由すら曖昧で、食事すら忘れて餓死してしまうこともあるヘッドバードたち。
モンスターだからこそ絶滅しないのだろうこのモンスターたちは、今日も平原を仲間たちと走り回っています。その何も考えていない生き方は、さまざまなしがらみに囚われる私たちからすれば、羨ましく見えることもあるほどです。
走るからこそ脅威となり、走りに特化したからこそそれ以外の能力が低いヘッドバード。
それは、ある意味では彼らなりの生存戦略の一つなのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
作者のラモンと申します。
今回はバカだけど厄介というコンセプトで考えたモンスター、ヘッドバードの紹介でした。
ちなみに、モデルとしたのはダチョウで、ダチョウもかなり頭が悪いことで有名な鳥です。
自分で考えているよりも、ダチョウっぽさが多くなってしまった気もするので、そこは反省ですね。
それではまた、次回でお会いしましょう。
ラモンでした。
※何度も書き直し、書き足しを行っているため、内容がおかしな場所があるかもしれません。
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