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特別回『次元融合の前後で変わった世界5』

この小説に目を留めていただきありがとうございます。

皆様の暇つぶしになれば幸いです。

 そしてトレバー博士による魔法の開発は、失われた文明を復活させる大きな手助けになりました。

 彼が最初に開発した魔法は、今では当たり前のように使われている生活魔法の数々。どんな汚れでも一瞬で落とすことができる『浄化』や、電気を使わずに辺りを照らすことができる『灯』など、生活魔法は当時の状況を考えれば非常に重宝されたでしょう。

 しかし意外なことに、博士は攻撃魔法を開発することはついにありませんでした。

 それは、当時はそれだけ普通に生活することが難しかったのかを物語っています。



 さて、新魔時代がはじまってから20年が経過した頃。

 モンスターに対抗できる人類による討伐、そして生活魔法を中心としたさまざまな魔法の開発によって、少しずつですが確実に人類は生存圏を拡大していきました。

 当然、対抗できる人類が出現したといっても、モンスターの生態もよくわかっていない状態の戦いです。

 初代探索者の死亡率は、実に9割と非常に高いものでした。それでも、探索者となった人たちは人類の生存圏を少しでも広げるために、毎日のようにモンスター討伐を行いました。



 この初代探索者たちの活躍によって、次元融合から20年越しに人類はようやく自分たちの生活圏を確立したのです。

 私たちが住む日本では、トーキョー、オーサカ、アオモリの3つの都市が最初に設立され、他の都市はそれよりも後に作られた都市とされています。

 取り戻された3つの都市。ここを拠点として、人類は更なる躍進をはじめます。


 ひとつは魔力炉を中心とした一定の範囲内に、モンスターが入ることができなくなるようにする『結界』の開発。

 結界は今も各都市で使われていますが、我々が安心して生活するためには欠かせないものです。この結界の開発を主導したのは、魔力の第一人者であるユカ博士。


 彼女はこの時もう65歳と老齢ではありましたが、精力的な活動でモンスターと人間の発する魔力に微弱な波長の違いがあることを発見します。

 この発見を利用し、特定の魔力だけを弾く魔力の壁が開発されたのです。

 結界は魔力炉をエネルギー源としており、魔力炉が稼働する限り半永久的に維持することができ、さらに広い範囲をカバーするために必要な魔力も少ないと非常に優れた防御手段でした。


 結界の開発により、いわゆる人間とモンスターとの縄張り争いに終止符が打たれました。

 結界は小型の魔力炉であっても、直径10kmほど広げることができます。これによって大型魔力炉の無い場所であっても結界を張ることができ、首都だけでなく村など小規模な集落も続々と増えていくことになります。


 今まではいつ敵に襲われるか分からず、場合によっては複数の場所を転々としてきた人類にとって、結界は非常に重大な発明でした。

 モンスターに襲われる心配をせずに眠る場所が確保できる、それは当時の人々からすればまさに神の所業だったでしょう。


 一ヶ所にとどまって生活ができるようになり、食糧の生産や科学研究などさまざまな文明的活動が可能となりました。

 人類は20年という、次元融合以前の文明が完全に風化する前に、なんとか文明を取り戻すことに成功したのです。

 これにより、この20年で大きく減少した人口もまた、少しずつ増加の兆しを見せ始めます。






お読みいただき、ありがとうございます。

その6へと続きます。


※誤字脱字などありましたら、感想からご指摘ください。

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