特別回『次元融合の前後で変わった世界3』
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皆様の暇つぶしになれば幸いです。
魔力炉が完成してから10年が経った2504年。
世界中のマナバランスは、致命的なまでに偏ったものとなっていました。魔力は私たちが生きるためには欠かせないもの、それこそ呼吸をするだけでも魔力を消費しますから、その原動力となるマナの偏りはとても恐ろしい問題です。
大型の魔力が設置されている都市の周辺数十㎞。
これ以外の地域に住む人たちは、いつ自分が魔力欠乏症を発症するのかに怯えながら暮らし、安全圏である首都周辺の居住権を争うようになっていました。
世界各国の政府も魔力欠乏症については問題視していましたが、魔力炉の廃止を考えることはできませんでした。
それくらいに魔力というエネルギー、そして魔力炉という永久機関に、当時の世界は依存しきっていたのです。
そして旧魔時代最後の日。
資料によればそれは2504年10月24日のこと。
ついに旧魔時代の終わり――次元融合が起きました。
この次元融合が起きた原因は、当然ですが魔力炉によるマナの大きな偏りです。
マナが欠乏した地域には、当然ながら人間だけでなくさまざまな生物、植物がいます。それらすべてがマナを求めているため、マナが無いのにマナを吸収しようという力が働いていました。
10年という歳月により、マナの薄い地域が増え続けていた結果、マナを吸収しようと吸引する力もまた、同様に増え続けていました。
しかし魔力炉という強力なマナ吸収を行う機関があるため、マナは薄い地域へと戻らず首都周辺に留まり続けます。
つまりマナが薄い地域の吸引力は弱まることなく、どんどん強くなっていったのです。
ですが当然ですが吸引しようとするマナが近くに存在しないため、マナを求める力はどんどん強く、そして遠くからマナを吸引しようとしはじめます。
本来なら、この時点で首都周辺に溜まっていたマナは各地へと吸引されなおし、正しい濃度に戻っていくはずでした。
しかし魔力炉はこの10年で更に効率化が図られており、より広範囲からより強くマナを吸引するように改良されていたせいで、自然の力よりも強くマナを集めてしまっていたのです。
言ってしまえばマナの需要と供給が成り立たなくなってしまった状態。
それが続いた結果起こされたのが、次元融合という現象です。
これは名前の通り2つの異なった次元に存在する世界が融合してしまう現象で、普通はまず起きない現象です。
なぜなら異なる世界の間には大きな隔たりがあり、世界が動くこともないため本来ならあり得ないはずの現象でした。しかしマナが無い地域が増え、より遠くからマナを求めようとした吸引力は、異なる2つの世界を動かしました。
本来あり得ない世界の移動、それによりついに我々が暮らす世界ともう一つ……いわばよりマナが豊富な世界とが近づき、限界点を超えて重なりました。
そして本来ならあり得ないはずの次元融合が起きてしまいます。
お読みいただき、ありがとうございます。
その4へと続きます。
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