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特別回『次元融合の前後で変わった世界2』

この小説に目を留めていただきありがとうございます。

皆様の暇つぶしになれば幸いです。

 新しく発見された無限に使えるエネルギー。

 まだ魔力に対してそこまで深くわかっていなかった当時の人々は、このエネルギーを連日使い続けていました。

 しかし、当然ながらそれまで使っていたエネルギーと同様、魔力もまた使うことにデメリットが無いわけではありません。最初の問題が起きたのは翌年の2495年。


 この年、恐らく世界で初めての魔力欠乏症による死亡者が発生しました。

 資料によれば亡くなったのは当時まだ小学生だった男の子。しかし当時はまだ魔力欠乏症という概念はなく、別の病気による死亡であるとされていました。

 ですがこの男の子が死亡したの皮切りに、世界各地で似たような症状……つまり魔力欠乏症を訴える患者は急増していくことになります。


 では何故、世界中で同時多発的に魔力欠乏症患者が爆発的に増加したのか。

 原因は、当時それこそ世界中のありとあらゆる場所で使われていた魔力炉です。


 当時の魔力炉は現在使われている物に比べると、非常に効率の悪いものでした。

 大量のマナを吸収して大量の魔力を発生させ、それによって発電する。それこそありとあらゆる都市で使っていたのです。そうすると何が起きるのか……。



 当時を研究していた博士たちによれば、大型の魔力炉が大量に設置されていたこの時代、世界各地で極端なマナの偏りができてしまっていたと言われています。

 先ほど言った通り、当時の魔力炉は非常に効率が悪く、魔力を発生させるためにはかなり大量のマナを取り込む必要がありました。当時の魔力炉がマナを集める範囲は、それこそ周囲数十㎞。

 それだけの範囲からマナを集め、魔力として使ってからまたマナを集める。これを繰り返していたわけですから、当然魔力炉周辺以外の地域では、深刻なマナ不足が発生します。


 マナは還元されて再び周囲へ戻っていくものであり、自然発生するわけではありません。

 つまりマナがあった場所へと還元されるよりも先に再び吸収されてしまえば、マナが極端に濃い場所と薄い場所ができてしまうわけです。

 このマナが極端に薄い場所に住んでいた人々こそ、魔力欠乏症を起こした患者たちでした。


 魔力への知識が乏しかった当時では、気づくことが難しかった魔力欠乏症の患者たち。

 しかし、当時彼らの容態を診ていた一人の医師が、自分の患者たちの共通点に気づいたのです。



 その医師こそ、現代魔力学の祖と言われるユカ博士です。

 彼女は患者たちの症状がどれも似通ったものであり、住んでいる地域が首都から遠いほど症状が重くなっていることに気づきました。

 そしてユカ博士は突然世界各地で急増している謎の病に苦しむ患者たちと、魔力炉の関係を疑い始めます。

 彼女は患者たちが住んでいた地域と症状の重さ、そして小型の魔力炉を用意して症状の改善ができるかどうかなど、さまざまな研究を行いました。


 その研究は実に3年にも及び、結果として彼女は世界で初めて魔力欠乏症を発見したのです。

 当然、彼女はすぐに魔力欠乏症と魔力炉の関係を世間へ向けて発表しました。ですが当時の世論は、彼女のこの発表に対して否定的でした。

 自分たちが求めていた永久に使えるエネルギー、それに致命的なデメリットがあると認めたくなかったのでしょう。

 当然ですが、博士が魔力欠乏症の研究をしている間にも、世界各地で魔力欠乏症患者は増加の一途を辿っていました。


 博士はその後も粘り強く発表を続け、治療のために魔力炉の廃止や改善などを提案し続けました。

 しかし博士の努力は実を結ぶことなく、ある意味では最悪の形で解決することとなるのです。






お読みいただき、ありがとうございます。

その3へ続きます。


※誤字脱字などありましたら、感想からご指摘ください。

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