第4回『闇夜に忍び寄るモノ・ゴースト4』
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「見てください。ディグラビットが動かなくなりましたよ」
博士の言葉に視線をディグラビットに戻せば、確かについ先ほどまで必死に逃げ回っていたディグラビットは、今はもう動きを止めてぐったりと地面に倒れています。
ピクピクと小さく痙攣するように動くだけになってしまったディグラビット。恐らく、すでに体内の魔力はほぼ残っておらず、意識も失ってしまっているのでしょう。
「ああして動けなくなってしまえば、あとは根こそぎ体内の魔力を吸収されてしまいます。
人間であっても、死亡するまで長くて5分程度でしょうか」
たった5分。それだけでいとも容易く人の命を奪うことができるゴースト。
動かなくなっていく、我々取材班は危険度の分類がそのままモンスターの脅威に直結するものではないことを、改めて認識させられるのでした。
「ゴーストは捕食を終えると、そのまま出現した場所に戻る習性があります。
恐らく自分の出現する場所に魔力でマーキングをしているのだろう、と言われていますね」
その言葉通り、ディグラビットの魔力を吸い終えただろうゴーストは、最初に出現した場所に向けて動き出しました。
一切迷う素振りも見せず、一直線に戻っていく姿からは、なるほど確かにマーキングをしていると思えてしまいます。
「もしかしたら、本当に私たちが想像する幽霊のように、出現する場所に誰かの遺骨が埋まっていたりするのかも知れませんけどね」
そう言って笑う博士でしたが、我々取材班はもしかしたら――と冷や汗をかくのでした。
◇◇◇◇◇
ゴーストの生態はほぼ出現した場所から、5メートル四方をウロウロとするばかりで、捕食以外で目立った行動は起こしません。
先ほどディグラビットを捕食したゴーストも、あれからまた数時間経過した今でも出現した場所の周辺をうろつくだけで、積極的に何かをすることはありませんでした。
そうしているうちに、朝日が昇り始める時間が近づいてきます。
「見てください、周辺にいるゴーストが少しずつ姿を消し始めましたよ」
朝日が昇る時間が近づいていることが分かったのか、森林外縁部にいたゴーストたちが、空間に溶けていくように消滅し始めました。
消滅していくタイミングに差があるのは、何か意味があるのでしょうか。
「明確な理由はわかっていませんが、個体差ではないかというのが大方の見解です。
ゴーストは感覚器官を持っていないですから、個体ごとに出現してからこのくらいで消滅しようというタイミングを決めているのではないでしょうか」
確かにゴーストが消滅していくタイミングには、非常に大きな開きがあります。
朝日が昇る1時間以上前に消滅するゴーストもいれば、それこそ日が昇る直前まで消滅しないゴーストもいます。これは何か理由があるというよりも、個体差という言い方がしっくりきます。
「面白いのが、ゴーストの中には消滅するタイミングが遅すぎて朝日で消滅する個体もいるということですね。
私もモンスターの研究をして長いですが、1年に数体ほど、そういった理由で消滅する個体がいるんです」
私たち人間でいうところの寝坊のような形で消滅――つまり命を落とすことがあるゴースト。それだけ聞くと、恐ろしいモンスターだというのに、どこか親近感を感じてしまいます。
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その5へと続きます。
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