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第3回『森の王者・シルバーベア3』

この小説に目を留めていただきありがとうございます。

皆様の暇つぶしになれば幸いです。

 ちなみに今回我々は直接森林地帯には赴いていません。


 さすがに危険度が高すぎることと、護衛を雇ったとしても落ち着いて撮影できる環境ではないからです。そのため前回ディグラビットの巣穴を覗いた時に用いた魔力球カメラ、これを使って撮影をしています。



 博士の説明を聞いている中で、我々はカメラが映すシルバーベアの胸元の体毛が、三日月型に黒くなっているのを見つけました。


 シルバーベアの体毛は常に銀色で、普通の熊のような色では無いはずですが。




「あの黒っぽい部分が本来の体毛になっています。彼らは通常の熊と同じ体毛の色をしていますが、そこに魔力を付与することで銀色に変えているんです。


 あそこだけ色が変えられていないのは、恐らく傷を負ったなどの原因で魔力がうまく付与できないんでしょう」




 我々人間も、大きな怪我を負った際にそこに魔力がうまく通わなくなることがあります。


 この個体もまた同じように、怪我を負った部分に魔力が通らず三日月型に元の体毛が残ってしまったのでしょう。


 私たち取材班は、今回観察することになるこの個体に、胸元の特徴から『ムーン』と名付けました。



 日が昇ってきたこともあり、ムーンもようやく活動する時間帯となったのかゆっくりと身体を起こしました。


 立ち上がると、やはりその大きさに威圧されてしまいます。ムーンは人間で換算すれば、おおよそ30歳から40歳くらいになる、円熟期を迎えた個体です。



 シルバーベアの成長はおおよそ3つの時期に分けることができ、それぞれ成長期、円熟期、老衰期と呼ばれます。


 成長期に体が大きくなり、円熟期になると成長は止まりますが、そのぶん魔力が育つと言われています。どの期間なのかは体毛で判断することができ、円熟期に入ったシルバーベアの体毛は、ムーンのように美しい銀色になります。




「成長期間は、観察してきた限りではおおよそ3年から4年で移り変わるようです。


 もっとも、実際には衰退期に入るまで生きている個体の方が少ないので、衰退期のシルバーベアはほぼ見かけませんが」




 当たり前ですが、モンスターである以上探索者に討伐されることがほとんどです。


 衰退期まで生きていられるシルバーベアは貴重であると共に、それだけ狡猾で強力な個体でもあります。



 博士の解説を聞いている間に、ムーンはゆっくりと四つ足歩行で歩き出しました。


 いったいどこに向かっているのでしょうか。




「恐らく朝食を見つけるための狩りですね。起きたばかりで、腹がすいているでしょうから」




 博士の言葉を証明するように、ムーンはきょろきょろと首を左右に動かしながら歩き続けています。


 まだ日が低いから、体毛の照り返しによる光源にも期待できず、しっかりと自分の目で獲物を探さなくてはいけません。シルバーベアはあまり目が良くないので、せわしなく首を動かして匂いも確認するのです。



 そうしてしばらく歩いていたムーンですが、とある木の前に来たところで立ち止まりました。


 ムーンが立ち止まった前にある木には、爪で引っ掻いた傷跡がついています。




「あれは縄張りを示すものです。無造作に引っ掻いているように見えますが、個体ごとに引っ掻くパターンが違っていて、それによってお互いの縄張りを区別しているんですよ」




 今見ている木にはちょうど十字になるような引っ掻き傷が残っています。


 それを確認したムーンは、その傷跡をなぞるように十字の傷をつけ始めました。定期的に新しく傷跡を付けることで、ここは自分の縄張りだと主張するのです。


 何度か引っ掻いて木に傷跡を付け直し、ムーンは再び餌を求めて歩き出しました。






お読みいただきありがとうございます。

作者のラモンと申します。

今回の更新はここまでとなります。また次回、よろしくお願い致します。



※何度も書き直し、書き足しを行っているため、内容がおかしな場所があるかもしれません。

もし内容が繋がっていない、矛盾している、誤字脱字などお気づきの点がありましたら、感想などでご指摘ください。

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