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第2回『平原の厄介者・ディグラビット4』

この小説に目を留めていただきありがとうございます。

皆様の暇つぶしになれば幸いです。

「この壁は非常に滑らかで、獲物が落ちた際に登れないようにする役割も持っています。

 自分の安全を確保することに関して、ディグラビットはとても高い知能を見せつけてくれるんです」



 巣穴を見失ってしまう知能の低さを持つ一方で、巣を掘る時に余った土で壁を補強するという、驚くほど用意周到な面も持っているディグラビット。

 自然の中で生きるからこそ、身の安全に関する部分に知能を傾けているのでしょう。



「まあ、それでもすべての土を壁の補強に使うわけではありません。

 さすがに掘った土を全部使っていたら、壁が分厚くなりすぎて通れなくなってしまいますからね」



 確かに掘った土で壁を補強するにしても、全部を使えばただ掘った穴を埋めなおすことにしかなりません。

 では残った土はどうしているのでしょうか……。



「その答えを知るために、いよいよ彼らの生活する空間へ進んでみましょう」



 カメラが進んだ先には、草が敷き詰められた空間が広がっていました。

 広さは外に出ているディグラビットよりも、一回り大きい程度でしょうか。お世辞にも広いとは言えませんが、彼らが普段はジッとしているだけということを考えると、十分な空間です。



「ディグラビットは外で採取してきた草を敷き詰めているのは、ジッとしていながらでも食べることができるからです。

 単純に面倒くさがっていると思われがちですが、研究者の間では下手に食糧庫を作ったとしても、記憶力の低さから覚えていられないのが原因だろうと言われています」



 なるほど、確かに出てきたばかりの巣穴を忘れてしまう可能性がある記憶力では、食糧庫を作っても忘れてしまう可能性は否定しきれません。

 そのたびに巣穴のあちこちを探していては、非効率すぎます。

 地面に敷き詰めておけば、それこそいつでも好きな時に食べることができます。



「ただ、そんな彼らでもトイレだけはしっかりと専用の穴を掘っています。ほら、ここですよ」



 カメラの先……生活空間の一番奥の場所にもうひとつ、小さい穴が見えます。

 カメラを近づけてみると、そこには更に下まで掘られた穴と、ディグラビットの糞。さすがにそのあたりに適当にしているわけではないようです。

 ですが、彼らの記憶力ではこのトイレの場所も忘れてしまうのでは?



「それがどういうことか、彼らはトイレの場所だけは忘れないんです。今まで何十匹も観察をしてきましたが、彼らは一度たりともトイレの場所を忘れたり、間違うことはありませんでした」



 これは驚きです。

 彼らにとっては、巣穴の位置よりもトイレの位置というのは重要度が高いのでしょうか。それこそ、巣穴の作り方と同じくらいに。



「まさかそんなことはないですよ。実際には、臭いで判別しているのでしょう。

 彼らの糞はほぼ無臭ですが、こういった密閉された空間で同じ場所に糞が重なっていけば、それなりに臭いもするでしょうから」



 言われてみれば確かにそうです。

 出入口しか通気口が無い場所で、同じ場所に糞をし続ければ臭いも強くなっていくでしょう。

 視界や記憶が頼りにならなくとも、臭いがすればそこがトイレだと分かるのは当然です。



「さて、それでは先ほどの答え……掘った土の残りをどうしているのか見てみましょう」



 博士の言葉と一緒に、カメラがトイレとは逆方向にある入口を映します。するとどうでしょう。

 入口の横には、山盛りになった土があるではありませんか。



「これが残った土の行方です。彼らはこうして入口の横に土を保存しておき、身を守る際に入り口を塞ぐのに使ったり、巣穴の壁が崩れてきた時には随時補修を行っているんです」



 土を捨ててしまうのではなく、しっかりと保存して随時必要な場面で使っていく。ディグラビットがたびたび見せる賢さと、我々が聞いた知能の低い面のギャップには驚かされるばかりです。

 しかし博士は驚く我々を見ながら苦笑して言葉を続けました。



「まあ、ここだけ聞くと非常に賢そうに思えるんですが。ディグラビットは危険を感じて巣穴を閉じたら最後、どこが埋めた場所なのかを忘れてしまって、適当に上へと穴を掘って現在の巣穴を放棄し、新しい巣穴を掘りに行くんです」



 我々の口から思わず落胆の声が漏れました。賢いと思ったのに、まさか巣穴を忘れるのと同じ理屈で、自分の家を捨てることになるのが確定しているとは。

 身の危険に対してはとても賢くなる代わりに、それ以外の部分は抜けているというか、無頓着になるディグラビット。

 この二面性も、彼らの大きな特徴となるのでしょう。






最後までお読みいただき、ありがとうございました。

作者のラモンと申します。


ディグラビットの紹介その4となります。

アホだけど、生き残るための知能はある。そんな感じを表現できていればなと思います。



それではまた、次回でお会いしましょう。

ラモンでした。



※何度も書き直し、書き足しを行っているため、内容がおかしな場所があるかもしれません。

もし内容が繋がっていない、矛盾している、誤字脱字などお気づきの点がありましたら、感想などでご指摘ください。

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