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『追放者達』、対談する

応援が意外と集まったからか筆のノリが良いので更新ペースを上げました(笑)


これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

 


 挑まれた決闘を終えたアレス達『追放者達(アウトレイジ)』一行。


 彼らへと向けられる視線は、決闘の前と後とでは天と地ほどにも差が出来ており、圧倒的な実力を持つ強者へと向けられるソレへと変化を起こしていた。



 元々、リーダーとしてアレスを担いでいたが故に、向けられていた侮りや嘲笑といった感情。


 それらはあくまでも例の噂こそが真実である、と認識されていたが為に成されたモノであり、ソレが偽りであると、彼の実力はその地位に足るモノであると証明された事により、そう言ったモノを向けるのは彼の立ち位置を羨み、嫉妬している者のみとなっていたのだ。



 そんな彼らは、決闘を挑まれるよりも前に立てていた予定の通りに、確保していた宿へとしけ込んでいる……訳でも無かった。


 決闘前に掛けられた言葉と、最早『戦い』とも呼べない様な一方的な蹂躙を終えてしまったが為に昂りを覚えていたセレンとしては、訓練所の医療室での触れ合い程度では全く足りていなかったのでさっさとアレスと共に籠もってしまいたかったのだが、そこにとある人物から『待った』が掛けられてしまったのだ。



 故に、彼らの姿は未だに冒険者ギルドに留まっていた。


 何処の支部にでも基本的に備えられている、応接室の一つに通されて、全員で揃って席に腰掛ける。



 とは言え、そうして腰掛ける彼らの表情としては割りとバラバラ。


 戦闘を終えた直後にも関わらずリラックスした様子を見せているアレスと雑談しているガリアンに、自身のパートナーと微笑みを浮かべながら会話しているタチアナとヒギンズはまだ良いのだが、宿に預けて来た従魔達が気になるのかソワソワとしているナタリアと、一人予定を狂わされた事で不機嫌さを隠そうともしていないセレン、といった、中々に混沌とした雰囲気と場の空気を形成するに至っていた。



 ギルドの職員がお茶のお代わりを持ってくるのすら憚られる様な空気感の最中、唐突に部屋の扉が開かれる。


 そこには、貫禄の在る体格をした、髭を茂らせた隻眼の中年男性が立っていた。



 人種としては、アレスと同じ只人族(ヒューマン)と思われる程度の特徴が見て取れる。


 が、その佇まいと纏っている風格からして、只者では無いのだろう、という事が容易に窺い知る事が出来ていた。




「…………こちらから呼び出しておいて、遅れて悪かったな。

 楽にしてくれ、早速本題に入るとしよう」




 鋭い視線にてアレス達をジロリと短く眺めた後、応接室へと踏み込みながらそう言い放って自身も彼らの対面へと腰掛ける。


 そして、手振りでそちらを窺っていた職員に何かしらの指示を出すと、アレス達へと向き直り、再び口を開いて行く。




「…………さて、直接面識の在る者は居ない様だが、そっちのリーダーなら儂の名前位は知っているだろう。

 このアルゴーの冒険者ギルド支部のマスターを務める、マレンコという。今回、お前達に依頼を出す事になる依頼人でもあるな」



「…………!

 そうか、あんたがマレンコか。

 名前だけは聞いてるよ。

 尤も、アイツらの方とは、それなりに顔合わせしていたんだろうけどな」



「そういう皮肉は、今は止せ。

 噂になってたヤツが居なくなった途端に依頼の達成率はともかくとして質がガタ落ちになったわ、少し話題に出ただけでいきなり所属を変えようとしたわ、それで今は勇者サマのパーティーでご活躍されてる連中の事なんざ、今は良いだろうがよ。

 それより、互いに無駄にする時間が勿体無い。手早く済ませてしまいたいんだが?」



「唐突に呼び出しておいて『時間が勿体無い』とは、随分な言い草ですね?

 それに、あの連中の処分にもかなりの口出しをしてくれましたし、一体何をお考えなのでしょうか?事と次第によっては、私達との友好関係は保証出来ない、とお考えになった方がよろしいかと」



「そっちもそっちで、無駄に噛み付くな。

 儂とて、一介の冒険者が成すゴタゴタに一々首を突っ込みたくは無かったが、今回は別だ。

 何せ、評価はイマイチとは言え現在この都市で『看板』を背負っている様な奴らが、名実共に『Sランク』とはいえ他の場所に根差している『流れ』の連中に負けました、ってだけでも厄介なのに、その上散々甚振られて惨殺されました、何て事になったら、どれだけの面倒事になったと思う?

 そちらの火消しに駆り出さなかっただけ、まだマシだと思って欲しいのだがね」



「あら?それは、あの様なクズの本性を見抜けず、実力も確認せず、御大層な肩書を与えて好き勝手にさせていた貴方達にこそ責任があるのでは?

 私達は偶々、その事実が露呈するタイミングにてその場に居合わせ、絡まれた為にソレを全力を以て振り払っただけの事。

 勿論、全力、と言っても常識の範囲内にて手加減は私もアレス様もしておりましたけれども、ね?」



「なら、寧ろ適当にあしらう事すらも出来たのだから、何故そうしなかったのか、と詰問した方が良いか?

 あんなのでも一応、今アルゴーに居る中では最も腕の立つ分類に入る連中だったんでな。あれでも、抜けられるとこっちとしては痛いんだよ」



「だから、その穴を私達に埋めろ、と?

 そちらの不手際で空いた穴を、ほぼ無関係に近い私達が埋めなくてはならない理由は無いのでは?

 それこそ、並の報酬を積まれた所で、受けなくてはならない理由にはならないかと」



「…………まぁ、そうと言えばそうなんだが、こっちとしてはどうしても高位の連中に依頼したい内容なんだよ。

 おまけに、事と次第によってはそっちも無関係じゃなかったかも知れない、って案件なんでな。

 正規での報酬は保証するから、どうか受けては貰えないか?」



「…………と言うと?

 またぞろ、高ランクの魔物でも湧いて来たってか?

 でも、この季節に、か?」



「いや、そっちは違う。

 お前達が知っているかは分からんが、アイツらの持ち物を回収した際にヤベェモノが出て来てな。

 連中の一人を締め上げたら、何処で手に入れたのかゲロったんだよ。

 んで、そこの調査も兼ねて人を送りたい、って訳さ」



「…………ヤベェモノ、ねぇ……?

 ソレは何かい?何かしらの、ご禁制品でも持っていた、って感じだったりするのかなぁ?

 でも、冒険者だったら『市場に流すのも買い手が無いから出来ないし、使う事も出来ないから死蔵するしか無かった』って口のブツを幾らか保管してるのも珍しくは無いのだから、そこまで敏感に反応しなくても良いんじゃないのかなぁ?」



「儂とて、ただ持っていただけで使うつもりは無かった、って事ならここまで目鯨立てはせんよ。

 ただ、今回は別だ。

 何せ、ヤベェモノってのが、そこの聖女様に使おうとしていたモノって事だから、二重の意味で調べなくちゃならなくなったんだよ」



「…………へぇ?

 ご禁制品を、使うつもりでいた、ねぇ?

 しかも、セレンに対して、だと?

 と言う事は…………もしかして、あの酒場でセレンに無理矢理嵌めようとしていた、変な雰囲気のあった指輪がそうか?」



「まぁ、大当たりだな。

 んで、効果の方は『服従』だと出たよ。大方、こいつを使ってそっちの聖女様を従わせるつもりだったんだろうよ」



「……………………ちっ、蘇生出来ない様に、挽肉にしてやれば良かった……」



「あんまり物騒な事を呟いてくれるな。

 その癇癪の分も、しっかり奴らから搾り取ってやるのは保証してやるよ。

 それで、ブツの出処なんだが…………」




 そこで気不味そうに言葉を切ったマレンコの様子に訝しむ『追放者達』一同であったが、続けられた言葉により唯一アレスだけが過剰なまでの反応を返すこととなるのであった……。








「…………どうやら、ブツの出処は『ミクトラン遺構』らしい」



「………………はぁ!?

『ミクトラン遺構』!?なんで、そんな処から!?!?」





一体、どう言った類いの驚きなのか……詳細は次回!

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