表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

一講:やってはいけないNG集

 さっそくだがこういうあらすじはやめたまえという基本だ。ここからどういうあらすじを書くべきか見えてくる向きもあるだろう。




1:あらすじで誤字るのはさすがにやめろ


 先日、Twitterで流れてきた作品を覗いてみたら、明らかに厨二的な文章であり設定なのに、あらすじに極めて初歩的な誤字がある作品を見つけた。

 読んでいる自分が恥ずかしくなってブラバしたとも。

 本文? もちろん一文字も読んでない。


 どういう誤字……と気になるだろうけど流石に晒すわけにもいかないので、喩えるとだな……。


『第壱話 カケゴト

 ーーオールイン、全額ベッドするぜ。』


 こんな感じかね。やめて! ベッドしないで! ベットして!

 まあそのあらすじはその箇所以外にもツッコミどころは多かったが、この辺は最低限なんとかして欲しいものだ。


 句点や記法の明らかな統一感の無さも同様だ。

 あらすじなので、例えば段落の字下げをしてもしなくても良い。ある程度の長さがあるならした方が良いと思うが。

 だが、ある段は字下げして、ある段はしていないとか。句点『。』がついていたりついていなかったりとか。

 せめて統一感は持たせるべきだ。……いや、そんなの当たり前だと思うだろ? 実際こういうのあるから言ってるんだよ。

 段落の記法については詳しくまた語るので後述する。




2:あらすじにあらすじを書くな


 これに関してはよく言われていることであるし、聞いたこともあるだろう。


 あらすじは字義通り荒い筋であり、意味は物語の全容を要約したもの、言い換えれば梗概こうがいということになろう。


 あなたが出版社の公募などに作品を提出する際、あらすじを求められているのであれば、この梗概を書く必要がある。


 例えば芥川龍之介が、出版社に『蜘蛛の糸』を持ち込んだとする。

 この場合の梗概は、

「前略……。蜘蛛の糸はカンダタの真上で切れ、彼は再び地獄に堕ちた。それを見た釈迦は悲しそうな顔をして蓮池から立ち去った。」

 まで書く事である。

「前略……。蜘蛛の糸を登り始めたカンダタの運命やいかに……!」

 ではない。後者を書くとその段階で公募からはねられる。


 後者のあらすじは煽り文、宣伝用文句である。映画の宣伝や書籍の裏表紙に書かれている文をイメージしてもらえれば良い。


 では、なろうのあらすじに必要なのはどちらか。

 後者である。タイトルはあらすじを読んでもらうために、あらすじは第一話を読んでもらうために存在することは常に意識しておこう。

 一部のユーザが蛇蝎の如く嫌う長文タイトルであるが、あれとて手に取ってもらうための工夫である。


『長文タイトルだから読まなくなる読者数<長文タイトルを手に取る読者数』


 厳密には多少違うが、本質的にはそういうことなのだ。

 ともあれ、あなたが自作のタイトルやあらすじを読み返したとき、自分が、あるいは想定する読者層の読者が第一話をクリックしたい、と思えるか。


 どうやってあらすじを見た読者を作品に引き込むか。それが目的であると考えた時、自ずと見えてくる形があるだろう。


 では「運命やいかに……!」というあらすじは良いあらすじかという話はまた別の問題であるが。このあたりも後述。




3:へりくだりすぎると読者が不快


 拙作という表現が気になるという読者がいるという話を以前Twitterで見かけたことがある。

 自分の作品につたないと書くのは宜しくないと。


 個人的見解としては、それ言ったら拙者とかいう表現どうなのよという話であり、拙作という書き方は日本語として定着している(古めかしい言い方ではあるかもしれない)謙譲語であるから、さすがにこの話は言い過ぎであるように思う。

 だが、意味合いとしてはわかる。


 あらすじや第一話の前書きに、『駄作ですがよろしくお願いします』などと見かけることがある。

 これ、読者には逆に失礼ではあるまいか。

 駄作と分かっているなら読ませるなよと。


 ちなみにわたしはめんどくさい読者なので、駄作ですがって前書きにあると、それだけで評価するときに★の数減らすことあるよ。だって駄作なんでしょ?


 この手の過度なへりくだりの注意書きをしたくなる理由としては、読者からの心ない感想や設定矛盾の指摘などを避けたいという気持ちがあるかと思う。

 私などは気にならないタイプだが、もちろん心を痛める作者もいるだろう。

 ただ、その表現で読者が不快になっては意味がない。


 主に異世界恋愛ジャンルでは『ゆるふわ設定です』『心を広くしてお読みください』などという表現が浸透しているのでそれを使えば問題ないだろう。

 感想欄に変な読者湧いたら削除するなり、その感想を書いた読者をブロックするなり、作者自身への暴言であれば運営に報告するなり、いっそ感想欄を閉じても良い。

 このあたり作者を守る術は多いのでしっかり対応していこう。


 その他注意書きでよく見かけるものとしては『R15は保険です』『初心者です』などがあるが、正直読者としてはどうでも良い。

 イラストに関しては好まない読者もいるので、注意書きしても良い。


 ちなみに当然ながらこの手の注意書きがあったからと言って読者が増えることはあり得ない。

 注意書きが長々とあると当然好印象は与えないので、書くとしても短く端的に書くこと。

 ただし、他サイトで掲載している場合は、その旨をあらすじに書くこと。これは運営からそうするようマニュアルで指示されている。




4:実績報告(ランキング何位など)も最小限に。


PV1000突破!

ブックマーク100突破!

日間SFランキング3位ありがとうございます!

PV10000突破!

レヴューいただきました!

文字数10万字突破!

日間累計ランキング280位感謝です!

第○回○○大賞一次審査突破!


 いらん。感謝の気持ちは大切だし、活動報告やTwitterで書くなら全然構わないが、あらすじに書くものではない。

 せめて読者から見てすごいと思うことを書いてくれ。正直、大したことない数字を羅列されても逆効果である。


 個人的に総合または恋愛かファンタジーのジャンル別ランキングで5位以内に入ったことを1つか2つ書くのは広告効果があると思う。

 完結済みであること、完結したけど番外編を執筆しているならその旨は書いて良い。

 書籍化については(Web版が読まれたいのであれば)書くべき。それで検索する読者がいるため。




5:○○話まで読むと面白くなります!(ならない)


 絶対ならないと確信を持って言える。だってそこまで読まないから。


『何話まで読めば面白くなる』『最後にどんでん返しがある』


 いや自分で言うなよ。それは他人から受ける評価だ。

 こうあらすじに書いている作者に対して思うことは、「つまりそこまではつまらないんだな、読むのやめよう」である。


 Twitterのrt読む企画で冒頭の数話読んで読むのやめた時、作者に冒頭だけ読んでつまらないとか言うなとキレられたことがあるが、そんなこと言う前に冒頭を面白く書けとしか言えない。


 この手の話を書きたい作者がすべきは前半は面白く、途中から凄く面白くなる作品を書くことであって、前半がつまらなくて読者に我慢させる作品を書くべきではない。




6:固有名詞ゴリゴリ出すな


 FFⅩⅢの『パルスのファルシのルシがパージでコクーン』という有名なネタがあるが、固有名詞をあらすじに大量に出すことによって未読のものにとって意味不明な文章となる。


 例えば……そうだな。


『スティバーレの北方、フリウールを治めるユリシーズ・ローズウォール魔導伯。その嫡男ヴィンセントは、5歳で〈イグナイト〉に失敗する。彼はウィルフレッド、イヴェットに魔術の才があると知ると、ラツィオ・アンフィシアターでデュエリストとなると決意した。元S級デュエリストのアルマのもと、トルメッゾで5年間修行しギルド・ゴールデンバイソンへ。エンツォを倒しダミアーノに認められデュエリストとなる。しかしそこのブリジッタはインフィニット・キメラのインノチェンテに狙われており……。

 デュエリスト・ファンタジーの超大作ここに開幕!』


 なんだこれ。

 いや、自作『王都の決闘士』のあらすじを固有名詞マシマシにして書いてみたがどうだろうかって話なんだが。

 トルメッゾなんて地名、作者ですら覚えてない。全体的に同作を読んだことある読者ならギリギリ意味が通じるかなってくらいですかね。

 例えばこれを同じ内容でも固有名詞を普通名詞に変えていくと……。


『王国北方の辺境を治めるローズウォール魔導伯。その嫡男ヴィンセントは、5歳で〈発火〉の術式に失敗してしまう。彼は弟妹に魔術の才があると知ると、王都の闘技場で決闘士となると決意した。元S級決闘士のアルマと共に地方にこもって5年間修行して決闘士ギルドへ。そこの教練士を倒すことでギルド長に認められて決闘士となる。しかし同ギルドのブリジッタは調教師ギルドの幹部に狙われており……』


 どっちがわかりやすい? どっちが続きを読みたい? ということだ。

 固有名詞は多用すべきではない。

 主人公と主要登場人物(特に恋愛対象)以外の固有名詞をあらすじで提示すべきではない。

 そもそも意味が伝わらなくなるし、これを意味が通じさせようとするとあらすじが無駄に長くなる。そして情報量が増えると読者としては読む気が失せるのだ。




7:それだけ読んで意味のわからない文を書くな。


 これは第一話、プロローグにおいてもそうだが、謎のポエムとか夢や幻的なものを冒頭に入れるんじゃない。

 特にそれだけ読んで意味がわからないものは。


 どう言うのかって?あれだ……。


『どうしてこうなってしまったんだろう。

 誰が悪かったんだろう。

 君がいないこの世界は、こんなにも冷たいと言うのに。

 でもそれを誰も知らなくて、

 世界は美しくあり続けるんだ……。』


 とかなんとか悲しみに酔った感じで呼びかけているようなのに自己完結しているとポイント高い。

 書いたわたしももちろん意味がわからないし、読んだ読者も意味がわからない。


 同じように悪夢とか前世とか未来視のイメージとか。

 特に直近のシーンと無関係なのを冒頭に置くと、読者が置いてきぼりになるのでブラバ率が高い。




8:主人公は何を思い、何を成すのか。


 何を成すのかじゃねーんだよ。その内容をあらすじに書くんだよ。

 大体、これから作品を読む(かもしれない)ユーザにとって、作品の主人公にまだ何の興味も思い入れもないのだ。当然主人公が「何を思い、何を成すのか」と言われても、「知らん」としか返せない。


 ちなみになろうの検索機能を使って、

「は何を思い」447件

「は何を想い」69件

 516作品中、1万ptを超えているのは2件、書籍化作品なし。1万pt突破率0.4%。


 なろう全体の1万pt突破率は0.8%、詩とエッセイ除くと約1%なので、統計的にもダメだと分かる。


 何が言いたいかというと、この手のあらすじは、どういう作品なのか読者があらすじを読んでもわからないのだ。

 あらすじで梗概、文の全容を描く必要ないと言ったのは先述の通りだが、逆にどういった物語かわからないのもあらすじとしての意を成していないと言える。


 この手のあらすじの締め方としては、『二人の恋の行方は……?』とか『物語ここに開幕!』とか『主人公の物語が今始まる』なども当てはまる。

 これについては詳しくは後述。



9:唐突な自分語り!


 マジでやめろ(真顔)。

 なろうの低ポイント作品漁ると、執筆までの経緯とかあらすじに書いてある作品があったりするのだよ……。非常に困惑する。

 自分がどうしてこの作品を書くようになったかとか以前は別サイトで公開して云々とか何百字も書いた後に、

『内容は、主人公が異世界召喚されて魔王を討伐する話です』

 と一行だったりするのホントやめたまえ(疲労感)。




 とりあえず思いつくのはこんなところか。続きは近日中に。




NG集まとめ


・誤字はするな。句読点はしっかりつけて記法も統一感をしっかり。

・あらすじに梗概を書かない。読者が一話をクリックしたくなるあらすじを。

・へりくだり過ぎない。注意書きが過度にネガティブ表記にならないように。

(他サイト掲載している場合はその旨を書くこと)

・実績報告は最小限に。

・途中から面白くなるとか自分で言うのやめろ。

・固有名詞は少なく。主人公と主要登場人物の2つくらいまで絞る。

・あらすじだけ読んで意味がわからない文(ポエム的なやつとか)を書くな。

・主人公は何を思い、何を成すのか構文、あらすじの情報不足はやめろ。

・自分語りするな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] これは面白いのです(*´艸`*) 全部盛りしてコメディジャンルなら逆に読みたい(笑)
[良い点] これは凄いですね。 ちゃんと検索までしてパーセンテージも提示している所が特に良いと感じました。 そして各所にある一言ツッコミに吹き出しましたw [一言] こんばんは。 過度な宣伝文句の…
2022/03/12 01:14 退会済み
管理
[良い点]  あらすじを描くのが本当に苦手なので、こういう話はすごく役に立ちます。ありがとうございました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ