帰ったよ、全員集合
「おかえり」
「幼女にお帰りと言ってもらえる素敵な場所。それが『CeratoreOnline』」
「忍者になったんだって?」
「華麗過ぎるスルーに涙を禁じ得ないでござるが、まぁ、拙者元々忍者目当てで盗賊選んだところもあるでござるし」
戻ってきたごまイワシが視聴者向けに返事をしているなかエルメルが声をかけると。
それを起点にネタを振ってくるがエルメルはこれを華麗にスルー。
アップデート前からごまイワシが愛用していた職、『忍者』へと転職したのを彼の言葉で察すると、それを会話の種として撒いてみる。
「スキルとか結構変わってんべ」
「んだんだ。癖が強くなった代わりに強くなったか、使いやすくなったかで方向性が分かれているでござるね」
「持てる武器も追加されてるらしいし?」
「まーた検証という名の試し切りという名の籠り狩りになりそうでござるねぇ」
お互いに自分のスキルウィンドウを開いて見ながらの会話。
そこへ、
「戻り」
「マンチニキおかえりー」
「おかえりでござるよ~」
マンチが合流。
すると早速、
「マンチは何に転職したん?」
とエルメルが質問する。
「読み通りってか望んでいた職になれたぞ。当ててみ?」
その質問から、果たして何になったでしょうとクイズを出すマンチに、
「えー……元が魔法剣士でござろう? ……魔導剣士とか?」
「マンチだからもうちょいぶっ飛んでそう。……ズバリマジカルウォーリアーとかだな」
ごまイワシとエルメルが思い思いの職を想像で口にすると、
「両方ハズレ。正解は……『陰陽師』でした~」
どこから取り出したか式神の紙を見せびらかすマンチ。
「あー。見た目装備がそのままヒントになってんのか」
「一番陰陽師になれそうな初期職ってだけで魔法剣士選んでたのは内緒。まぁ、その念願はかなったわけだが」
「陰陽師になってスキルとかに変化は?」
「結構違うぞ。というか陰陽師って自分で殴れるバッファーみたいなノリだな。味方強化系のスキル多め」
「バフは腐らないからいいじゃん」
マンチの選んだ職を、彼の見た目から納得したエルメルと。
スキルのことを口にすることで確認を促すごまイワシ。
言われたとおりにスキルを確認したマンチは、いくつかのスキルを確認し、自分の戦闘での役割を理解する。
「そういや、ごま」
「うい?」
「転職して何になった?」
「忍者でござるよ?」
ふと、スキルを確認していたマンチがごまイワシに確認を取り。
聞かれるままに答えたごまイワシへ、取引を要求。
何事か分からぬままに取引に応じたごまイワシへ、
「俺が苦労して作った装備だけど、使える?」
ニュータイプ専用とまで言われた生産によって唯一作成した武器。
短刀『朧桜』を押し付ける。
「装備出来るでござるが……マジでいいんでござるか?」
「いい。つうか俺が持ってても持ち腐れだ。それ使って存分に狩れ」
受け取って、最初は戸惑ったごまイワシだったが、
「あ、カッコい」
装備し、身に着けるとうっすら桜色に光を帯びる短刀に、思わず素の感想がこぼれ。
「ごまばっかズルい。俺にも」
「ねえよ。つうかお前のもう一個の装備なんだよ」
「普通に片手剣ってあるけど? ……フリマ探せば落ちてねぇかな」
「どうせならユニークで固めたいでござるけどね。ユニークの情報集めてそいつ集中狩りした方がいい気がするでござるよ」
そんな会話をしていると、最後の一人が転職から帰ってきた。
「絶対アイドル」
「急に何!?」
戻ってきた†フィフィ†へ、何に転職したかをいきなり突きつけたエルメル。
「転職の予想でござろう。んー、モデルから何に派生するかって話でござるよねぇ……。無理くり言ってスタントマンとか?」
「いや、普通にアイドルになってきたけど」
「ですよねー」
そんなエルメルの予想は当たっており、†フィフィ†は『アイドル』へと転職したとのこと。
「みんなは何になったの?」
「忍者でござる。にんにん!」
「舞剣士になりまして」
「陰陽師なりける」
「なんとな~く予想通りかな?」
そうして全員が全員の職を把握して、お約束のようにスキルや新しく装備できるようになった武器の話へ。
「リボンと、追加でマイクが装備できるようになったんだよね」
「やっぱ歌うのか」
「もちろん歌うよ。アイドルだし」
「ショタアイドルってのはなかなかに業が深いと思うが?」
「二次元に理想を求めて何が悪い」
「そうだそうだー」
その話も、別方向へと盛り上がろうとしていると、
「って、そうじゃなくて、全員の二個目の武器のユニークを取りに行こうって話でござった」
「そんな話になってたの?」
「狙えるならな。視聴者に俺らが装備できるユニーク武器落とす敵の情報持ってる人居たらコメントで教えてくれない? 俺が片手剣で」
「俺が式神で」
「私がマイク」
†フィフィ†が返ってくる前の内容に戻したごまイワシに続き、エルメルが視聴者へと情報を呼び掛けて。
それぞれが欲しいユニーク武器を上げると、五分もしないうちに情報がコメントによって流れてきて。
四人が顔を見合わせ、ゆっくりと頷いて。
ユニーク武器を落とすまで離れませんキャンペーンの開始の合図が、四人の脳内に響き渡るのだった。




