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汎用ステータス

「とりあえず装備してもろて」


 装備欄にある以上、所持しているエルメルはその装備を視認できるが。

 当然他の三人には見えないわけで。

 マンチに促されてそのオーラを装備してみると……。


「おー……強者感凄い」


 エルメルの周囲に、ゴウッ! と一瞬風が吹き、周囲を薄っすら茶色のオーラが漂い始めた。


「土属性追撃、毒属性付与、毒属性追撃、土属性耐性上昇、毒耐性上昇……盛り過ぎでは?」


 そして、装備の効果を見て若干引くエルメルに。


「なんかエルメルだけ装備の引きよくね? あれか? 見た目アドか? 運営も幼女が好きなのか?」

「いや、エルちゃんのリアルラック高いのは知ってるじゃん? ごまさんのリアルラック吸い取ったのかってレベルのリアルラックしてたし」

「とりあえず拙者たちの中でも一番ヤベー装備みたいでござる。……ついでに聞くでござるけど、スロットは?」

「3」

「ギルティ」


 聞かなければよかったことを――あえてエルメルが口にしなかったことを尋ね、一人で有罪判決を出すごまイワシ。

 ――と、


「んー? 『オーラは入手機会が限られてるレア装備ってNPCが言ってた』……らしいでござるよ?」


 配信のコメントでオーラという装備の説明が流れ、それを読み上げる。


「あれ? 俺またなんかやっちゃいました?」

「腹立つなぁ……」

「ま、それは置いといて、よ。この後どうする?」

「どうするって?」


 それに対しおどけて見せるエルメルは一旦スルーし、これからどうするかを†フィフィ†が尋ねる。


「あー、レベル上げとかって話でござるか?」

「いや、エルちゃんを追い出すかって話だけど?」


 否、スルーしていなかった。


「追い出されたら泣くが?」

「幼女泣かせるとか絵面的にまずいからそんなことはしないでござる」

「絵面的にまずくなかったらしたんかい」

「ま、それは冗談として……。新しい装備手に入れたし、エンチャ……したくない?」

「したい」

「やりたーい」

「拙者は試し切りもしたいでござる。スキル把握しとかないと死ぬ未来しか見えないでござるし」


 普段通りのやり取りの後、どうやら†フィフィ†の言っていたどうする? の内容は、装備が新しくなったからエンチャントを行うか、それを無視してレベル上げをするか、という話だったらしい。

 結果はもちろんエンチャントに勤しむことを決めて町に戻ろうとする中、ごまイワシの目に一つのコメントが。


「『ネタ振りはいいとしてエンチャで攻撃ぐらいは上げてもよくね?』だそうでござるが?」

「エンチャでどれくらい攻撃補えるかだよな。これで極振りから一歩引いたくらいならエンチャするとヌルゲー化しそうでやだ」

「敏捷は135レベル分エンチャで賄えてるでござるからねぇ」


 そのコメントへの回答は、『楽になるならば嫌だ』であった。

 実際のところ、攻撃力にフルでエンチャントを施した場合、どこまで火力が伸びるかが想像がつかない。

 何せ、基準となっているのがエルメルの敏捷値なのだ。

 火力も同じくレベル135相当上がってしまえば、それこそ物理で殴るだけでこの先進めてしまう可能性すらある。

 ――が、


「『攻撃だと上限でも2レベ相当』だそうでござるよ?」


 コメントによって、攻撃力の上り幅が伝えられる。


「どうする? 振る?」

「俺は平均振りだから火力だけ伸ばせないからパスで」

「んじゃあ振らなくていいんじゃね? ほかに面白そうなエンチャあればそっちやってみてぇ」

「ほいほーい」

「りょ。んじゃあ一旦町に戻るでござるよ」


 それを踏まえた上で、マンチがそもそも振れないのだからそれに合わせようということで落着し。

 四人は、エンチャントを施すために町へ戻るのだった。

 ……四人は知らない。

 エリアボスを倒したことで、マップの端にひっそりと、新たに侵入出来るようになったエリアがあることを。

 そして、この先その場所でとんでもない時間を過ごす羽目になるということを。



「なんか、これまでと動きが違いますね」

「何度も倒したとはいえ油断はいけませんよ?」


 現在、ピラミッド内にてボス……と思われる【ツタンカーメン】を討伐中。

 十度目にして初めて行う敵の行動に、顔s含めた【ROOK WIZ】のメンバーは警戒する。

 闇属性の魔法による攻撃、剣、槍による武器攻撃、ピラミッド内に出現するモンスターを大量に召喚する魔法。

 それらが、これまで戦って記憶している【ツタンカーメン】の攻撃行動であった。

 しかし、今対峙している【ツタンカーメン】は大きく腕を広げて詠唱中。

 闇属性魔法による攻撃の時は、詠唱無く手から放ってくるだけに、その詠唱という行動が異質。

 だが、どのような攻撃であろうともバフによって防御も魔法防御も上げているし、仮に致命傷を負ってもヒーラーが控えている。

 そう考えた顔sは、【ツタンカーメン】が何をするのか、という観察を行っていた。

 すると……、


「ここは王の領域。愚民は踏み入ることを許されん」


 低く、重く。

 部屋全体を震わせるような声の後、起きたのは強い揺れ。


「何!?」


 その揺れはさらに強く、大きくなっていき、ついには立っていられないほどに。

 ――そして。

 【ROOK WIZ】のメンバーの姿は、【ツタンカーメン】の居るボスの間から、忽然と消えたのだった。

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