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汝、罪を認めよ

「つーかマジでマンチは? 最年長が一番遅いとかどうなってんだよ」

「普通こういうのって女性が遅いもんじゃないの? 私一番乗りだったんだけど」

「なんだかんだ言ってマンチニキ見た目拘るからなぁ……。リアマネ全部使うくらい衣装買ってても不思議じゃないのがまた……」


 ごまイワシの合流からはや十分。

 三人が三人に対するツッコミを一通り終え、もはや他にやることもなく待ちぼうけを喰らっている三人の怒りのボルテージは、徐々に徐々に高まっていく。

 ――と、


「わっりぃ。滅茶苦茶遅くなった」


 遠くから綺麗なフォームでダッシュをしてくる影。

 疑うことなくマンチだが、その姿に若干の違和感を覚える三人。

 頭身は高め、中性寄りの男性。ボイスに変化なし。

 そして、衣装は狩衣(かりぎぬ)という、平安時代以降に使用されたとされる普段着に当たる和風チックなもの。

 先のごまイワシの発言にあったように、三人のマンチの認識は拘りの強い人物である。

 そんな人物が、上下一セットで遊びの余地がない服装を選択しているという点がまず一つ。

 そして、そんな見た目であるのにも関わらず、集合場所に来るのが最後になった、という点で二つ。

 それが、三人が感じた違和感の正体である。


「何してたんだよ……」


 それらを踏まえた上で発せられたエルメルの発言は呆れに近いもので。

 もっと言うならば弁明を要求しているため息だったのだが……。


「うわっ!? ボイチェンで女性声にしてやがる!」


 マンチはそんなエルメルの発言よりも、普段から聞き慣れている声ではない女性声という点にだけ驚きを示し。


「別にエルたそのボイチェンは今に始まったことじゃないじゃん?」

「もう男の声でも女の子の声でも違和感ないんだよね、あたし」


 その事をすんなりと受け入れているごまイワシと†フィフィ†は、マンチの驚きを華麗にスルー。

 そして、


「そんなことより、なんでこんなに遅くなったの?」

「説明を要求するでござる」


 そんなこと、と片付けて、何故ここまでマンチが遅くなったのかを聞き出そうとすると。


「まぁ、その……なんだ。平均振りにするためのステータス計算とかやってたってのと――」


 マンチは頭をポリポリと掻きながら、遅れた理由の内の四割を口にした後、


「あと、何か拾ったんだよ」


 そう言って体を捻り、後ろにずっと隠れていた一人のプレイヤーを三人へとお披露目する。


「あ、えと、その……初めまして……」


 モジモジと。慣れていない様子で。

 突如としてショタ人魚とショタ勇者とロリ軍人の前に晒された一人のプレイヤーは、小さい声ながらも挨拶をする――と。


「通報ってどうやるんだっけ?」

「内容は何が適切かな? 人攫いなんて項目はないし……プレイヤーへの過度な迷惑行為でいい?」

「現実だと確実に案件ですしお寿司、その辺が適切じゃないかなと」

「ちょっと待てぃ!! なんで俺通報しようとしてるんだよ!!」


 自然な流れでマンチを通報しようとしている三人に、マンチ本人からの待ったがかかる。


「てめえの罪を数えろ」

「女の子攫うのは流石に一線超えてるでしょ。しかも理由が拾ったって……」

「親御さん泣いてるでござるよ」

「散々な言われようだな!! いいから聞けよ! 町の入り口で右往左往してたから大丈夫かいって声掛けたら一緒に付いてくる流れになったんだよ!!」


 マンチが連れていたのはロリ……とは言わないまでもお姉さんとも言えない、成長期前後の見た目の女の子。

 帽子や服、武器である杖に至るまで初期装備に身を包み、見た目装備も付けてはおらず。

 マンチの言い分を信じるならば初心者という存在であった。

 ――が、


「と被告は申しておりますが?」

有罪(ギルティ)

「意義無し」


 そんな事よりもマンチを弄ることに協力することを無言で選んだ三人によって場面だけは進行していく。

 後は罪の確定を待つだけである。


「こいつら無視していいわ。自己紹介だけしときな」

「はい! えっと、【パルティ】って言います! よろしくお願いします!! 選んだ(ジョブ)は僧侶です!」

「エルメル、職業は戦士。戦闘スタイルはインファイト。よろしく」

「†フィフィ†って言いま~す。職業はモデル。中衛から後衛が得意で~す」

「ごまイワシでござる。職業は盗賊。避けタンク担当でござる。にんにん!」

「んで、さっきも自己紹介したけどマンチな。職業は魔法戦士、戦闘スタイルは器用貧乏で」


 マンチに導かれるままに自己紹介したパルティに続き、三人もそれぞれ自己紹介。

 挨拶は大事。古事記にもそう書かれている。

 そして先ほども自己紹介したのだろうが、マンチが再度自己紹介する形で締め、ようやく本題へ。


「というわけでいつメンがようやく揃ったわけだが……パルティは一緒に来るのか?」

「え、あ、はい。良ければご一緒させて貰えないかなと。……私、ゲーム自体がそんなにやったことなくて、本当に右も左も分からなくて……」

「まぁ、いいんじゃない? 初心者には優しくしろっていうのは全ゲームの基本だし」

「まぁ、マンチニキが女の子攫ったって言うのはスレに投下しておくでござるが」

「やめれ。マジやめれ」

「マンチの処遇はごまに全任。さて、じゃあとりあえずパーティ組んでチュートリアル終わらそうぜ。下手すりゃまたムービーになりそうだけどな」


 そう言ってエルメルは全員へとパーティ申請を飛ばす。

 その申請を全員が受理したことを確認し、町の広場の方へと歩いていくのだった。

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