虎虎虎、我奇襲ヲ迎撃セリ
体調崩してしばらくお休みさせていただいてました!
また今日から出来る限り毎日投稿を続けていく所存ですので、よろしくお願いします!
指示されたとおりに次の町、『イエローデザート』を目指して進むエルメル達は、その移動過程で装備品の交換に応じるプレイヤーネームを読み上げる。
「ぱんぱかぱーん! まずは短剣を交換に出してくれる【farfal】さん、剣を交換の【メゾンドポタミア】さん、同じく剣の【二十輪車】さん、リボン交換の【114514P】さん、おめでとうございまぁす!」
該当するプレイヤーがコメント欄でガッツポーズをする中、さらにごまイワシは追加で一人名前を読み上げる。
「さ~ら~に~、独断と偏見で『ネタ武器です!』とメッセージをくれた【東西道中膝栗毛】さん。これはごまイワシ枠で当選となりま~す」
追加で一枠、動画映えを狙うごまイワシの気持ちを汲み取ったメッセージを送ったプレイヤーも読み上げられ、
「今名前呼ばれた方々はイエローデザート入り口に待機してくれていると助かるでござるよ」
「ついでに視聴してるなら職業もコメントしてくれ。どの追加効果渡すか会ってから考える手間が省けるし」
受け渡しの場所を指定され、
『二十輪車です。職業は『テイマー』』
『114514P。職は魔法使い』
『ferfalでっす。職業重戦士』
『メゾンドポタミア。ジョブは槍戦士』
『東西道中膝栗毛は盗賊やってまーす』
全員がコメントにて反応をくれて。
「テイマーって何特化になるの? なんか希望ある?」
「テイマーは装飾品を全部テイムしたNPCに付ける仕様らしいぞ。ダメージ反射が推奨されてる」
知らない職の事について尋ねると、育成掲示板から引っ張ってきた情報を口にするマンチ。
「んじゃ黒ね。魔法使いはどうだろ? 回避率か移動速度が丸いよな?」
「ぶっちゃけ移動速度は腐ることないからクッソ値段高いらしい。何だったら全職移動速度推奨って声すらある」
「流石にそこまで在庫ねぇから全員に配布は無理ぷー。あー……んじゃあ魔法使いには回避率あげて、重戦士に移動速度渡すか。壁役は貴重だから優しくしよう」
「盗賊には通常攻撃威力上昇の(赤)をあげて欲しいでござる。今の所火力スキル無いからどうしても通常攻撃に頼らざるを得ない」
「槍戦士は? 槍戦士も(赤)でいい?」
と、こんな風に誰に何を渡すかが決まり。
「幼女手作りのブレスレットだから大事に使ってくれ。間違ってもすぐにフリマに流さないでくれ」
「されたら幼女が泣きます」
と締めようとすると……。
『幼女の泣き顔見れるなら売るわ』
というコメントが。
「泣く時のセリフはびえ~んとかじゃなくてプレイヤー名プラス痴漢だが大丈夫か? ゲームの中ですら事案に持ってく気満々ぞ?」
「普通にやめなさい。まぁ売る売らないはぶっちゃけ個人自由でござるが、そう簡単に手に入る物でもないので計画的に」
「んじゃあイエローデザートが見えてきたので名前呼ばれた人らは待機で」
「あ、町に入った瞬間にイベントとかあるかもしれないからミュートにするでござるよ。なかったら即行音声戻すんで」
そのコメントに反応している間に町の入り口に当たるポータルが見えてきて。
ごまイワシは音声をミュートにし、いの一番にポータルを潜る。
そのごまイワシを追いかけるように、三人もポータルの中へと入るのだった。
*
イエローデザートに入ると、突然、
「たたた助けてくださ~い!」
と声が聞こえてきて。
「なn……へぶっ!?」
こちらに向かって走ってきた何者かのタックルを受け、マンチが吹き飛ばされる。
「何今の悪質タックル」
「分かるわけないでござる」
「痛たたた……へぇっ!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
そうして吹き飛ばされたマンチを見ながら†フィフィ†が尋ねるが、それを知る者は、今マンチから立ち上がった人物のみ。
頭上に『フリック・トリッタ』と表示されていることから、NPCであることが分かるその人物は、もう見た目全てが考古学者です。と主張しているもので。
背負った大きめの鞄から、地図やらよく分からない器具やらが露出している。
「んで? あんたは何から逃げていたんで?」
未だ倒れたままのマンチは無視し、フリックへとエルメルが尋ねると……。
「そそそそうでした!! あのモンスターが襲い掛かってきたんですよ!!」
指を差して、自分が走ってきた方向を指差すフリック。
その先には……。
「砂で出来た……虎?」
「テイマーが呼び出したやつじゃなさそうだ。それに、周囲には俺らとあのモンスターしかいないって事は?」
「イベントでござるね!」
ごまイワシの言葉を合図に、エルメル達へと走ってくる砂で出来た虎は――、
「すれ違いざまに[斬り抜け]!」
まずはごまイワシのジャブを喰らい、
「そりゃあダメージ喰らえば止まるよな! [薙ぎ払い]!!」
足を止めたところを、久しぶりにまともな使われ方をした横薙ぎを貰う。
「グルルァッ!!」
けれども大したダメージにはならず、標的を一番近いエルメルへと向けて襲い掛かろうとして、
「[ランダムエンチャント:青]!」
「[ハイキック]!!」
横っ面に水属性の乗った蹴りを浴び、大きく仰け反ると。
「袋叩きでござるぅ!!」
[流転]で戻ってきたごまイワシを皮切りに、エルメル、マンチ、†フィフィ†で四人でかこんでポン。
虎の形を保っていた砂がその内に崩れ、動かなくなったところで。
「色々と説明よろしく~」
これから始まるであろうイベントを先読みしたセリフを、エルメルは、フリックへと投げた。
ウマ娘は神。




