表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/157

三人はどういう集まりなんだっけ?

「アイキャンフライ!!」

「薬、ダメ、ゼッタイ!!」


 走り出した勢いのまま、エルメルとごまイワシは空へと跳んで。

 空中で体勢を整えたキャラコンお化けの二人の影は、空中で一つになる。

 エルメルが胸の前で構えた剣の腹にごまイワシは尾びれを着地。


「[薙ぎ払い]」


 それを確認し、エルメルは横薙ぎのスキルを発動する。

 現実で考えれば、踏みしめる場所がない空中での横薙ぎなど、たかが知れている。

 勢いも、力強さも、速度も。

 けれども、スキルとして保障された威力の横薙ぎならば。プレイヤー一人を弾くくらいならば。

 たとえ空中であっても可能である。


「ヤヤヤヤヤヤヤヤヤッフー!!」

「ケツじゃねぇしワープでもねえけどな! 行って来い!!」


 尾びれをしならせ、エルメルの横振りに合わせて跳躍したごまイワシは、はるか上空へと飛ばされて。


「あ、やべ。目測ミスったか?」


 フレイムワイバーンとは別の方向へ飛んでいくごまイワシを見てそうエルメルは呟くが。

 正直そっちの心配よりも、自分の心配の方が優先度が高い。

 建物の屋根から飛び降りて自由落下に入ったエルメルは、力の限り誰かに叫ぶ。


「誰か助けて~!!」


 その声は、一部界隈の人にはドストライクな声であり。

 具体的に言えば幼女の為にタコをタコ殴りにしていた方々に取って、聞き逃せない声であり。


「幼女の叫ぶ声がする!!」

「俺らを求める声がする!!」

「助けを求める声がする!!」


 残像すら発生させる勢いで、エルメルの落下地点へと駆け付けた変態三人衆は、両手を上に掲げ、受け止める準備。


「さぁ!! 我らの腕に!!」

「遠慮はいらない!! さぁ!!」


 端から見れば危ない絵面だが、当のエルメルは……。


(遠慮はいらないっつったな? その言葉に二言はねぇな?)


 なんて内心悪い顔して考えていて。


「きゃっ!」


 なるだけ可愛く。


「むべっ!」

「エンドリ!!」


 腕の中に――ではなく、三人の内、一番近かった一人の頭へと着地。

 落下の勢いにより、中々のダメージが入ってしまうが、着地された【エンドリ】と呼ばれた一人は……。


「……本望」


 幼女に踏まれるという本懐を成し遂げ、サムズアップして他の二人に笑顔を見せる。


「ちくしょう!! なんて綺麗な顔してやがる!!」

「羨ましい!! 羨ましいぞ貴様ぁっ!!」


 笑顔を向けられた二人は、踏まれたエンドリへと嫉妬するが、


「お兄ちゃんたち、ありがと。エヘッ☆」


 マンチやごまイワシが聞いたらドン引きする様な、作りに作った幼女スマイルと幼女ボイスでエルメルからお礼を言われ。


「「わが生涯に一片の悔いなし!!」」


 拳を天に付き上げて、真っ白に燃え尽きた。



 下でエルメルが変態相手に囲まれているころ。

 空中へと打ち出されたごまイワシは、フレイムワイバーンとの距離をどう詰めようかと考える。

 元々の案では、近くに撃ちあげてスキルで近付き、力ずくで動きを止める算段だった。

 だが、空中という不安定な状態と、それまでやったこともないプレイヤーを剣に乗せて弾くという行為。

 さらにはその分の重さも加わって、結果としてそれなりの距離が開いてしまった。

 届くか届かないかはフレイムワイバーンの動き次第。

 それでも、今更別のプランになど移行は出来ない。


(ダメで元々、成功するまで何度だってやってやるでござる)


 そう思って次の挑戦に向けて落下を受け入れようとしたとき。

 フレイムワイバーンとの距離が変わった。

 何事かと思ったごまイワシだが、すぐにそれは判明する。

 フレイムワイバーンの脇を、地上から発射されたであろう魔法が通過したのだ。


(マンチニキの指示でござるかなぁ? とはいえ、これならやれそうでござる!)


 魔法の回避の為に、上下ではなく左右の回避を選択したフレイムワイバーンは、結果としてごまイワシに近づいた。

 ――だから、


「[流転]!」


 先ほどまでの再挑戦の思考を、FIRST TAKE(ファースト テイク)で決める方向へとシフト。

 空中で、落下をキャンセルし、フレイムワイバーンへの距離を詰めるごまイワシ。

 それだけでは届かない――が。


「[抜け切り]!!」


 そんなことは百も承知と、既にターゲット指定しているフレイムワイバーンに向け、移動しながらの斬りつけを行い。


「っ!?」


 羽の先端に短剣が触れ……フレイムワイバーンがごまイワシに気付く。

 ――が、もう遅い。

 移動の勢いでそのままフレイムワイバーンに体当たりをしたごまイワシは、かろうじてその体を掴むことに成功し。

 体当たりを喰らったフレイムワイバーンは一瞬怯む。

 けれども、すぐに体勢を立て直し、自分の体にしがみ付くごまイワシを振り落とそうと、滅茶苦茶に動き始める。


「無駄無駄無駄ぁっ!! VRロデオマシン推定日本記録保持者の拙者を振りほどこうとかぬべっ! いった舌噛んだでござるぅ!!」


 が、騒ぎながらもしっかりと捕まったままのごまイワシ。

 ――そして。

 ごまイワシの急な登場と、登場と同時に体に捕まえられたことで、地上への注意が疎かになった時。

 地上からの魔法の一斉発射が、フレイムワイバーンとごまイワシを……襲った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ご、ごまイワシー!
[一言] エルメルが可愛いのは皮だけだ!気持ちは分かるが惑わされんじゃねえぞ!変態三人衆!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ