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三位一体

「[剣弩槍雷]!!」


 琥珀が必殺スキルを切ってまで突破した蟻塚の一階層。

 そこを抜け、螺旋階段を上り、扉をくぐった先には……。

 また、甲冑と馬鹿でかい盾を持った巨大な蟻が。

 そこを【ベーラヤ・スメルチ】のメンバー三人による必殺スキルで突破し、奥にあるレバーを倒す。

 すると、大きな音を立て、ついでに振動も起こしながら二階への螺旋階段の続きが出現。

 エルメル達がスキルの連打ですっ飛ばした最上層への道のりはどうやら険しいものらしく。

 紫陽花による必殺スキル――体にまとった雷を剣、弩、槍へと変化させて行う乱舞をもって、ようやく三階層目を攻略。

 そろそろポーション類が底を尽きる頃らしく、【ベーラヤ・スメルチ】のメンバーで回復アイテムを譲渡しあう様子が見受けられた。


「やー、思ったよりキツいね」

「ほとんど必殺スキル使わされましたね」

「一応、私は温存はしていますが、果たして私の必殺スキルだけで次を突破出来るかどうか……」


 レバーを倒し、上の階層へと向かうまでのひと時の時間。

 その瞬間にだけ許される安堵を噛みしめながら、琥珀、紫陽花、黒曜はため息をつく。


「黒曜が吹き抜けを飛べたらよかったんだけどね」


 扉をくぐり、螺旋階段へと戻ってきた琥珀は、その中央を見ながら呟いた。


「見えない天井に阻まれましたから、恐らく階段が出現している階層以上へは侵入出来ないようです」

「でもスキルによる移動ならちょっとだけ無視出来てましたよね?」


 鷲状態になった黒曜により、吹き抜け部分を飛べないことは確認済み。

 しかし、ごまイワシと同じく盗賊職を選択したメンバーが試したところ、どうやらスキルによる移動は制限されていないらしい。

 ――しかし、


「そうは言っても何回連続で移動スキル撃たなきゃなのか分かんないし、クールタイム絶対間に合わないから無理なんだよね」


 そう、スキルを連続で発動すれば一気に最上階まで行けるのだろうが、あいにくそこにはクールタイムという壁が立ちふさがる。

 つまり……当たり前にショートカットを行ったエルメルとごまイワシがおかしいのだが。

 その事を琥珀たちが知るのはもう少し先の話だったりする。


「まぁ、出来ない事考えても仕方ないし、先に進みますかっと……おや?」

「ここが一番上……みたいですが?」


 螺旋階段を上った先には青い扉。

 そして、扉の前には明らかに何かありそうな広場が作られていて。

 扉の存在を確認した所で、黒曜が後ろに続く【ベーラヤ・スメルチ】のメンバーを制して停止。

 続いて自分の連れている鷹へと意識を送り、鷹として操作を開始した。

 目的はもちろん安全の確認。

 扉の前で滞空してみたり、周辺を飛び回っては見たものの、特に何かが起きるような事はなく。

 大丈夫か、と思って意識を元に戻そうとした――その時。

 ガコンッ!! という音とともに、天井に穴が開き、砲台が顔を覗かせた。


「伏せ――」


 咄嗟に黒曜が叫ぶより早く。

 琥珀が、そして、それに続いて他の遠距離メンバーが、砲台へ向けて攻撃を開始。

 直後、砲撃を放ったのだろう。しかし、冗談のような速度で反応した琥珀の銃弾が、砲台を出きる前の砲弾を直撃。

 結果、発射されることなく爆発した砲台は、その爆発によって足場を崩すこととなり。

 エルメル達よりもスピーディに砲台の処理に成功した。


「びっくりしちゃうね、まったく」


 銃口から煙を上げたスナイパーライフルを担ぎながらおどけた琥珀に、


「とてもそうは見えませんけどね~」


 と茶化す紫陽花。

 そんな二人を短くため息をついて視線から外した黒曜は、


「再度鷹の目に接続して安全を確保しますね」


 その場にしゃがみ、空中に待機させていた鷹へと操作を切り替える。


「ん、良きに計らえ」


 そんな黒曜を手を振って送った琥珀は、歩いて吹き抜け部分へ近寄ると。


「よっと」


 身を乗り出してスナイパーライフルを構えると……。

 立て続けに射撃を開始。

 しかし、そんな行動の意図を知っている黒曜も、そして紫陽花を含めた【ベーラヤ・スメルチ】のメンバーも。

 ようやく、とその場に腰を下ろしてポーションを飲み始めたり、アイテムを好感し始めたり。

 つかの間の休憩を取った。

 ……その休憩も、黒曜が鷹から操作を戻したことで終わりを告げ。


「琥珀様、下への道以外はこの扉を残すのみにございます」

「ご苦労。んじゃ、行きますかー!」


 黒曜からの報告を受け、扉を指さしてそう高らかに宣言した琥珀を筆頭に。

 【ベーラヤ・スメルチ】のメンバーは、勢いよく青い扉を開いて中へと入っていった。



「ん?」

「お?」


 青い扉の先、そこで琥珀たちは見知った顔に出くわした。


「よ!」

「あれ? あんたらって別の蟻塚に行ったんじゃなかった?」


 琥珀の視界の先には、くつろぐ……というよりはだらけているようにしか思えない四人の姿が。

 地面に寝そべり、おおよそ幼女らしから体勢のエルメル。

 どこからか発生している波に揺られ上下しているごまイワシ。

 たがいに見合って真剣な表情で手遊びをしているマンチと†フィフィ†。

 見るからに暇を持て余している四人は、【ベーラヤ・スメルチ】のメンバーを見るとゆっくりと立ち上がり。


「まぁ、もうすぐわかるでござるよ」


 と、【ベーラヤ・スメルチ】達とは反対の方向を見て言うごまイワシ。

 その視線の先には黄色の扉が存在しており。

 さらに言えば、ごまイワシ達四人の後ろには赤い扉が存在していて。


「ん? これ、蟻塚の一番上の部屋が繋がっているってこと?」


 状況が呑み込めない黒曜が尋ねると同時に、黄色の扉は開く。

 そこから出てきたのは、顔s率いる、【ROOK WIZ】のメンバー達だった。

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