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派遣ギルド

 砂漠の鉱石洞窟へと向かう途中、何やらどこかへと連絡を取っているらしいごまイワシ。


「どったの?」


 それに気が付いたエルメルが尋ねてみると、


「いや、これから集める鉱石系って重量がめちゃ重なのでござるよ。だから、荷物持ちを一人派遣して貰おうかと……」


 と返ってきた。


「ほーん。その辺請け負うNPCも居るのか」

「プレイヤーでござるけど? ていうか別の形でお世話になってるはずでござるけどねぇ」


 何やら意味深な発言を残すごまイワシ。

 そして、ほんの数分後、


「本日は【満腹亭闇鍋】のアイテム運搬サービスをご利用いただき誠にありがとうございます!! 本日担当させていただきます『イプシロン』と申します!!」


 元気な……これ以上ない位の笑顔を弾けさせたさわやかイケメン高身長マッチョが到着。


「お、おう……」


 その笑顔にエルメルが気圧されるていると、さらに、


「今回のご利用は重量も期間も不明とのことで、利用終了を告げない限り料金が発生しますが間違いありませんか?」


 と。


「大丈夫でござるよ。前金はしっかり払ったはずでござるけど?」

「はい! そちらはしっかり確認しております!!」

「じゃあ大丈夫でござる。んじゃあ、早速パーティに誘うでござるよ」


 それを承知で頼んだごまイワシは、特に思うこともなくイケメンをパーティ招待。

 プレイヤー名、『イプシロン』が四人のパーティへと加入して。


「おー! お客様の情報は特に重要ではないのですが、あなた方があの四名だったんですね!」

「あのってのがちょっと引っかかるけど多分その四人じゃね?」

「二大勢力と言われた【ベーラヤ・スメルチ】も【ROOK WIZ】も抑えての功績一位ギルドですからね! 知名度抜群です! ……あ、あなた方が利用したと宣伝に使っても?」

「好きにするでござる。最初にそっちのマスターと契約交わした時に大体は許可しているでござるよ」


 鉱石洞窟へと移動しながら、イケメンとの会話を続けていると……。


「あ、私は戦闘要員ではないのでもしモンスターが出てきても戦いませんし、あなた方が倒れた場合は逃げます」

「大丈夫でござる。そこまで求めていないでござるし、さっきも言ったようにマスターから大体は聞いているでござるよ」


 釘を刺すように……というか、確認のためというか。

 恐らくは過去に似たような状況になって揉めたのであろう。

 そのせいか、しつこい様な説明が続いた。


「では安心しました。……で、目の前に敵です」


 ごまイワシの返事を聞いたイプシロンは軽く笑うと。

 洞窟の入り口すぐを指差してそう告げる。

 ――瞬間、既に地を蹴り斬りこんでいるごまイワシとエルメルに続き、マンチが前鬼と後鬼を召喚。

 †フィフィ†が[ブレイクダンス]を発動し、洞窟へと駆けて。

 入り口に居たのは、『モグモグ』というつるはしを持った茶色いだるまに手足が生えたようなモンスター。

 名前からしてモデルはモグラだろうか? 黄色い安全ヘルメットを被り、頭をガードしているそのモンスターに対し、エルメルは躊躇いなくスキルを発動。


「[羽々斬り]!!」


 両の剣で十字を描くように放ったスキルは、突如としてヘルメットの中へと体を収納した『モグモグ』によってヘルメットにのみダメージを与え。

 追撃も、属性追撃をも受けてなお、傷一つ付かないそのヘルメットから。

 顔を出し、指を指してエルメルを馬鹿にする態度を取った『モグモグ』へ。


「[クレセントライト]!!」


 下段からの斬り上げ。しかも、あることを狙ったその一撃は。


「きゅいっ!?」


 甲高い声を上げて驚く『モグモグ』が表すように、エルメルの狙いぴったりで。

 ヘルメットのつばの部分へ、剣先をひっかけて無理やりヘルメットを持ち上げ。

 守るものがなくなったその体へ、


「[クレセントムーン]!!」


 追撃の振り下ろしが、クリーンヒット。

 敏捷追撃と属性追撃のおまけを貰い、宙へと飛ばされた『モグモグ』は。


「いらっしゃいませ~!」

「お客様は何名様でしょうか~?」

「おタバコはお吸いになられますか~?」


 ごまイワシ、マンチ、†フィフィ†がそれぞれ迎撃。

 桜が舞い、二体の鬼が殴り、かかと落としを決められて地上へと叩きつけられ。

 姿は消え、アイテムをドロップする。


「鮮やかですね!! すげぇや!!」

「あれくらいなら楽勝なんだが……。何かいやーな予感がするんだよな」

「分かりみ」

「どうせ奥に行くとボスとかいんだろどうせ……」


 戦闘を褒めるイプシロンと、それに軽く反応してこの後に戦う敵を想像して身構える三人。

 それに対しごまイワシは……。


「いや、戦う気満々のところ悪いでござるが、拙者らがするの採掘でござるよ?」


 先ほどの『モグモグ』が落としたつるはしを担ぎ、めぼしい所へと振り下ろす。


「あ、敵倒して道具拾ってそれで採掘すんのか」


 その様子を見て合点がいったと手を打ったエルメルは、自分の分のつるはしを探す……が。

 どうやら先ほどの『モグモグ』が落としたつるはしは一本だったらしく、周囲には見当たらない。

 結局、次の『モグモグ』がリポップするまで待機することにし、それはマンチも†フィフィ†も同様だった。

 四人の手につるはしが握られたのは、最初の『モグモグ』を倒して五分後の事であった。

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