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鷹シー

「なんて作戦が下で立案されたそうですが?」


 琥珀からの呼び出しを受けた黒曜は、マンチたちが話していた銃弾を打ち返そう大作戦をエルメル達へと伝えた。

 ……すると、


「だったら変に適当な標的狙うより、俺狙ってくれた方が確実だと思うんだが?」


 なんてエルメルは口にして。


「……はい?」

「や、だからさ。俺に向かってくる弾の方がはじき返しやすいって話」

「何を言っておられるので?」


 思わず聞き返した黒曜に、何か? と首を傾げて返すエルメルに、同じく首を傾げる黒曜。

 エルメルの言っていることは、簡単に言えば自分に向かってくる銃弾を剣で斬るということ。

 もちろん剣の腹を使って弾く関係上、刃の部分と比べて幅はある。

 ただ、今度は打ち返す角度や向きなどの新しい問題が湧き出るわけで。

 つまりは、


「今まで銃弾をはじき返した経験がおありで?」


 やったことあるのか? と黒曜は尋ねたのだ。

 そして、その回答は……。


「あるぞ? 何なら琥珀だっけ? あんたのところのリーダーの弾打ち返したことあるぞ」

「……いつですか、それ?」

「わりとさっき。まだツタンカーメンがデカ物になってないとき」

「……分かりました。そのように伝えて来ます」


 納得したのか、どこか寂し気な声を残した黒曜はどうやら下の琥珀の所へと戻ったらしく、またツタンカーメンの肩にはエルメルとごまイワシだけになり。


「言うてそれしか方法ないんかね?」

「さぁ? でも現状できそうなのはそれくらいでござらんか? 想定解はぶっちゃけもっと単純なものだと思うでござるがなぁ……」


 暇タイムに突入。

 二人の間で今ホットな話題は、そもそもの正攻法はどんなものであったか、である。


「ワンチャンここに飛ばしたことが間違いだった説」

「けどそれだとピラミッド内部でこいつと戦うはめに……。デカすぎて変形できないワンチャン?」

「ありえそー。変に外に出したせいで面倒になってる可能性」

「んでもそうするとスフィンクスがピラミッドの中に入ってこなくてあいつ倒せないでござるよ?」

「順番が違うんじゃね? こいつ倒してスフィンクスって順番が正規ルートとか」

「あー。順番あべこべだから発狂してるのはありそうでござるなぁ」


 そんな、答えが確認できない思考のみの時間は割とすぐに終わりを告げて。

 下から戻ってきた黒曜が、背中に琥珀を乗せて戻ってきた。


「ていうかそうじゃん。背中乗せときゃ俺が弾く必要ないだろ」

「いやいや、さっきあいつに避けられたからね。避けられた場合も考えてエルメルさんには射線上に居て欲しいんだよね」


 その姿を見て、自分は必要ないのでは? と考えるエルメルだったが。

 琥珀に言わせてみれば、万が一先ほどのように避けられた場合に備えるバックアップであると説明され。

 さらに、


「色々やれそうってことで、俺らも来たぞ」

「やっと合流出来たー」

「エルメルさんお久しぶりです~!」


 マンチ、†フィフィ†、紫陽花もその背中に乗っており。


「乗員オーバーですよ……。せめて二人降りて……」


 流石に四人乗せての飛行には無理があるのか、先ほどまでと露骨に羽ばたきの回数が多く、さらに言えば息も荒い。


「三人とも降りて」

「うん、そうなるよね」

「知ってた知ってた」

「ではリーダー、ご武運を」


 琥珀に言われて素直にツタンカーメンの肩に降りた三人を出迎えるべく、数体の砂虎や砂蛇が襲い掛かる――が、


「ここ来て何するん?」

「何かあっても庇わないでござるよ?」


 エルメルとごまイワシ二人の、意にも介さない雑な攻撃で砂へと戻されて。


「せめて意識ぐらい向けてやれよ……」

「道端のありんこ如きに向ける意識は現実世界に置いて来たでござるよ」

「むしろ現実だとあるんだ、そんな意識」

「人魚の嗜みでござるよ」


 なんて会話をしているうちに、琥珀を乗せた黒曜がスーッと離れていく。


「ていうか接射じゃダメなの?」

「なんか、一番ダメージが出る距離が定められてるとかなんとか」

「あー、モン〇ンのクリ距離みたいなもんか」

「拙者双剣専門だから分からんでござるよ」

「ランス一筋なもんで」

「普通ブーメランだよね?」

「私ハンマー使ってたけど」


 そんな光景を見ながら、緊張感とは無縁な雰囲気を纏う一同だったが――。

 ジャコ。っと、琥珀がスナイパーライフルを構えると、即座にそんな雰囲気は吹き飛ばされて。

 いつでも宙へと跳んでスキルを発動できるように準備するエルメルとごまイワシ。

 その二人の動きを見て、何をしようかと出来ることを探したマンチたちは……。


「あ、そうだ。お前らさ、打撃属性の攻撃で顔面ぶん殴ってくれね?」


 思い出したようにエルメルから言われた言葉に頷いて。


「[ハイキック]!!」

「[使役律令:撃]!!」

「[雷撃殴打(ビートアクション)]!!」


 三人が、無意識に狙いを定めたのは突き出した顎。

 その顎へ、アッパーカットよろしく打撃攻撃を叩き込んだ――瞬間。


「ん?」

「おろ?」


 額のヒビが、盛り上がり。

 まるで、中から何かが突き破るような気配を覗かせて。


「コリン!! 追撃しろ!!」

「あいあい! [エアキック]!」


 †フィフィ†が追撃を行うと……。


「出たぞ!!」


 盛り上がったヒビから顔を出したツタンカーメンを指差しながら、エルメルが叫ぶ。

 その瞬間、


「真っすぐ、真っすぐ。貫き進め、[トップガン]!!」


 琥珀のスナイパーライフルが、装填された鉱石の弾丸を撃ち出したのだった。

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