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エリア51

「つーかそのジュエ? ってやつ。絶対こっちの都合考えてないって」

「なんでこんな代物渡したんだっての全く……」


 上空で琥珀がエルメル達へとアドバイスをしているころ。

 地上では、琥珀と雅葛がマンチから鉱石で出来た銃弾を受け取った。

 ……直後、口径的に誰の武器とも合わないために手直しが必要であると発覚し。

 一番精度も、練度も、射程も命中率も高い琥珀の武器の口径に合うように手を加えている所である。


「そんな違うの? 弾丸は弾丸だろ?」

「初期のころの対戦車ライフル弾が撃てる武器はそれ専用しかないわよ馬鹿なの!!?」

「つーか持ってて弾のサイズおかしいと思わなかったのかよ! 明らかにデカいだろうが!!」


 無知……というよりは興味がないジャンルのため知識がなく。

 ゆえにマンチが何の違和感も感じずに持ってきた銃弾は……大きかった。

 とてもとても大きかった。具体的に言えば二倍から三倍ほど大きかった。

 

「いや、普通の銃弾のサイズだと見失ったりしそうだし、手持ちにある時だけデカいタイプかと……」

「あー、分からなくもないけどそんなことないのよこのゲーム」


 荒削りの銃弾を一旦砕き、砕けた破片から適当な大きさの破片を見繕って研磨を開始。

 気の遠くなる作業に思えるが、二人の手の中で見る見るうちに銃弾は出来上がっていき……。


「こんなこともあろうかとは一切考えたことなかったけど、[銃弾研磨]ってスキル付いてる装備持っててよかったマジで」

「[弾薬加工]でもいけたから似た様な判定なんだろうな」


 スキルの力で、あっという間に琥珀の愛用武器の口径に合わせた銃弾が完成。

 後は放つだけ……なのだが。


「ここで問題を一つ」

「なんだ?」

「この銃弾を放つ上で、問題となるのは何でしょう」


 人差し指を立て、まるで教師のように問題を提示する琥珀。

 その琥珀の言葉を受けて、しばらく考えたマンチは……。


「実は鉱石なんて撃ったことないから弾の軌道が分からない」

「それは確かにあるけど多分大丈夫。想定解じゃないから次」


 思いついた答えを口にするが、どうやら違ったようで。


「はい! どこに撃てばいいか分からない!」

「ぶー。ツタンカーメンは頭の位置に居るってスポッターから情報貰ってますー」


 †フィフィ†の回答は、即座に否定され。


「まぁ、腕が邪魔過ぎて顔面狙えねぇってとこだろ」

「ピンポンピンポンピンポーン!」


 雅葛が正解を導き出した。


「確かに銃弾操るってわけにもいかねぇし、こっからだと絶対遮られちまうわな」


 その答えの示す通り、確かにマンチ含め琥珀たちの立っている場所はもろに顔面との間にツタンカーメンの腕があり。

 直線ではどうあっても銃弾は腕に防がれてしまうだろう。

 だったら腕をどうにかすれば? と思い立ったマンチだったが、


「ちなみにあの腕切り落とせないか試してるプレイヤー居たけど、砂が飛び散って降って来て敵に姿変えておしまいって感じだったから、腕をどうにかするってのは多分無理」


 と、思考を先回りされて否定されてしまう。


「じゃあなんで顔面防ぐくらい攻撃しちゃってんの?」


 そこで沸いた一つの疑問をぶつけるが……。


「や、だって額にヒビ入ってるなら攻撃すれば何とかなるって思わない!? あと、攻撃開始よりも銃弾持ってくるのが遅かったあんたに言われたくないんだけど!!」


 そもそもマンチが到着したのが攻撃を開始した後であるし、もっと言えばツタンカーメン攻略のアイテムが存在しているなどという情報はなかった。

 そんな状態で、いつ修復されるかもわからないヒビを見過ごすという判断は、流石に出来ない。

 結果として、その攻略アイテムの使い所が難しくなっているのだが。


「ん? 待てよ?」

「どしたの?」

「いや、どの範囲ならあの手に邪魔されない?」

「あいつあの巨体で結構早いのよね。 んで、自分の顔に飛んでくる攻撃全部防ごうとしてくるから……」


 言いながらツタンカーメンのリーチを目測で計算し、


「多分、あの雲狙って打てば腕で防がれることはないと思う」


 と、ツタンカーメンから言えば明後日の方向を指差す琥珀。


「……ワンチャンいけないか?」

「何の話?」


 一人考えながら何かをシミュレートしているマンチへ、†フィフィ†が尋ねると……。


「いや、空中でエルに打ち返して貰えば、ツタンカーメンに叩き込めないかなと」


 と、先程から考えていたことを口にする。


「あー、やれそー」

「けどそれがいる足場からは離れて……いや、黒曜の背中に乗せればいいのか」

「打ち返す方向がズレたらおじゃんだが大丈夫なのか?」

「そいつ、VR空間なら異常なほど操作ウマいのよ。ストラックアウトを打球で番号宣言しながらパーフェクト取るくらい朝飯前にやる」

「よくわかんないから分かりやすく例えて」

「ボールは友達だし奴隷のように動かせるくらい凄い」

「よくわかんない!」


 本人の知らないところでエルメルの評価がよく分からない方向へと向かっている気がするが、知らぬが仏。

 とりあえずやってみるかということでまとまった琥珀は、その事をエルメルに伝えるべく、頭上に待機していた黒曜を呼び戻すのだった。

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