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新春、始まり

春、出会いと別れの季節。あの悲しみから、はや1年経った。悲しすぎて1年が秒で過ぎた感じがしたよ、MAJIDE。

まあ、そんなこんなで高校2年生となった俺こと“時田 司”は学校で唯一の【友達0人のぼっちくん】である事以外、前髪が長いだけのそこら辺にいる普通の高校生……ではない。

何故かって?それは俺に、もう一つの“時田 司”という前世の記憶があるからだ。ちなみに容姿も才能も名前も本当にそのままである。

けどな!こう見えて前世では彼女持ちのリア充だったんだよ。

その前世の彼女の名前は“花京院 美咲”。前世の高校でのミスコンで3年連続で優勝した正真正銘の美少女だった。きらやかな黒くて長い髪、出ているところは出ており凹んでいるところは綺麗に凹んでいる。完璧な容姿に加えてクールな性格、けれど彼氏である“オレだけ”(ここ大事!)には甘えた表情見せてくれるという世の男子の理想を具現化したような人物なので会った。

ただ、付き合ったのもほんの1年間だけ。美咲の父親が転勤族だったのでお試し見たいに付き合っていただけだ。


『ゴラァァァァア!司、出てこーい!』


外から野蛮な声が聞こえるが日常茶飯事のことだ。もう気にしない。

俺は窓を開けて、外にいる野蛮人に声をかけた。


「はいはい、わかったよ美晴。今行く!」

「おう!早く支度しろな!」


彼女は“佐久間 美晴”。俺の最大の悩みのタネであり幼馴染である。ショートカットが似合う高身長の天然系美少女として一部の男子や女子から人気を集めている奴だ。ちょっとオトコっぽいのが欠点だけど。


「おい、何とーくの空見てんだ。遅れるぞ?」

「ああ、ごめん」


窓を閉め、自室を出る。階段を降りてすぐ様、玄関へと向かう。靴を履いて、立ち上がる。ドアを開け、()()()()()()に聞こえるか聞こえないか微妙な声で「行ってきます」と言った。

ドアを開けると目の前に美晴が居た。


「ごめん、待たせた」

「本当だぞ、おまえ〜!」

「本当に悪かったって………。」

「まあ、私もそこまで心が狭いわけじゃ無いからな。よし!Bランチで手を打ってやる!」

「はいはい、わかったよ……じゃあ、行くか」


クソ、コイツ無駄に高いBランチを奢らせやがって。

2人一緒に同じ歩幅で歩きながら、学校に行く。横を見ると長年見てきた整った顔がある。


「どうしたよ?そんなに見つめてきて〜」

ぼーっとしていたからわからなかったが見つめてしまっていたらしい。


「いや、特に理由は無いぞ」

「なんだなんだ〜もしかして惚れたのか〜?可愛い奴め〜!」ウリウリ

なんか今の発言に多少、本当に多少!ムカついたので冷たい言葉をかけてやった。

「それはねーよ!」

つーか、何頬っぺたウリウリしてくんだよ。まだ続けているし……。


「………なんだよ。そんなに否定しなくていいじゃんか…………」

突然、頬に痛みが走る。

「痛い、痛い、痛い!ちょっと美晴さん?!力のかけ具合、強いんですが!?」


「あ、ごめん……。」

そう言って、美晴は俺の頬から指を離した。まだ痛いな、ヒリヒリする。

ていうか……

「お前、さっきなんか言ってたか?うまく聞こえなかったんだけど……」

俺が言った瞬間、美晴は茹で上がったタコみたいに赤くなった。

あ、ちょっと可愛い……。


「うるせ〜!司のバーカ!」


途端に歩くスピードが速くなる。俺もそれに合わせて足を早める。

これが毎朝のお決まりだ。嫌だけど、嫌になれない不思議な決まりだ。

「それと、お前私の説明短すぎな気がするんだが……帰ったらお仕置きな……?」

前言撤回、やっぱり嫌だ!


個人的に美晴が気に入っています。

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