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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode1 女嫌い現る
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第7話 事情聴取

こんにちわ!

寒いですね。

でも書きます!

 朝、真樹と慶が登校して教室内に入ると雰囲気が殺伐としていた。理由は、前日の夕方に下校しようとしていた丘ユカリの頭部に真樹がフリーバッティングの際に打った球が直撃し、怪我をしたと言う事だった。ただ、当の真樹は否定し、ユカリとユカリを慰める女子生徒たちの間で意見の食い違いが勃発。教室内は一触即発になった。そんな中、教室のドアが開き…。

「みんなおはよー…ってどうしたのこの状況?」

 担任である立石美咲が目を丸くしながら入ってきた。それを見て、女子生徒の一人が手をあげながら言った。

「先生!昨日湯川君がユカリに大怪我させたんです!」

「丘さんが怪我?湯川君、どういう事?」

 立石が真樹に尋ねるが、心当たりがない真樹は首を振りながら答える。

「知りませんよ。こいつらが勝手に騒いでいるだけです。俺は何もしてない。」

「はぁ、あんた良くそんなこと言えるよね?」

「怪我させて謝りもしないなんて、本当に性格腐ってるわね!」

「サイテー!」

「女の敵!」

 尚も泣いているユカリを尻目に女子生徒たちの罵倒は止まらない。溜息をつく真樹、慌てふためく慶と杜夫だったが、立石は手を叩きながら言った。

「はいはい!話は後で聴くわ!今はとりあえずホームルームやるから一回落ち着きなさい!」

 立石のその言葉で再び教室は静かになり、ホームルームが始まった。その後、一時間目の授業が始まったのだがそれでも教室内はギスギスした雰囲気が漂ったままだった。


 一時間目の授業終了後、真樹は教室を出てトイレに行った。用を足してトイレを後にした所で話しかける人物がいた。

「よう。加害者の湯川!」

 そこには隣のクラスのサッカー部のイケメン、大和田裕也がいた。裕也は真樹を見下したような笑みを浮かべながら話を続ける。

「馬鹿にするだけじゃなくって、とうとう怪我させちゃったね。しかも学年でも評判の美人に。」

「何の用だ?」

 真樹と裕也は考え方も正反対であり、お互い見下しあっていて犬猿の仲である。真樹は憮然とした態度で裕也を睨みながらそう聞いたが、裕也は今度は怒りも含めた表情で真樹に詰め寄った。

「お前、本当にいい加減にしろよ。お前みたいな男がいると、他の男子の評判まで下がるだろ。」

「知らないよそんなこと。これから職員室でその話する所だ。」

「精々いい訳でも考えな。どの道お前の居場所はもう無くなったも同然なんだから。」

 裕也はそれだけ言うとその場を立ち去り、声を掛けた女子生徒と共にどこかへ行ってしまった。その後真樹は呼び出されたと言う職員室に入ってきた。そこには立石と、被害者だと言うユカリがいた。ホームルーム終了後、立石は一見の授業が終わったら二人に来るように伝えていたのだ。二人が来た所で立石による二人の事情聴取が始まる。

「で、状況を説明しなさい。まずは丘さんから。」

 立石に言われてユカリは説明を始める。

「はい。昨日授業が終わった後に模擬試験の勉強しようと思って図書室で自習してたんです。一通り終わったので帰ろうとしてグラウンドの前を通ったらいきなり何かが頭に当たって…周りを見たら足元に硬球が転がってて、グラウンドでは湯川君が打撃練習をしていました。先生、こいつをどうにかして下さい。もう痛くて痛くて、この硬さが頭に当たったら、下手すれば死んでたかもしれません。こんな危ない奴、同じ学校にいるだけでも苦痛です!それ相応の処分を!」

 ユカリの話を聞いた立石は渋い表情で頷いた。そして、今度は真樹に質問した。

「なるほどね。じゃあ、湯川君の言い分はどうなの?」

 立石の質問に対し、今度は真樹も反論した。

「確かにその位の時間にフリーバッティングはしましたし、何本か柵越えも打ちましたけどね。だけど、誰かに当てた覚えはないですよ。当たったら外野にいた人が気付くはずですけど誰もそんなこと言ってませんでしたしね。それに、もし打球が当たったならその場で文句言えばいいのに、次の日言いがかり付ける方もどうかと思いますが。」

 真樹の言い分を聞いた瞬間、ユカリは顔を真っ赤にしながら真樹に詰め寄った。

「ふざけんじゃないわよ偉そうに!私だってできるならそうしたかったけど、予備校の単科ゼミあったから渋々何もせずに予備校行ったの!そしたら、まだ痛むし犯人は反省してないし…もう本当に嫌!あんたの顔見るだけで気分悪くなるわ!」

「もし本当だとしても、その場で言わなかったお前にも非があるだろ!だからこんな風にややこしくなってんじゃないか!俺の打球が直撃したって証拠も無いのに一方的に犯人が俺って決めつけるんのもおかしいだろ。こっちだって身に覚えが無い事でここまで罵倒されて気分悪いわ!」

「何ですって?!」

「何だよ!?」

 職員室の中にもかかわらず、完全に喧嘩モードに入ってしまった二人。他の教職員達も唖然としていたが、この状況を黙って見過ごす立石ではなかった。

「二人とも、いい加減にしなさい!職員室の中で大ゲンカする生徒がどこにいるのよ?!とりあえず、立石さん。当たった所を見せてもらっていい?」

 立石は二人に注意した後、ユカリが当たったと言う場所を確認する。場所は右側頭部で流血はしていないようだった。立石は加えてあたったと言う場所を優しくなでるように確認する。

「うーん、大した怪我ではなさそうだけどコブができているわね。野球ボールかどうかは先生見てないから分からないけど、何か固い物が当たったのは間違いなさそうね。」

「そうですよ先生。湯川君が打った球が当たったんです!なのに謝らないんで何とかして下さい。」

 ユカリも必死で立石に真樹を処分するように懇願した。そして、真樹の方を向いて再び話し始める。

「湯川君。とりあえず君がやったっていう決定的な証拠はないからこの場であなたを処分したりはしないわ。だけど、この一見に野球部とあなたが関わっている以上関谷先生には報告させてもらいます。もう次の授業が始まるから二人とも戻りなさい。続きはまた別の時間に聞かせてもらうわ。」

 立石は二人にそれだけ言い、ユカリと真樹はそれぞれ職員室を出ようとした。ユカリはすぐに出て行ったのだが、真樹は立石に呼び止められる。

「待ちなさい、湯川君。」

「何ですか?」

 真樹は首をかしげながら立石の方を向く。溜息交じりに話し始めた。

「私はまだあなたを犯人だって決めた訳じゃないわ。だけどね、これだけは言わせて。これ以上他の女の子と喧嘩するのはやめて。私だって全部フォローできる訳じゃないんだから。」

「分かりました。僕も自分から喧嘩したいとかは思ってないんで、喧嘩売られた時は何とかして貰いたいんですけどね。」

 真樹は立石にそれだけ言うと職員室を出て行った。すると、外には慶と杜夫がいた。

「真樹、大丈夫だった?」

「お前が責められたから何事だと思って慶から事情聞いたんだが…いろいろ大変だったな。」

「まあ、俺が悪いって判決は出てないけどな。だけど俺の潔白が証明された訳でもないから状況はよくないんだが。」

 真樹は少し疲れた表情で二人に説明を始めた。それを見て慶と杜夫は真樹を慰める。

「大丈夫だよ真樹。僕は真樹が悪くないって信じてるから。」

「とりあえず、証拠だ。証拠さえあれば真樹の無実は証明される。俺もお前を信じる!」

「ありがとう。お前らにまで迷惑かけて悪いな。」

 真樹は二人に謝り、三人で教室に戻る。しかし、ユカリは学校でも評判の美人で人気者、一方の真樹は慶以外の女子全員から嫌われている鼻つまみ者であるが故にユカリを支持する者が多く、真樹にとって苦しい状況であることは変わりなかったのだった。

こんにちは。

またギスギスした状況になってしまいました。

不愉快に思ってしまった方は、申し訳ありません。

真樹君はまだ苦しい状況ですが、乗り切ることはできるのか?

また次回をお楽しみに!

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