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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode5 アイドル声優を潰せ
77/328

第76話 新たな一歩を進め!

おはようございます!

長くなりましたが、Episode5最後です!

 人気アイドル声優ユニット、トライスターズのメンバーが全員逮捕された。このニュースが世間にかなり衝撃を与えたのは言うまでもなく、特にトライスターズのファンの落胆ぶりは半端なかった。


「う…ウソだろ?」

「ハーモニーエンジェルどうなるの?」

「俺の人生オワタ…」

「応援してたのに…」

「何かの冗談だと言ってくれ…」

「明日から何で元気になればいいんだ?」


 こんな感じのコメントがネットに溢れた。しかし、ここまで来るとさすがに熱狂的なファンですら擁護できるはずもなく、彼女たちの無罪を訴える人はいなかった。そして、彼女たちの逮捕にホッとしている人物の一人、湯川真樹が今日も普段通り登校する。

「じゃあ、行ってきます。」

 朝、いつもの時間に家を出た真樹は3月の温かな朝日の下、駅に向かう。電車に乗り込むと、案の定よく出くわすトライスターズファンの男子高校生二人組がいたのだが、その表情は春の日だまりには似合わないほど暗かった。

「我が天使…悠ちゃんが。」

「逮捕…オワタ。」

「もう死にたいでござる…。」

「我らの元気の源が…。」

「もう、あの可愛い顔や歌声を拝めなくなるなんて…。」

「哀しい…。」

 やはりトライスターズのメンバーが逮捕されたのはショックだったようだ。そして、真樹はそれを心の中で笑う。

(フン。これで分かったろ。あいつらはこうやって他人の陥れて上にのし上がり、結果ファンの心までズタズタにした最低女たちだったんだよ。)

 そう思いながら、真樹は電車が駅に到着すると下車し、改札を降りる。そして、いつも通りに…。

「おはよう、真樹!」

 慶と改札で出会う。そして、真樹は笑顔で挨拶をした。

「おはよう、オニィ!この間はお手柄だったな。誇らしいぞ!」

「もう、恥ずかしいよ。でもまぁ、さすがにあれを見逃すわけにはいかないからね。おじいさんもありがとうって言ってくれたし。」

「そう言う正義感が強い所がオニィの良い所なんだから、誇りに思っていいじゃん。でもびっくりだよな。よりによってトライスターズの浦賀美優だったとはな。」

「僕もだよ。追いかけてた時は必死だったから分からなかったけど、取り押さえて帽子とマスクが吹っ飛んだ時は驚いたね。」

「まぁ、これでトライスターズも終わりでしょ。大津はともかく、他のメンバーもあんなにやらかしてたなんて。」

「だよね。でもよかったんじゃない?諸悪の根源を一網打尽にしたことで、埋もれてた声優さんも出てくるようになるし。」

「ああ。そうだな。それとオニィ。」

「何?」

「テレビのインタビュー、よかったぜ。ハキハキ喋れて受け答えも丁寧だったぞ。」

「もう、やめてよ恥ずかしい!」

 真樹は慶の取材での様子を褒めたのだが、慶は恥ずかしそうに顔を赤くした。その後、慶の活躍は複数のメディアに取り上げあられ、「お手柄陸上女子高生、快速飛ばしスリ確保!」「女子高生ランナー、スリを捕まえる!犯人は人気美女声優、浦賀美優!」等のタイトルがつけられ、この活躍を讃えて警視庁から表彰されるそうだ。そんな感じで楽しく話しながら二人は学校に到着。教室に入ると、杜夫が子の様の終わりの様な顔をして座っていた。

「おはよう、杜夫。どうしたんだよ、そんな暗い顔して…。」

「美優ちゃんが逮捕…。俺はもう終わりだ。元気の源を失ったからもう何もする気が起きない。」

 浦賀美優の大ファンだった杜夫は、やはり今回の事件に関してショックを受けているようだった。外は天気がよく、暖かな日差しがあるのに杜夫は魂が抜かれたかのごとく落ち込んでいる。真樹は溜め息交じりに杜夫に言った。

「仕方ねぇだろ。お前の推してる浦賀美優はスリの常習犯。そして、大津は虐めや名誉棄損、恐喝、器物損壊、馬堀春香は麻薬中毒で全員擁護の仕様がねえじゃん。」

「だからだよ、真樹。あんな天使みたいに可愛いトライスターズが犯罪するなんて信じたくなかった。これで凹まない奴なんかいないよ。それと、俺の大好きな美優ちゃんがよりによって鬼越に捕まえられるなんて…。」

「ええ…そこ?言っとくけど僕も浦賀美優だって分かってて捕まえた訳じゃないからね!」

 そんな感じでまだ元気を取り戻していない杜夫に対し、真樹と慶はすっかり呆れつつこの日の学校生活が始まったのだった。


 ある日。都内のとある留置所。ここに一人の若い女性が牢屋の隅っこに座っている。そう、今回の事件の元凶である元トライスターズのリーダー、大津悠だ。悠は逮捕されてからすっかり元気をなくし、一日の大半を誰ともしゃべらず、ただ時間が過ぎるのを待つだけの生活を送っている。そんな彼女の元に、一人の看守がやってきた。

「大津さん、面会だよ。」

「…。」

 看守にそう言われると悠は黙って立ち上がり、面会室へ連れて行かれる。部屋に入ると、悠は面会に来た人物に驚きを隠せなかった。

「ゆ…湯川がどうして?」

「よう。どうだ、逮捕された気分は?」

 面会に来たのは真樹だった。悠はふてくされた表情で椅子に座ると、愚痴るように話し始めた。

「何しに来たんだよお前。私の人生もう滅茶苦茶よ。今年は紅白出ようって思ってたのに、全てがパーよ。」

「自業自得だ。俺も含めてお前に人生狂わされた人間は山ほどいるんだ。そんなお前がのうのうと何事もなく生活していいと思っているのか?」

「うるさい!今は可愛いこそ正義よ!可愛い人はいるだけでみんなを癒すの!あんたみたいにいるだけでみんなを不愉快にするキモい人種なんか消えてしまえばいいのに!私は…私たちトライスターズはみんなから可愛いって言ってもらえて、多くのファンの期待を背負った。だから常にトップにいなきゃいけないし、邪魔者がいたら排除しなければならないの。私みたいに可愛い女が、役に立たない、私達の活躍を阻もうとする奴らを成敗して何が悪いの?」

 悠には全く反省の色は無いようだ。真樹は少し暗い頭を冷やしているんじゃないかと思っていたのだが、期待外れだった。

「どこまでも痛々しい女だね、お前は。お前がやっているのは正義じゃない。自己満足による卑劣極まりない行為だ。お前は自分の腕を磨かず、他人を蹴落とすことでしか上に上がれない最低な女だって世間に示したことが分からないみたいだな。」

「うるさい!あんたが…あんたがあの老害監督に地味女声優を紹介して、ダイノイドを完成させなければ…今頃私達トライスターズ、そしてハーモニーエンジェルは覇権を取れたのに!こうなったのは全部お前のせいだ!」

「ほら、すぐそうやって人のせいにして自分は反省しない。負け認めているようなもんじゃん。まぁ、結果がどうあれ、お前たち全員逮捕は変わらなかったと思うけどな。」

 真樹は悠の言動にすっかり呆れかえっていた。因みにあの後、トライスターズの所属事務所であるフェアリーフォースは事務所の代表が会見を開き謝罪。その後責任を取って辞任する事になった。そして、事務所の稼ぎ頭の不祥事はイメージを悪化させ、更に人気や知名度も圧倒的だったトライスターズを失ったことで経営も悪化。フェアリーフォースは倒産する事が決定した。そして、トライスターズが主要キャラ3人を担当した聲天使ハーモニーエンジェルは放送休止していたが、悠に続いて春香と美優までもが逮捕されたことを受けてそのまま打ち切りになり、予定されていた第2期も当然白紙に。更にDVD&ブルーレイ、主題歌のCDの販売までもが中止になってしまった。そして、面会時間終了が迫る中、真樹は最後に軽蔑の眼差しで悠に言い放った。

「最後に言わせてもらうぜ。人を陥れると、それ以上の報復があるんだよ。お前は可愛いは正義だって言ってたけど、可愛ければ何をしても良い訳じゃねえからな。結果がこのザマだ。相方共々反省しなければ、お前は一生屑のままだからな。じゃあな、クソ女!」

「…!!うっ…うっ…!」

 悠はさすがにショックを受けた。本来自分達が手にするはずだった栄光は逃げて行き、かつて自分がいじめた同級生によって全てを失うことになってしまったからだ。面会時間が終了し、真樹が帰った後、悠は泣きながら看守に連れられて独房へと戻ったのだった。


 数日後。温かな春の日差しの中、大谷津学院では卒業式が行われていた。式は特にこれといったトラブルもなく無事に終了し、最後に在校生による見送りが行われた。真樹も野球部の先輩部員やその父兄にあいさつ回りをしており、その後秀太の所にやってきた。

「先輩、卒業おめでとうございます!」

「おう、真樹!見送りありがとうな!」

 秀太の方も笑顔で真樹に挨拶した。秀太は無事に第一志望である都内の有名私立大学に合格し、4月からは大学生活を送ることになっている。

「俺達は出来なかったけど、今年は甲子園出ろよ!期待してるからな!」

「はい、がんばります!先輩も大学背活頑張って下さい!」

 互いの健闘を祈る中、ある人物が二人の所にやってきた。

「あ、いたいた!おーい、秀太!湯川君!」

 声がした方向を振り返ると、智子がやってきたのだった。智子は笑顔で駆け寄ってくると嬉しそうに話し始める。

「ごめんね遅くなって。ともかくあんたは大学頑張んなよ!それと、お父さんとお母さんは?」

「父母会の人達と話してくるってさっき向こうに行っちゃった。今日収録ないのか、姉ちゃん。」

「うん、今日はお休み!明日からまた忙しくなるわ!」

 智子は嬉しそうな表情で話した。そして、真樹の方を向いて微笑んだ。

「湯川君。あなたには本当に助けられたわ。ありがとう!」

「いえいえそんな。僕はそんな大したことしてませんよ。」

「そんなことないわ!あなたが私を紹介してくれなかったら今頃声優を引退していたもの。大門監督も湯川君が私の事を紹介してくれて感謝してるって言ってたわ。」

「いえいえそんな…。」

「謙遜しなくていいわ。私、ダイノイド出てから自信持てるようになって、新たにBSでやる中国ドラマの吹き替えと、アニメの仕事がもう一本、それとスマホゲームの新キャラの声も決まったわ!」

「本当かよ!さすが姉ちゃん!」

 智子はダイノイドでの実力が認められ、新たなレギュラーを獲得していた。ダイノイドはその後、新キャラのプテラノイドが参戦して更に人気を伸ばし、視聴率も上昇して関連グッズの売れ行きも好調だ。

「ともかく、私はこれから声優としてもっと腕を磨くわ!秀太も、湯川君も頑張るのよ!応援してるから!」

「勿論だぜ、姉ちゃん!俺もせっかく頑張って大学入ったんだ!悔いのない大学生活を送るぜ!」

「ありがとうございます、智子さん。これからも応援します!先輩も大学生活、楽しんで下さい!」

 真樹は智子と秀太にそう挨拶し、その場を後にした。先輩の卒業、智子の覚醒、そして自身の進級と様々な出来事がある中、真樹は自分も頑張っていこうと誓いながら卒業生たちを見送ったのだった。

おはようございます。

ようやくこの章が終わりました。

予想より長くなってしましましたが、何とか書き終えられてよかったです。

そして、次回の新章から真樹達は2年生に進級します。

進級した真樹に待ち受けるものは何なのか?

次回をお楽しみに!

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