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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode5 アイドル声優を潰せ
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第74話 逮捕の衝撃

こんにちわ!

物語もいよいよ佳境です。

 人気声優ユニット、トライスターズのリーダーである大津悠が逮捕されたことは連日報道されている。この日も真樹は登校前に自宅のテレビで朝のニュース番組を見ていたのだが、ここでも悠に関するニュースが流れていた。

「人気アイドル声優の大津悠被告が逮捕されたことについて、新たな情報が入ってきました。被告は、現在放送中の人気アニメ『機動恐竜ダイノイド』に出演している声優の稲毛智子さんに対し、ネット上でプロフィールを無断で晒した上、誹謗中傷を煽る記事を作成していたことが発覚。稲毛さん及び、稲毛さんの所属事務所は名誉棄損で告訴する事を発表しました。調べに対し被告は、『若くも可愛くもない声優がメインキャラをやり、それが人気出ることが許せなかった。みんなもっと自分に注目してほしかった。』と容疑を認めている模様です。大津被告の所属事務所は『応援してくれたファンの皆さんの夢を壊してしまい、大変申し訳なく思います。』と謝罪のコメントを発表しています。」

「しっかし…この子お前と同い年だろう?こんなに罪を重ねて、親御さん悲しいだろうねぇ。」

「可愛い顔しているのに、怖い子だねぇ。これだけ多くの人に迷惑をかけるなんて…。」

 正三と多恵は呆れ顔でそう言っていた。真樹も溜息交じりで二人に話す。

「ああ。こいつ俺の中学の同級生だよ。声優なった時はチヤホヤされてたけど、今じゃすっかり同級生の恥晒しになったな。哀れなもんだ。」

 当然ながら、かつての被害者である真樹は1ミリも悠に同情するつもりは無かった。むしろ、逮捕されるべきであると考えていた位である。その後、朝食を食べ終えた真樹は身支度をし、学校へと向かった。


 登校後、教室にて…。

「なぁ、真樹…。どうしてこうなっちゃたんだろうな…?」

「あれだけ罪を重ねれば当然だ。」

 落ち込んでいる杜夫に対し、真樹は感情をこめずにそう言った。案の定、トライスターズファンの杜夫はメンバーの逮捕報道に対し、ショックを受けているようだ。しかし、一緒にいた慶と美緒もこれに対し辛辣に答える。

「僕はあの子を許さないけどね。だって、あんな掲示板作って智子さんを再起不能寸前まで追い込むなんて、まともな人間のやることじゃないよ。怖すぎるし…。」

「私もよ。全く…同い年の女として恥ずかしいわ!気に入らないからって、別の声優さん脅迫して、降板させた上に役を奪い取るなんて…。演技も上手くないのに、作品の質下げていること分からないのかしら?」

 慶も美緒も悠に同情するつもりは無いらしい。因みに、悠が逮捕されたことによってこの週に放送される予定だったハーモニーエンジェルの第9話は急遽放送中止になった。その他にも悠が出演している作品は全て放送休止に追い込まれ、色々な所がパニックになっている。すると、杜夫が真樹に言った。

「なぁ、聴いたぞ真樹。お前、悠ちゃんと中学校同じだったんだって?」

「そうだけど何か?正直あいつの事なんて、思い出したくもないんだけど。」

「はぁ…こんな事にならなかったら、お前に頼んでトライスターズのサインもらってきて欲しかったのに…。哀しすぎる。どうして仲よくしてくれなかったんだよ。」

「意味が分からない。あんな意地悪女誰が仲よくしたいって思えるんだよ。それに、仲良くてもあれだけ悪事働いた奴いたら警察突き出して償わせるわ。それが普通だろ?」

 どうやら杜夫は真樹を通じてトライスターズのサインをもらい、あわよくば憧れである浦賀美優とお近づきになれると考えていたようだ。しかし、悠と犬猿の仲な上、トライスターズを目の敵にしている真樹はそんなん事するはずもなく、悠が逮捕されてしまったため、杜夫の(高すぎる)夢は実現不可能になった。すると、慶が何かを思い出したかのように言う。

「でもさ、リーダーが逮捕されたってことはもうトライスターズ解散じゃない?だって、こんな事になったらもう活動どころじゃないでしょ。残りのメンバーだけでユニット活動するんなら話は別だけど。」

「まぁ、無理よね。こんな状態じゃ頭の整理できてないでしょ。所属事務所も残りのメンバーもそれどころじゃないと思うわ。」

 美緒も慶に乗っかるようにそう言った。所属事務所であるフェアリーフォースは今の所トライスターズの解散を発表していない。しかし、主軸が抜けた以上解散は時間の問題であることに変わりは無かった。そして、杜夫が口を開く。

「で、でも大丈夫!愛しの美優ちゃん…それと春香ちゃんも可愛くて歌もダンスも上手いから、ソロでも十分やっていける!どんなことがあっても、俺はあの子たちの味方だ。」

「5年後声優として生き残ってる保証は無いけどな。」

 真樹が止めの一言を指すと、流石に杜夫は何も言い返せなくなっていた。その後、チャイムが鳴って休み時間が終わり、真樹達は授業を受けるのだった。


 一方その頃、都内のスタジオではダイノイドの収録が行われていた。今収録している回は智子演じるデリジノイドに焦点を当てた話だった。内容はと言うと、偵察に出掛けたデリジノイドが敵対するヘルズメテオの新兵器の罠にかかり、捕らえられてしまった。それを京太郎や残りのダイノイド達が探して助けに行くという物だった。収録は順調に進み、今アフレコしている場面は、無事デリジノイドを見つけて助けだし、ボロボロになりながら反撃しようとしている所である。

「デリジノイド、大丈夫か?」

「ええ…何のこれしき…うっ!」

「無理しちゃだめだよデリジノイド!動力回路がかなりやられているみたいだよ。」

 ボロボロになったデリジノイドはティラノイドに介抱され、戦闘に戻ろうとした所を京太郎に止められた。しかし、それでもデリジノイドは戦おうとしていた。

「だって…私が捕まったせいでみんなに迷惑かけたから、あいつを倒してみんなにお詫びがしたいの!だから行かせて!」

 ダメージは深刻だが、デリジノイドは敵の目の前に立った。その様子を見ていたスピノイドとイグアノイドもデリジノイドの意思を尊重する。

「分かりました。じゃあ、足引っ張らないでくださいよ。」

「ウォーッス!そのやる気、受け取ったッス!一緒にあいつをぶちのめしてやろうッス!」

 4機のダイノイドはヘルズメテオの前に立ちはだかった。その様子を見たヘルズメテオの一味は嘲笑しながら言った。

「ほう。やる気だけは一人前なようだな、ダイノイド。だが、最早貴様らに我を倒すことなどできん!」

「それはどうかな?みんな!合体だ!」

「「「了解!」」」

「「「「4体合体、ゴッドザウラー!!!!」」」」

 4機のダイノイドはゴッドザウラーに合体した。デリジノイドのダメージが大きくて普段より動きが鈍ってしまったが、デリジノイドはそれでもくじけなかった。智子の方も、緊張する場面故、声に力が籠っている。

「こんな事で私はくじけないわ!どんなことがあっても、私には信じられる素敵な仲間がいる!だから、そんなみんなと一緒に悪を消し飛ばしてやるわ!行くわよみんな!」

「「「おう!」」」

「「「「必殺、ダイナソーブラスター!」」」」

 ダイナソーブラスターとは、胸の部分のティラノサウルスの顔から高出力のビームを発射する必殺技である。ビームを繰り出したゴッドザウラーはあっという間に敵を消し飛ばしてしまった。その後、合体を解除して岐路に着く一同。

「みんなありがとう。私、みんなを信じて良かったってこれほど思った日は無かったわ。後、捕まってごめんなさい。」

「いいってことよ。無事で何よりだ、また一緒に頑張ろうぜ!」

「失敗から学ぶこともあります。気を付けて行けば成長につながるのです。」

「ウオーッス!自分も気を付けるッス!お互い切磋琢磨ッス!」

「僕も、デリジノイドが助かってよかったよ。さぁ、早く帰っておじいちゃんに直してもらおう!」

 こうして、ダイノイド達はこの日もヘルズメテオから地球を救ったのだった。

「はいカット!オッケー、みんなお疲れ様!」

 大門がブースの外から指示を出す。この日の収録はこれで終わりなので、声優陣やスタッフ達は後片付けをして帰る準備をする。智子がアフレコブースから出ると、大門が拍手しながら声をかけた。

「お疲れ!いやぁ、稲毛さん。今日の演技よかったよ!スゴい気合が入っていて、本当に戦場にいるような臨場感が伝わってきたよ。なんか、この間は色々大変だったけど、本当に元気になってよかった。」

「私、弟や湯川君達と話してて気づいたんです。こんなに応援してくれて、ここまで来たのに逃げて放りだしちゃいけないって。それに、今日の台本読んだ時、デリジノイドみたいにみんなと信じあって頑張んなきゃって思ったんです。だから、デリジノイドに自分を重ねたら、びっくりするくらい上手くセリフを出せました。」

「うんうん。君が元気で何よりだよ。それに、君を晒していた子も逮捕されたし、これからはもう何も気にせず頑張っていこう!」

「はい、ありがとうございます監督!」

 智子は大門に笑顔で挨拶をし、スタジオを後にした。もう、後ろめたい気持ちが何もない智子からは沢山の自信が溢れていた。


 一方こちらはトライスターズの所属事務所であるフェアリーフォース。悠が逮捕されてから連日苦情など数百件の電話やメールが事務所になだれ込み、職員達は対応に追われてすっかり疲弊している。無論、ダメージがあるのは職員だけではなく…。

「はぁ…音楽雑誌の取材もキャンセル、ドキドキトライスターズも打ち切りだってさ。」

「どうしよう!何でこうなるの?」

「私達、これからどうなるの?大丈夫よね…?」

 トライスターズのマネージャーと、残ったメンバーである馬堀春香と浦賀美優もスケジュールの狂いに対応しきれず、疲れ切っていた。そして、マネージャーは溜め息交じりに二人に警告をする。

「まぁ、君達のソロでの仕事は今の所大丈夫そうだから心配ないかな。だけど、トライスターズとして3人で受ける仕事の影響が大きすぎるからね…。とりあえず、君達は絶対に変なことしないでね。」

「分かりました、マネージャー!」

「悠がいなくても、私達で引っ張っていきます!」

 春香と美優はマネージャーにそう言った。しかし、この後フェアリーフォースは更なる追い打ちをかけられることとなる。

こんにちわ!

大騒動になりましたね。

そして、更なる追い打ちとは何なのか?

次回をお楽しみに!

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