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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode5 アイドル声優を潰せ
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第71話 言葉の暴力、智子崩壊?

こんにちわ!

ネットで叩かれた智子はどうなってしまうのか?

 日曜日。先日何者かにネットでトピックスを立てられ、心ないコメントを大量に書き込まれてしまった智子。慶によってそのことを知った真樹は、智子の事が心配になり、以前教えてもらった彼女が住んでいるという都内のアパートに向かうことになった。勿論慶も一緒だ。

「真樹、智子さん大丈夫だと思う?」

「正直何とも言えないな。うちの学校でいえば、杜夫の件もあったし普通の心理ならかなり傷つくだろうな。」

「そうだよね。知らない所で悪口言われて、しかもそれをネットで晒されるのってすごく嫌だよね。」

「ああ。誰がやったか知らないが、智子さんが悪くいわれる筋合いは無い。」

 電車の中で、深刻な表情で話しあう真樹と慶。心配が拭えないまま、電車は智子の家の最寄り駅に到着し、二人は下車して彼女の家を目指した。


 電車を降りた後、真樹と慶は急ぎ足で智子の住むアパートに向かった。真樹は少し前に智子の携帯に「お疲れ様です。智子さんのお家に行ってもいいですか?」とメッセージを入れたものの、返信は無くメッセージを見ている様子もない。そう言うこともあって、二人の中で心配は膨らむ一方だった。やがて、智子のアパートに到着し、彼女が住む二階の階段を上がる。すると、ドアの前で見覚えのある人物が何か叫びながら立っていた。

「なぁ、姉ちゃん!開けてくれよ!そこにいるんだろ!」

 立っていたのは智子の弟である秀太だった。真樹と慶は驚きつつ、彼の元に駆け寄った。

「先輩!」

「来てたんですか?」

「おお、真樹に鬼越さん!二人共どうして?」

 秀太は二人を見て少し驚いた様子だった。真樹は少し暗い表情で説明する。

「実は…弟である先輩の前で申し上げづらいんですが…智子さんがネットであることないこと言われたのを見て心配になって来たんです。」

「俺もだよ。自分の姉をあんな風に言われて、俺も我慢できなくなってな。今日は入試だったんだけど、終わったその足で来たわ!」

 やはり秀太も智子の事が心配になり、わざわざ大学入試後に駆けつけてきていた。一方、肝心の智子なのだが、住んでいる部屋に秀太が声をかけても反応がない。

「なぁ、姉ちゃん!日曜日に収録ないのは分かってるんだよ!俺達は姉ちゃんが心配なんだよ1頼む、話だけでも聞いてくれよ!」

 秀太は再びドアを叩きながらそう叫んだが、相変わらず反応がない。そして、その後ろから真樹と慶も参戦する。

「智子さん。俺です。湯川です。僕達でよければ話聞きますんで、明けてもらえませんか?」

「智子さん!鬼越です!僕も智子さんの事が心配なんです!いるなら開けて下さい!」

 3人はドアの前でそう言い続けたが、やはり反応は無い。しかし、窓からは微かに明かりがついているのが分かるので、智子が部屋の中にいるのは間違いないだろう。そんな状況を見て、3人はますます心配になる。

「姉ちゃん…。くそっ!どうしてこんな事に!」

「せっかくハマり役を掴んで、レギュラーを獲得したのに…アイドル性がないっていう意味不明な理由だけでこんなに叩くなんて…。」

 秀太と慶は非常に悔しそうな表情で唇を噛み締めながらそう言った。いまだに部屋から反応は無いが、真樹は一歩踏み出して、一息置いてから話し始める。

「智子さん。とりあえず、俺の独り言を聞いてくれませんか?俺も誰かが勝手に智子さんのトピを立てて、悪口を言うように他のユーザーを青っいぇいたのを知ってます。だから心配で来たんです。前にもいいましたが、俺は女が大嫌いです。そして、自分がのし上がるために実力がある誰かを陥れる奴が一番嫌いです。俺の同級生に声優やっている奴がいるんですけど、声優としての実力もないのに歌と踊りが受けているってだけで自分が一番偉いって勘違いしているクソ女でしてね。でも、そいつに比べれば智子さんの実力は本当にすごいと思うし、だからこそ俺は大門さんに智子さんの事を推薦したんです。実際ダイノイドは好評ですし、智子さんのデリジノイドが好きっていう人もたくさんいます。引退寸前って嘆きながらも、ダイノイドのオーディションを受けたのはなりたくて声優になったからんなんでしょ?せっかくいい役もらえたのに、こんな底辺ネットユーザーの言葉の暴力に負けて、夢がついえて良い訳がないでしょ!少なくとも俺は嫌ですね!ダイノイド面白いし、智子さんを含めて素晴らしい声優さんの演技が見れなくなるのは!」

 少々一方的だが、真樹は長々と自分の気持ちを静かなドアの前で語り続けた。まだ反応はないが、真樹は構わず話し続ける。

「もう一度言います!智子さんは何も悪くない!悪いのは勝手に被害妄想膨らませたネットユーザー、特にアホなトライスターズファンです!俺は楽しみなんですよ!自分の身近な人が、好きなアニメに毎週出てくるのが!だから、こんなクソみたいな状況を跳ねのけて、声優として胸を張って下さいよ!」

 真樹自身、幼少期からひどいいじめを受け続けながらも何とか立ち直って今を生きているという新年を持っている。そう言うこともあって、真樹も智子を放ってはおけなかったのだ。結局その時は反応がなく、真樹は軽く息を吐いてドアに背を向けた。

「先輩、オニィ。ここは一旦帰りましょう。まぁ、ネット上とは言えあれだけの事を言われてすぐには立ち直れません。落ち着いてから話してもらっても遅くは無い筈です。」

「真樹…。そうだな。悪いな、わざわざ遠くから心配して来てくれたのに。」

「うーん。確かにそうかもね。これ以上僕達が言って帰って傷つけちゃうのも悪いし…帰ろうか。」

 暗い表情のまま、アパートを後にする3人。すると、3人の背後でドアが開く音がした。それに気づいて後ろを振り返ると、、暗い表情をした智子が顔だけをドアから出して3人を見ていた。

「ね、姉ちゃん!」

「智子さん…。」

「よかった。出てきてくれて。」

 少しほっとした3人。智子は伏し目がちのまま手招きをし、3人を呼ぶ。

「わざわざ来てくれてありがとうね。とりあえず、3人とも上がって。」

 智子の声に元気は無かったが、とりあえず真樹達を部屋に入れ、テーブルに座らせると、人数分の紅茶を出した。前回の収録以降、ずっと部屋に引きこもっていたからなのか、昼を過ぎても寝間着を着たままで、化粧もしていない。

「外は寒かったでしょ。よかったら飲んで。秀太も試験終わったばかりで疲れているのに悪かったわね。」

「姉ちゃん、そんなことはどうでもいいんだよ!それより、姉ちゃんもあの掲示板見たんだろ?それが心配で俺達は来たんだよ!」

 秀太は心配そうにそう言った。智子もなんとなく察しがついていたようで、少し俯きながら話し始めた。

「ええ。いつもみたいになんとなくネットサーフィンしていたら、たまたま私の名前見つけて…開いてみたら悪口ばかりだったの…。こんなこと初めてだったから、街を歩いていても、すれ違う人が私の悪口を言っているかもしれないって思うと怖くて…見てから携帯の電源も切って、外歩くのも怖かったからずっと部屋にいたわ。」

 智子の話を聞いた3人は悲しい気持ちになり、黙り込んでしまう。智子もなんだか申し訳なくなり、3人に謝った。

「ごめんなさいね。せっかく来てくれたのにこんな暗い話ばっかりで。でもありがとうね。」

「いえいえ、そんな。でも僕、自分の事以外でこんなに腹が立ったのは久しぶりだよ。悪口も勿論だけど、顔が見えないのをいい事にいいたい放題言うなんてどこまで最低なんだか…見つけたらみんなボコボコにしたいよ!」

 慶は紅茶を一気に飲み干し、ご立腹な様子でそう言った。そして、真樹の方も真剣な顔で智子に言う。

「智子さん。俺が言うのも変かも知れませんが、絶対に折れないでください。こういうバカな輩はイキっている癖に傷心者だから、一度怯むと自分より弱いって思いこんでさらに攻撃がエスカレートします。俺も幼少期虐められていた時そうでした。あと、これだけは忘れないでください。いくらネットで叩かれようと、智子さんの近くには俺達も含めて応援してくれる人がいっぱいいます。辛くなったら俺たちの事を思い出して、バカなネットユーザーの事なんか上書きして下さい。またアニメで智子さんの演技見せて下さいよ。」

 真樹がそう言うと、智子もはっと何かに気付いたような表情をした。そして、秀太と慶も笑顔で智子に声をかける。

「そうだぜ姉ちゃん。真樹の言う通りだ。あの監督だって、姉ちゃんの演技がいいって言ってたじゃねぇか!」

「僕はずっと応援しますよ!智子さんの実力を見せつけて、ネットに湧いているサイテー野郎達を叩きのめしちゃって下さい!」

 3人から応援された智子は、改めて味方の存在の大きさに気付いた。そして、抱え込んでいた事を話したことで少しほっとしたのか、笑顔が戻っていた。

「ありがとう、3人とも!うん。こんな事を怖がっていちゃダメよね!またアフレコ頑張るから、来週の放送も楽しみにしてて!」

 少し元気を取り戻した智子は微笑みながら3人にそう言った。しかし一方、度重なる騒動の元凶はまだ分からないままでいた。

こんにちわ!

智子が元気を取り戻して何よりです。

しかし、この続く騒動を収める方法はあるのか?

次回をお楽しみに!

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