第6話 真樹の罪?
おはようございます!
久々の更新です!
湯川真樹は極度の女嫌いである。それは高校生になった今に始まった事ではなく、幼少期に過ごした環境が多いに影響しているからだ。特に小学校時代に関してはしょっちゅう悪口を言われたり、肥満体質で動きが鈍かったことをいいことに、暴力も振るわれた。そんな事もあって彼は女性を好きになる事は無くなったし、信用も期待もしなくなった。昨日も対抗心むき出しの態度で丘ユカリをと一食触発の状態になったのだが、彼にとってはとてもどうでもいいことだった。だが、この日彼を悲劇が襲うとは予想だにしなかった。
「おはよう、真樹!」
「おう、おはようオニィ!」
翌朝、いつものように成田駅に到着した真樹と慶は二人で話しながら学校を目指す。
「真樹、昨日は練習お疲れ様!」
「ああ。大会近いから気合入れて練習しないとな。」
「今日は僕の練習日だ!僕も大会迫ってるから頑張るぞー!」
「フフフ、国体期待してるぞ!」
「真樹も選抜出てよね!」
そう楽しそうに話しながら二人は学校に到着したのだが、教室に着いた瞬間それは一瞬に凍りついた。真樹がドアを開けて中に入ってきた瞬間…。
「ちょっと湯川君!」
「これどういう事?!」
いきなりクラスメートの女子二人に鬼の形相で迫られた真樹。真樹も、横にいた慶も何の事か分からずにポカンとしている。
「何の事だ?」
「とぼけないでよ!」
聞き返す真樹に女子の一人がある方向を指さす。そこには昨日真樹と一悶着あったユカリが頭に包帯を巻いた状態で項垂れていた。
「これがどうした?」
「はぁ?まだしらばっくれるの?」
「あんたが昨日練習で打ったボールがユカリの頭に当たったの!」
「人に怪我させておいて何なのその態度?」
クラスの女子たちから一斉攻撃を受ける真樹。聞けば、遅くまで図書室で自習していたユカリが下校していた所、グラウンドの付近を通った際に真樹の柵越えの打球がユカリの頭を直撃したと言うのだ。普通の男子なら動揺して平謝りする所なのだが、女子からの非難に慣れている真樹はそうはいかない。
「俺は知らない。大体そんな遠くに丘さんがいたなんて知らなかったし。俺以外にも柵越えした先輩はいたのに何で俺のせいって決めつけるの?」
真樹自身は本当に身に覚えが無く、何で自分がここまで攻められているのか分からなかった。そして、こういう事でムキになればなるほど自分が不利になる事も真樹は知っていた。平静を保っていたが、ここである女子が手をあげながら言った。
「私見たわ!時間は大体5:45くらいかな?その時間に手芸部が終わって帰ろうとしたら湯川君が打席で凄い飛ばしてたの。」
「ユカリがグラウンドの前を通った時間もその位よ!」
「やっぱり湯川君が怪我させた!」
手芸部女子の証言により、状況は真樹が不利な状況になってしまった。しかし、慶もこれに黙っている訳にはいかなかった。
「皆落ち着いてよ!真樹ばかり悪いように言ってるけど証拠がないじゃん!それに仮に当たった事が本当だとしてもわざとやった訳じゃないんだからそこまで犯罪者扱いしなくてもいいじゃん!」
「はあ、鬼越さん?何でこんな奴の味方すんの?」
「こいつ、昨日ユカリと揉めてたじゃん!」
「そうよ!しかも聞いた話だと、打撃技術結構高いらしいわね!」
「だからユカリがグラウンドの前を通ったタイミングで狙ったのよ!」
「そうよ、そうよ!全部湯川君のせいよ!」
「ホームラン級の距離にある物に当てるなんてプロでもできる事じゃないよ!みんな冷静になろうよ!」
慶が必死に真樹を擁護するものの、他の女子たちは全く聞き入れない。そして、頭に包帯を巻いたユカリは机に突っ伏して泣き始めた。
「ユカリ…痛かったね。」
「湯川君、女の子泣かせておいて楽しいの?」
「本当サイテーね!」
「あんたみたいな男、学校の癌細胞よ!」
女子たちは真樹をボロクソ言った後、自分たちの机に戻っていく。真樹も溜息をつきながら自分の机に向かう。
「ふう、朝からとんだ目に遭った。」
「本当に身に覚え無いんでしょ、真樹?」
「勿論だ。それに、打撃に集中してたから誰が前を通ったかなんて覚えてないし。」
「そうだよね。みんなもあそこまで言わなくても。」
「女子から悪口言われるのは慣れてるよ。そして、あらぬ罪を着せられる事もな。」
真樹は少し皮肉と自虐を交えながら席に着いた。そして、殺伐としているだけでなく真樹への疑いが完全に晴れないまま、長い一日が始まったのだ。
おはようございます!
真樹君、大変なことになってしまいました。
果たして彼の疑いは晴れるのか?
次回をお楽しみに!