第65話 いざ、OA(オンエア)
明けましておめでとうございます!
新年初投稿です!
年が明け、正月になった。真樹は大晦日を自宅にて正三、多恵と共に静かに過ごし、元旦は3人で初日の出を拝んだ後、近くの神社で初詣に出向いた。その後はのんびりしたり、身体が鈍らないよう走り込みなどの自主トレをこなしながら過ごしていた。冬休みも終わりが近づく中、ある日の夕方に真樹はワクワクしながらテレビを付けた。
「さーてと、いよいよこの日が来た。」
時刻はもうすぐ18:00になろうとしている。CMが終わると、派手な音楽と共にタイトルが映し出された。
「遂に始まったぜ、ダイノイド!」
真樹は俺しそうにそう言った。そう、この日は智子が出演するダイノイドの記念すべき第一話の放送日なのだ。オープニングテーマが終わり、CMを挟んでタイトルコールの後に話が始まる。
『第一話 ダイノイド、起動!』
ストーリーは物語の五年前に博士が化石発掘現場から6500万年前の石版を発見し、ヘルズメテオへの対策としてダイノイドを開発する所から始まる。孫で主人公の京太郎はそんな祖父の研究を傍らでよく見ており、ダイノイドの完成を楽しみにしていた。だが、ある日の学校帰りに悲劇が起こる。かつて恐竜だけでなく、地球に逃げてきた異星人諸共滅ぼしたヘルズメテオの一味が再び地球を襲来。京太郎達が住む福井市内で大暴れした。そんな中、京太郎も巻き込まれ命の危機にさらされる。
「た、助けてー!ダイノイドー!」
思わず京太郎はそう叫んだのだが、その頃彼の自宅である研究所では龍野博士が驚愕の表情を浮かべる。
「どうなっとるんじゃ?ダイノイド達が勝手に起動しとるぞ!」
ダイノイド達は京太郎の咲美に呼応するかのように自ら起動した。そして、起動後に龍野博士に向かって一言言う。
「京太郎が危ない、助けに向かいます!」
そう言ったのはティラノイドだ。そして4体のダイノイド達は恐竜形態のまま研究所を飛び出し、京太郎の救助に向かう。その頃京太郎はヘルズメテオの兵士に追い回されていたのだが、彼に救いの手が現れた。ダイノイド達がやってきたのだ。
「さぁ、そろそろかな。」
真樹は画面越しにワクワクしながらそう言った。現時点で喋ったダイノイドはティラノイドの一言だけなので、智子のセリフはまだ出ていない。そして、京太郎を助けたダイノイド達が名乗るシーンが出てきた。
「ありがとう、ダイノイド。本当に来てくれたんだね。」
「勿論だ。俺はダイノイド1号機、ティラノイド。改めて宜しく、京太郎。」
「僕はダイノイド2号機のスピノイド。やかましい敵は、手早くお片付け致しましょう。」
「自分はダイノイド3号機、イグアノイドっス!人騒がせな連中は全員地獄送りにするっス!」
そして、いよいよ真樹が一番楽しみにしていたシーンが来る。
「私はダイノイド4号機、デリジノイドです。こんな悪い連中、絶対許すわけにはいかないわ!」
智子のセリフが全国のお茶の間に流れた瞬間だった。真樹はその様子を見て、感心しながら呟いた。
「智子さん、やっぱりデリジノイドの声に合ってるな。知的なお姉さんキャラだから、智子さんも変に作り込まずに自然な演技ができるんだろうな。」
智子はワン吉君でケロ子を演じた際、かなり高くてやかましい声を作って演じていた。一方、ダイノイドでは智子の地声であるやや低めの落ち着いた声が、姉御肌のデリジノイドのキャラによくマッチしている。実際、デリジノイドの声は智子の地声にかなり近かった。そう思っている内に物語は進んだ。起動したばかりで思うように戦えないダイノイド達に、ヘルズメテオの兵士は容赦なく襲いかかる。
「ハハハ、さっきの威勢はどうした?恐竜たち!とっとと消えうせるんだ!」
「くそっ、このままじゃやられる!どうしたら?」
劣勢になり、ティラノイドは焦りながらそう言った。そして、京太郎は4機のダイノイドに大声で伝えた。
「みんな!フォルムチェンジするんだ!今は恐竜の姿だけど、君達は人型のロボット形態も持ってるんだよ!」
「そ、そうか!その手があったか!よーし、行くぞ!」
「僕としたことがすっかり忘れていました。準備完了です!」
「オーッス!パワーが漲ってきたっス!あいつをぶちのめすっス!」
「私もいつでも行けるわ!みんなで奴を倒すのよ!」
「「「「ダイノイド、フォルムチェンジ!」」」」
ダイノイド達はそう叫ぶと、恐竜形態から戦闘形態である人型ロボットに変形した。そして、その場面を見た真樹も一気にテンションが上がった。
「おお!ダイノイドのデザイン、みんなかっこいいな!それと、智子さんもしっかりセリフ決まってたし。」
感心しながら画面を食い入るように見ていた真樹。そして、驚くヘルズメテオ兵士に対し、変形したダイノイド達は容赦なく攻撃を浴びせ、そのまま倒してしまった。こうして、町の破壊を食い止めることができたのだった。
「ありがとう、みんな。助かったよ。」
「礼には及ばないよ。京太郎は俺たちの大切な友達なんだから。」
「その通りですよ。共に闘って、悪を倒した後、平和を取り戻しましょう。」
「ウォーッス!自分も頑張るっス!でも、そろそろ帰ってエネルギーの補給したいっス!」
「私も早く帰ってメンテナンスとボディの洗浄したいわ!万全な状態で戦いたいもん。」
京太郎と個性あふれるダイノイドのやり取りの所で、第一話は終了。エンディングテーマが流れ、次回予告をして(第2話のタイトルは『4体合体、ゴットザウラー』)特にトラブルもなくダイノイドは無事に放送できたのだった。因みにしっかりと声の出演の欄に(デリジノイド 稲毛智子)とクレジットされているのを見て、真樹の方も満足げだ。
「いやー、流石大門さん。スゴい完成度の高さだ。話も面白いし、絵も綺麗だし、智子さんをはじめ、声優さんがみんなハマってるし。楽しい30分を過ごせたな。」
そう感心していると、真樹の携帯電話が鳴った。相手は智子の弟で野球部の先輩の秀太からだった。
「もしもし、先輩?」
「おう、真樹か。見てくれた?姉ちゃんの演技!」
「勿論です!やっぱり、先輩のお姉さんスゴいですね!」
「だろ?アニメも面白かったし、姉ちゃんも活躍で来てよかった!ありがとな、真樹。姉ちゃんを救ってくれて。」
「俺は大したことしてないです。お礼なら大門さんにして下さい。ようやく智子さんの力を最大限に発揮できる場所を救ってくれたんですから。」
「そうだよな。でも、そのおぜん立てをしたのはお前だ。だからお前にも感謝するぜ!じゃあな。あ、来週も楽しみだから絶対見ような!」
そう言って秀太はご機嫌な様子で電話を切った。そして、真樹の方も満足した様子で入浴し、その後夕飯の時間を過ごしたのだった。
そして、時刻は23:00。正三と多恵はもう寝てしまったが、真樹はまだ居間のテレビの前にいた。
「さーてと。醜態を見せてもらおうじゃないか。」
真樹はそう言ってテレビを付ける。すると、あるアニメが始まった。
「ハーモニーエンジェル…。ネット上じゃ今期の覇権筆頭だとか言われてるけど、本当にそうか俺が見極めてやろうじゃねぇか。まぁ、トライスターズ使ってる時点で声優の質は下がってるけどな。」
この日は真樹が敵対視する大津悠が所属している声優ユニット、トライスターズ3人がメインキャラを担当するアニメ『聲天使ハーモニーエンジェル』の放送日でもあった。因みにオープニングテーマが流れているのだが、勿論歌っているのはトライスターズだ。そして第一話が始まった(タイトルは声の天使、降臨)。歌とダンスが大好きな仲良し3人組の女子高生、サクラ(CV 大津悠)、モモ(CV 馬堀春香)、スミレ(CV 浦賀美優)がある休日にいつもの様に遊びに行っていると、突然ノイズ王国と名乗る異次元国家が空から襲いかかってきた。
「グハハ!人間界は騒音だらけだ。我がノイズ王国が植民地にして、美しき音に溢れる素晴らしい国に作り変えてやる。」
ノイズ王国国王がそう言うと、彼が乗っている巨大な戦艦の様な乗り物から強烈な音波が流れ始め、町にいた人が苦しみ始める。勿論、主役3人も例外ではない。
「うるさーい!」
「何よこれー?」
「鼓膜が破れる―!」
悶えていた3人だったが、突如結界の様な物が張られ、音が鎮まったと思いきや小さな妖精のような少女が目の前にいた。
「私はミオン。歌の妖精です。あなた達の歌声、いつも聞いていました。その美声と歌唱力で、世界を救ってください。ハーモニーエンジェルとなって、あのノイズ王国をやっつけるのです。」
ミオンはそれだけ言うと、3人にペンダントを渡した。戸惑う3人だが、ミオンから説明を受けると、揃って変身した。
「美しき音色、花開け!チェリーエンジェル!」
「天下無敵の音色よ響け!ピーチエンジェル!」
「愛と誠実の心よ届け!ヴァイオレットエンジェル!」
「「「聲天使ハーモニーエンジェル、参上!」」」
変身し、それぞれ名乗ったハーモニーエンジェル。そんな様子を真樹は呆れながら見ていた。
「あーあ。展開が意味不明な上に、寒い名乗りなんかやっちゃって。これ、ただトライスターズ出したいだけのアニメじゃん。」
冷めた様子でテレビを見る真樹。その後3人は戦うも苦戦し、ピンチに陥るが…。
「みんな。癒しの歌を歌って!」
ミオンが現れて3人にそうアドバイスをした。すると、突然頭の中にメロディーと歌詞が流れ込んできて3人は歌った。すると、先程受けた傷が回復した。
「いいわ!最後に平和の歌を歌ってノイズ王国をやっつけるのよ!」
ミオンにそう言われて、回復した3人は立ち上がり、覚悟を決めた。
「みんな行くわよ!」
「ええ、勿論!」
「私達の歌よ、いまここに!」
そして、ハーモニーエンジェル達が歌い始めると、ノイズ王国の戦闘員達が突如苦しみ始め、そそくさと異次元へ帰ってしまった。そして、3人がハーモニーエンジェルとして歌で世界を救うこと誓った所で今回の話は終了した。因みにその後流れたエンディングテーマも勿論トライスターズが歌っている。番組を見終えた真樹は溜め息をつきながら立ち上がった。
「はぁ。くっそつまんねー。歌ってばっかりで意味分かんないし。これ、トライスターズファンしか喜ばないな。覇権どころかぶっちぎり最下位だろ、このアニメ。」
呆れ顔でそのように言いながら真樹は寝室に行き、そのまま寝どこに付いた。この日放送された2つの新アニメ。それが後にとんでもない騒動を起こすとはこの時誰も思わなかったのだ。
こんにちわ!
色々詰め込み過ぎて長くなってしまい、ごめんなさい。
詳しく書くために、半分以上が劇中作の事で占められていることをお許しください。
さぁ、ダイノイドが無事放送され智子の活躍も見れましたが、今後はどうなるのか?
次回をお楽しみに!




