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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode5 アイドル声優を潰せ
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第62話 ラストチャンス

こんにちわ!

いよいよ智子の運命が決まります!

 稲毛智子、25歳。真樹の野球部の先輩である稲毛秀太の姉であり、現役の声優だ。大学卒業後に声優となるものの、なかなか芽が出ずに引退を考えていた。しかし、真樹の手引もあって彼が偶然知り合ったアニメ監督の大門隆三郎の新作アニメ、「機動恐竜ダイノイド」のメインヒロイン、デリジノイドのオーディションを受けることになった。アフレコブースの中でたった一人、動くキャラクターの画像を見ながらアフレコが始まる。

「では、始めて下さい。」

 大門がそう言うと、智子は一息整えた後、画面の中で動き出すデリジノイドに合わせてセリフを読んでいく。

「私は機動恐竜ダイノイド4号機、デリジノイドです。」

「オッケー、次のシーン。」

 大門がそう指示をすると、画面が別の者に切り替わる。そして、再び動き出したデリジノイドに智子は続けてセリフを吹き込んだ。

「大丈夫よ。私に任せなさい!デリジノイド、出撃します!」

「うん。オッケー。次!」

 大門はうんうんと頷きながら場面を切り替える。智子も雰囲気に少し慣れたのか、最初に比べれば落ち着きを取り戻しているようにも見えた。

「なかなかやるわね。でも、このままやられる私たちじゃないわ!そうよね、みんな!」

「はいオッケー、そこまで!」

「…!」

 大門の指示でアフレコはここで終了した。しかし、そんな大門の声を聞いた智子は驚きの表情を浮かべた後、段々と悲しい雰囲気を漂わせた。

(はぁ、やっぱりダメだったのね。私の演技がダメだから、強制終了させられたんだわ。)

 智子の心中はそんな感じだった。それからすぐ、大門達がアフレコブースに入ってきて、智子に声をかけた。

「稲毛さん、お疲れ様でした。あなたの実力は十分見せてもらえたよ。」

「ありがとうございました。すみません、お力になれなかったようで。」

「早速明日から、アフレコに参加して貰いたい。」

「えっ?!」

 大門のその言葉に、智子は一瞬驚いた。そのまま追い返されると思ったからだ。ところが、返ってきた返事はまさかの出演依頼だったのだ。

「わ、私、合格なんですか?」

「勿論です!いやぁ、よかったですな!デリジノイドのイメージである素敵なお姉さんって感じの声を見事に出してくれましたね。ぴったりです!君みたいな実力者を見落としていたのが恥ずかしいよ!」

 智子のアフレコを大門は絶賛した。予想外の返事に智子は完全に拍子抜けしていたが、その横でマネージャーの宮沢が満面の笑顔で喜んでいた。

「やったわね、智子ちゃん!明日からまた頑張ろう!」

 そう言われたが、智子はこれが読めなんじゃないかとも思っていた。しかし、辺りを見回してこれが現実の出来事であると知り、喜びの他色々な感情や思い出が湧きでて、目に涙を浮かべながらその場にいた全員に言った。

「はい。明日から宜しくお願いします。」

 こうして智子は引退寸前で初のメインヒロインの声を担当を掴み取ることができたのだった。その後、後片付けをして智子たちが外に出ると、真樹、慶、秀太の3人が心配そうな表情で待っていた。そして、智子達の顔を見るなり、慌てて駆け寄ってくる3人。

「姉ちゃん、どうだった?!」

「智子さん、お疲れ様です…。いかがでしたか?」

 秀太と慶がそわそわしながら智子に尋ねる。そんな二人に智子は微笑みながら結果を報告する。

「ばっちりよ!明日からアフレコ現場に合流するわ!」

「ね、姉ちゃん…!」

「や、やったぁ!」

 自分の事のように大はしゃぎする秀太と慶。その横で真樹は静かに微笑みながら大門に近づき、話しかける。

「ありがとうございました、大門さん。どうです?やってみるもんでしょ?」

「いやぁ、おったまげた!でも、こちらこそありがとう、湯川君。君が彼女を紹介してくれなったら、ダイノイドの放送は大幅に遅れていただろう。本当に感謝だ!」

「俺は大したことはしてませんよ。それより年明けの本放送、楽しみにしてますよ!」

「うん、期待してくれ!」

 大門は真樹に力強くそう言った。智子のダイノイド出演が決定し、かなりギリギリではあるがかけていたピースが埋まったのだった。


 一方その頃都内の別のスタジオでは、ある放送が行われていた。

「みなさーん、今日も始まりました。ドキドキ、トライスターズです!」

「本日も御試聴ありがとうございます!」

「今宵もたーくさん、楽しんで行きましょう!」

 出演していたのはトライスターズだった。これは、「ドキドキ、トライスターズ」と言う彼女たちの冠番組で、週一回Webで生配信されている。内容はトライスターズのトークと視聴者からの手紙を紹介するいたってシンプルなものだが、熱心な視聴者も多く好評なようだった。生配信は順調に進み、最後に3人は挨拶をするのだが…。

「えー、そろそろお時間が来てしまいましたが、ここで皆さんにお知らせがあります!」

「来年1月より、私達3人が出演するアニメ、『聲天使(せいてんし)ハーモニーエンジェル』が放送されます!」

「私達の活躍、とくとご覧ください!それじゃあ、ばいばーい!」

 番組終了寸前で自分達が出演するアニメの宣伝を行い、この日の生配信は終了した。その後、スタジオから撤収した3人はえkに向かって話しながら歩いていた。

「ねぇ、春香、美優!この後何か食べに行かない?」

「いいわね!」

「うん行こう!お腹すいたし!」

 どうやら3人ともこの日の仕事は全て終了したみたいなのか、帰りに食事に行くようだった。3人は引き続き離しながら通りを歩いていたのだが、悠は目の前の光景に一瞬目を顰めた。

「ん?」

 十字路に差し掛かった時、目の前を5人組の男女が横切った。うち一人の緑色のブレザーを着た男性に見覚えがある様な気がした。勿論それは真樹たちなのだが、真樹の方は気付いていないみたいでそのまま人ごみの中に姿を消した。

「どうしたの、悠?」

「急に止まって。」

「い、いや。何でもないの!とにかく行こう!」

 春香と美優は不思議そうに悠に尋ねたが、悠は気にせず再び歩き出した。少なくとも、真樹の事は悠の頭から完全に消えている訳ではなさそうだった。

(まさか…あいつがこんな所にいる訳ないよね。うん、ただの空似だ!)

 自分の心の中でそう言い聞かせ、悠は春香と美優と共に食事に向かったのだった。


 翌日。

「どれどれ…?お、出てる出てる!」

 日曜日の朝、スマホでネットニュースの記事を閲覧していた真樹はダイノイドの記事が出ているのを見つけた。そこには『大門隆三郎の新作アニメ、機動恐竜ダイノイド1月放送。キャストも発表!』と言うタイトルの記事があった。そこにはダイノイドのあらすじとスタッフ、キャストが書かれている。勿論、デリジノイドの部分には(CV 稲毛智子)のクレジットがあった。補足説明をすると、作中には智子が担当するデリジノイド以外に3体のダイノイドが登場するのだが、それは主人公機でティラノサウルがモチーフの熱血ロボであるティラノイド、冷静沈着で水中戦が得意なスピノサウルスがモチーフのスピノイド、腕っ節が強いが少し不器用な所があるイグアノドンがモチーフのイグアノイドだ。所謂「萌え」を追求したものではなく、王道なSF戦闘ロボアニメと言うこともあって、一部のロボットマニアからは期待されているようだった。

「これで実力派の完成度重視のアニメがいかに凄いかを分かってもらえるね、大門さん。」

 記事を見ながら真樹はそう言った。そして、記事を読み終えた真樹はその下の欄にあった関連記事のページを開く。

「どれどれ…こいつらはっと。」

 その記事には真樹が大嫌いなトライスターズについて書かれていた。記事の内容は『聲天使ハーモニーエンジェル、1月放送へ。人気美女声優ユニット、トライスターズ3人がメインキャラを担当』と言うものだった。どうやらダイノイドと同時期にトライスターズ3人が出るアニメが放送開始の様だ。

「ふーん、そうかい。でもまぁ、半端者のお前らじゃ全体に勝てないから。覚悟しておけよ。」

 真樹は不敵な笑みを浮かべながらそう言い、記事を閉じてテレビを見始めたのだった。

補足

・ダイノイドの内容について


 福井県に住む恐竜研究家、龍野博士は化石の発掘現場から謎の石版を発掘した。それは6500万年前のもので、宇宙一の凶悪種族であるヘルズメテオの襲撃から地球に逃げてきた異星人が彼らの脅威について書いたものだった。そして、石版には再びヘルズメテオが地球に来ることを匂わせることも書かれているのを解読した博士は、対抗策として恐竜の遺伝子を組み込んだAIを開発。5年の歳月をかけて4体のダイノイドを作り上げた。そして、再びヘルズメテオは地球を襲撃。祖父の開発を間近で見ていた博士の孫で主人公の京一郎は学校帰りに襲撃に巻き込まれてしまった。だが、彼は叫んだ。

「助けて、ダイノイド!」と。彼の言葉に呼応するかのようにダイノイド達は起動し、ヘルズメテオとの戦いに身を投じるのであった。

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