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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode5 アイドル声優を潰せ
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第56話 気に入らないな

こんばんわ。

今日から新編です!

 真樹の活躍によって真間子一同及び翔真率いる木戸組は一気に討伐され、晒されて心をひどく傷つけられた杜夫も学校に戻ってきた。その後、翔真に迷惑してきた佳久から連絡があったのだが、翔真が逮捕されたことにより佳久の学校も大騒ぎになったんだとか。ただ、校内一迷惑な存在ともいえる彼が退学処分になった事により、佳久を含む多くの生徒が安心して学校に通えると喜んだそうだ。そんなこんなで2大悪に両成敗を下し、級友二人を救った真樹。そんな彼はある日の夜、自宅でテレビを見ていた。

「おお。そろそろミュージックセレクションの時間だ。」

 真樹が見ていたのは週替わりで様々なアーティストを紹介している音楽番組である。真樹自身は特に好きなアーティストがいるという訳ではないが、音楽を聞くことは嫌いではない。なのでよくこの番組を見ており、この日もいつも通り様々なアーティストを紹介していた。

「ありがとうございました。続いては、今話題のこの人達です。」

「ん?誰だろう?」

 男性司会者が次に出場するアーティストを紹介する。しかし、映像が切り替わった瞬間、真樹は眉をひそめて画面を睨みつけた。

「美貌、美声を兼ね揃え、若者を中心に人気急上昇中。アニメファンの心をがっちりつかんだ期待の若手声優ユニット!トライスターズの皆さんの登場です!」

 紹介VTRの後、男性MCの言葉に続いて派手な衣装を身に纏った3人の若い女性がステージに出てきた。そして、それぞれ自己紹介をする。

「初めまして!トライスターズリーダーの大津悠(おおつゆう)です!」

馬堀春香(まほりはるか)です!」

浦賀美優(うらがみゆ)です!」

 3人とも真樹とは同年代で、声優を名乗っているがアイドルの如くライブで歌や踊りなどを披露している。所謂アイドル声優という者たちだ。

「ちっ。よりによってこいつらかよ。特に大津だけはマジで気に入らねぇ。中学の頃はただの性悪女だったくせに、声優になって仕事増えた瞬間、作り込んだ耳障りな声でぶりっことかマジで不愉快だな。相方2人も演技は大したことないのに、見た目と歌がいいからちやほやされているのも気に入らないな。」

 真樹は不満げにそう言い捨てる。彼の言う通り、実はトライスターズの大津悠は真樹の中学の同級生なのだ。昔から女性とのトラブルによく巻き込まれていた彼だったが、中学の時も例外ではない。彼女の本性を知っている真樹からすれば、今の大津悠がテレビ(特に声優ファン)向けに好かれキャラを演じているのは一目瞭然だった。

「しかし、みなさん可愛くて声も綺麗で歌も上手い!完璧じゃないですか!」

「そんなことないですよー!」

「ここで自分たちの歌も披露できるなんて最高です!」

「ファンの皆さんを満足させるパフォーマンス、期待して下さい!」

「本性はただのいじめっ子なのにみんな騙されてるな。それに、声優名乗りたきゃ歌や踊りよりも演技の勉強しろよ。前に聞いたけど一つもささらないわ。」

 中学の時に大津悠とトラブルがあった真樹はいまだに彼女を許していない。彼女が声優になった時に一度出演作品である深夜アニメを見たことがあるのだが、一つもいいと思えなかった真樹だった。そして、段々と不愉快な気分になってきた真樹はトライスターズの歌が始まろうというタイミングでテレビを消し、自室へ戻った。おもむろにスマホを取り出して画面を見ると、慶からメッセージが届いていた。

『ヤッホー、真樹!元気?』

『普通かな。』

『そっかぁ。もうすぐ学園祭だね。楽しみだなぁ。』

『おニィはな。俺は早く終わって欲しいけど。』

『で、でも…同級生の所は行きづらいかもだけど、野球部の先輩がいる所だったらまだいけるでしょ。』

『行ける場所って言ったらそこしかないな。』

 そう。大谷津学院はもうすぐ学園祭を控えていた。各クラスや一部の文化部は出し物や公演を行うのだが、女子生徒が多い大谷津学院の中で最も女子から嫌われている真樹は、他のクラスの出し物に足を運ぶことは不可能に近かった。ただ、わずかな可能性だが野球部の上級生のクラスに行けば真樹の事を知らない女子生徒がいるかもしれないので真樹は余裕があれば足を運ぼうと思っていた。

『じゃあさ。もし大丈夫そうだったら僕も一緒に行くよ。二人なら何とかなるでしょ?』

『そうだな。それなら助かる。ありがとうおニィ。それと、色々気を使わせちゃってごめんね。』

『いいの、いいの!友達なんだから当然だよ!』

 そんな感じでやり取りは終わった。真樹はつくづく、慶の優しさに有難さを感じていた。入学当初から(高校入学以前も殆どの女子生徒が真樹を敵対視していた中)真樹を悪く言うこともなく、友達として優しく接し、真樹も何故だか分からないが彼女に関してだけは不安や嫌悪感を覚えることなく普通に接することができる。初めてできた異性の友人の優しい言葉に感謝をした真樹は、そのままベッドに入り眠りに就いた。


 時は戻ってその日の昼間。場所はとあるアニメ制作現場なのだが、何やら空気が重い様だ。

「監督、このままじゃ放送日に間に合いません!もういっそ誰でもいいと…。」

「いい訳ないだろ!ふさわしい人にやってもらわないと、彼女の魅力は引き出せん!」

「じゃあ、あの子はどうですか?鈴木伊織さんとか。あの子は今売れているじゃないですか!」

「ん?いや、あいつはダメだ!同じ声しか出せないし、このキャラにあんな猫なで声は合わない!」

 どうやらキャスティングの件で監督とスタッフが揉めているようだった。監督の方は当該キャラにかなり力を入れているらしく、その辺のアイドル声優に任せたくないようであった。

「くそう、どうすればいいんだ?早く収録したいけど、今時の可愛いだけのテンプレ声優に任せたら、このキャラクターの良さが死んでしまう…。」

 監督は苦虫をかみつぶしたような表情で悩みながらそう呟いた。しかし、この後起こる意外な展開を誰が予想できたであろうか?

こんばんわ!

また新しいキャラが出てきました。

そして、最後の展開が気になりますね。

それではまた次回!

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