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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode4 告白に御用心
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第55話 両成敗、完了!

こんにちわ!

Episode4、締めくくります!

 真間子達が翔真率いる木戸組の組員たちに襲撃され、真樹の通報により翔真達が逮捕されたことは瞬く間にその日のトップニュースになった。一夜明け、翌朝。土曜日なので真樹は野球部の朝練に行く準備をし、居間で朝のニュースを見ながら朝食を取っている。ニュースの内容はもちろん、昨日の事だった。

「次のニュースです。昨日の夕方、千葉県成田市で指定暴力団木戸組組長の長男、及び組員の男達が市内の高校に通う女子高生3人を拉致し、工場跡地で重傷を負わせたとして逮捕されました。逮捕されたのは指定暴力団、木戸組組長の長男である17歳の少年と組員の男性7人です。警察の調べによると、容疑者らは市内の女子高生3人を拉致し、うち二人の足を拳銃で撃ち抜き、一人の両手薬指をバタフライナイフで切り落としたとのことで、傷害及び銃刀法違反で逮捕したとのこと。調べに対し、17歳の少年は、『告白したのにボロクソに言われて腹が立った。仕返ししたかった。』と容疑を認めている模様です。」

「ざまぁ見やがれだな。どっちもろくでなしだったことが全国に知れ渡っちゃったぜ!」

 真樹は笑いながらそのニュースを見ている。もしこれが全て真樹の仕込んだ事だと木戸組の組員たちにばれてしまったら真樹の命が危なかったのだが、結果的にばれることもなく真樹自身も自分の手を汚さずに真間子や翔真達を地獄に叩き落とすことができたのだから。

「しかし、怖いねえ。うちの近くでそんな物騒な事件なんて。」

「明日は我が身だぞ、婆さん。ワシらは巻き込まれんように気を付けるんだ。真樹もな。」

「…はい。」

 怖がる多恵に対し、正三は二人に注意した。真樹は静かに返事をしたが、これらの事を全て自分が仕込んだことはさすがに言いだせなかった。そして、朝食を食べ終えた真樹は鞄を持って学校に向かう。

「行ってきます。」

「行ってらっしゃい!」

「頑張ってね!」

 正三と多恵に見送られ、真樹はスカッとした気分で朝練に行くのだった。


 所変わって、ここは大谷津学院のグラウンド。現在野球部の練習が行われている。真樹達はいつものように練習メニューをこなし、いつもと変わらない土曜日朝の光景が広がっていた。そして、休憩時間中。野球部のチームメイトである伸治と武司が真樹の元にやってきた。話題はもちろん、あの事である。

「なあ、真樹。お前が言ってた復讐って昨日のあれ…でいいんだよな。」

「マジでやったのか、真樹。イキり女の市川とヤクザを一網打尽とか、無敵じゃん、お前。」

 ニュースでは真間子達の名前は公表されいない。ただ、学校付近で同級生が巻き込まれたとなれば、すぐに噂になるのは当然だ。どうやら一日も経たないうちに学校関係者の間に今回の件は広まったらしいが、真樹が全て仕組んだこと知っている人物は少ない。

「ああ。別の学校に通う俺の中学時代の友達が組長の息子に困らされていてな。市川もろとも潰してやろうと思った。上手く行き過ぎて自分でもびっくりしたが。」

「にしても、市川たちヤバかったみたいだな。指切り落とされたり足撃たれたり。」

「杜夫の時と同じことやってこんな目にあったら流石に懲りるだろうな。まぁ、嘘告白までして馬鹿にした揚句、ネットに晒したんだからそれ相応の報いを受けるのは当然か。」

 武司も伸治も真間子達に同情する気はないようだ。一方の真樹は杜夫にあんなひどいことをした真間子達に一矢報いることができて嬉しそうだった。当然、苦しめられていた佳久を助けられたこともだが。その後、休憩時間が終わり真樹達は練習に戻った。


 午後。野球部の練習を終えた真樹は家に帰らず、ある場所に寄った。当然杜夫の家である。

「ごめん下さい。」

「はーい。あら湯川君。」

「お邪魔します。杜夫はいますか?」

「いるわよ。上がって。」

 杜夫の母親に招かれて、真樹は家に入る。階段を上がって杜夫の部屋に来ると、真樹は部屋のドアをノックした。

「おーい。杜夫。俺だ!」

 そう言うと、すぐに部屋のドアが開いて杜夫が出てきた。

「真樹…。来たのか。」

「ああ。お前に報告したいことがある。もしかしたらニュースとかで見たかもしれないが。」

 そう言うと杜夫は真樹を部屋に入れた。そして、真樹は杜夫に報告をする。

「喜べ杜夫。市川達は恐怖のどん底に叩き落とした。今では3人仲良く病院送りになったぞ。」

「ほ、本当にやったのかお前…。いや、凄いけど…ヤクザ利用するとは思わなかった。」

「友達が組長の息子に迷惑してるからみんなまとめて葬ってやったぜ。まあ、俺を怒らせたんだから当然の天罰だ。」

 驚く杜夫に真樹は自信気にそう言った。因みにその後、真間子達は救急病院に搬送されて懸命な治療の結果一命を取りとめた。指を切り落とされた真間子だったが、切り落とされてから救急隊が到着するまで時間がかからなかったこともあり、すぐに結合手術が行われ指を失うことは無かった。取り巻き達も弾が足を貫通し、出血も多かったが緊急手術と輸血によって事なきを得ている。杜夫の方は、少し申し訳なさそうに真樹に言った。

「なんか、すまん真樹。俺が情けないばっかりにお前にこんな汚れ仕事させて。」

「気にすんな。友達をこんな目にあわせた奴を許してはおけない。それに、俺は元々汚れてるようなもんだからいまさら何が付いたって気にならないぜ。」

「真樹…。」

 キョトンとする杜夫に対し、真樹は立ち上がって続ける。

「じゃあ、報告終わり。俺は帰るぜ。それと…悪い芽は全部刈り取ったからまた学校来いよ。お前がいた方がやっぱ楽しいから。」

 真樹はそれだけ言うと杜夫の家を後にし、そのまま帰宅した。


 週明けの月曜日。大谷津学院は朝からざわついていた。今回の事件で、同校の生徒である真間子ら3人が巻き込まれたこと。更に、それが真間子が行った嘘告白の晒し行為が原因であることがニュースによってばれてしまい、学校には苦情や問い合わせが相次いでいた。無論、ざわついているのは教職員でh無く生徒達も同じである。

「もう、真樹ったら!あんなに危ないことして!下手して真樹が殺されちゃったらどうもできなくなるんだよ!」

「悪かったって。でも他に方法が無かったんだ。分かってくれ、オニィ。」

 慶は教室で頬を膨らませながら真樹にそう言った。真樹が真間子に復讐する事を慶が知っていたとはいえ、まさか暴力団を使うとは思わなかったからだ。

「でも、よく無事でいてくれたね。僕、ずっと心配してたんだよ!」

「済まなかった。」

 流石の真樹も慶に心配をかけたことを申し訳なく思い、素直に謝罪した。するとそこに、学級委員長の美緒がやってくる。

「湯川君。市川さんを黙らせたことは感謝するわ。だけど、もう少し穏便にもできたんじゃない?」

「どう致しまして。そう言う菅野には穏便に市川を黙らせる方法があったのか?先生と二人がかりでも言うこと聞かせられなかったのに?」

「う…。」

 痛い所を突かれて、美緒は少したじろいだ。そして、顔を赤くしながら真樹に注意する。

「と、とにかく!命に関わるような危険すぎる真似はしないこと!これは委員長命令よ!フン!」

 美緒はぷいっとそっぽを向いて自分の席に戻ってしまった。そして、教室のドアが開き誰かが入ってきたのだがそれを見た瞬間クラスが一瞬静まり返った。なぜなら…。

「杜夫…。」

 真樹は思わず呟いた。杜夫が1週間ぶりに登校してきたからだ。クラスの女子達は、今回の騒動が杜夫への晒し行為が引き金になった事を知っているので気まずそうに黙りこんでしまった。杜夫は少し緊張が見えたものの、自分の席に向かいながら挨拶した。

「お、おはよう。真樹、鬼越。」

「おはよう杜夫。よく戻ってきてくれた。」

「大変だったね、杜夫。もう大丈夫なの。」

「あ、ああ。真樹が励ましてくれたおかげで何とか立ち直れそうだ。」

「そうか。よかった。お前の役に立てて。」

 真樹はそう嬉しそうに呟いた。杜夫が帰ってきたいつもの光景が再び始まろうとしていた。


 翌日の放課後。真樹と杜夫はある場所に向かっていた。

「なぁ、真樹。どこ行くんだよ。」

「まだお前の心にしこりが残ってるみたいだからな。すっきりさせてやるよ。」

 首を傾げる杜夫に真樹はそれだけ言って杜夫を引っ張って行く。杜夫は昨日無事学校に復帰したが、特にこれといったトラブルもなく普通に過ごすことができた。ただ、事情を説明するために真樹共々何度か職員室に呼ばれてはいたが。因みに、真樹がヤクザを利用していたことを立石に「危険すぎる」と注意されたことは言うまでもない。そうこうしている内に二人は目的の場所に到着した。

「ここって…?」

「病院だ。奴らが担ぎ込まれた。」

 真樹の言う通り、今目の前にある病院は真間子達が現在入院している病院だ。病院に担ぎ込まれた直後は3人とも意識を失っていたが、その翌日に意識が回復し、現在は一般病棟に移されたという。若干顔をこわばらせる杜夫をよそに真樹達は病院に入って行き、面会の受付を済ませて3人がいる病室に向かった。

「ここだ。気分は大丈夫か、杜夫?」

「あ、ああ。ちょっと怖いけど、お前の言う通りけじめはつけるわ!」

 そう言って二人は病室に入る。中に入ると真間子と取り巻き達3人がベッドの上にいたのだが、今までの威勢が嘘のように元気をなくしていた。さらに、病室に来た真樹と杜夫を見て3人とも顔を真っ青にした。

「ゆ、湯川…。何でお前が来たんだ?」

「俺の友達を散々な目にあわせたクソ女の末路を拝みに来たんだ。どうだ?自分がまいた種で指を切り落とされた感想は?」

 気落ちしているまま子に、真樹は容赦なくたたみかける。真間子の指はつながったとはいえまだ動かせる状態ではなく、両手をグルグル巻きにされて物が持てない状態である。それを見ていた取り巻き達が真樹を非難し始めた。

「あ、あんたが全部仕込んだの?」

「だったら何?」

「ここまですることないでしょ!私達は撃たれて、乱暴されて…。真間子は指切られてんのよ!」

「お前らが地雷踏んだからだろ?」

 取り巻き二人がかりに攻め立てられても真樹は全く動じない。そして、取り巻き二人の言葉を聞いた真間子は若干異性を取り戻しながら言った。

「よくもやってくれたな湯川。私がどんな痛い目にあったか知らない癖にいい気になりやがって。私だって、公津に対してここまでしなかったのに死ぬ直前まで追い込みやがって…。大体公津がキモいからやった事なのに何で私達がこんな目に遭わなきゃいけねーんだよ!二人とも、キメーんだよ!」

「そうだ、そうだ!」

「お前らが死ねよ!」

 入院中の患者とは思えないほどの暴言の嵐を真樹と杜夫に浴びせる3人。真樹はその様子を見て完全に呆れかえっていた。

「はぁ。まぁ、そんだけ暴言はく元気があるんならお前らの怪我は大したことないみたいだな。じゃあ、俺も容赦しねぇぞ。お前らの怪我が大したこと無くってすぐに治ったとしても、杜夫の心に再起不能なほどの重傷を負わせてんだよ!男心を弄びやがって、恥を知れクソ女ども!」

 本当に容赦のない真樹の発言に3人は一瞬ひるむ。そして、真樹は付け加えるように言った。

「あ、そうだ。言い忘れたけど、怪我治って退院したとしてもお前らにはそれ相応の処分が待ってるから覚悟しろよ。それと杜夫、こいつらに言いたいことがあるなら今の内に言っておけ。」

 真樹は杜夫にそう声をかけた。杜夫は暗い表情をしながらゆっくり前に出てくる。そして、深呼吸した後に今までの鬱憤を晴らすかのように吐き出した。

「ふざけんなよお前ら!キモくて悪かったな!馬鹿にした揚句ネットに晒して俺の居場所奪いやがって!騙されていたとはいえ、お前らみたいな女に心が傾きかけたと思うと恥ずかしいわ!地獄へ落ちろ、3人とも!」

 普段の杜夫からは想像できない、荒々しい言葉に3人は唖然としていた。そして、杜夫はそれだけ言うと病室を出て、真樹もそれに続いた。

「気分は晴れたか?杜夫。」

「ああ、今日は連れてきてくれてありがとう。お陰ですっきりしたわ。」

「これで分かったろ。簡単に女に乗せられるなって。まずは疑え。」

「うん。気を付けるよ。でもやっぱ彼女欲しい!モテたい!もっと女の子の本性を見抜けるようにしなきゃな。」

「…ダメだこりゃ。」

 真樹は呆れつつも、いつもの元気な杜夫が帰ってきたことが分かり安心したのだった。


 事件のその後について。翔真達が逮捕されたことにより、木戸組の恐喝、密輸、麻薬売買など様々な悪事が芋蔓式に発覚。翔真の父親である組長まで逮捕され、木戸組はあっという間に勢力を失い、消滅してしまった。一方の真間子達は、今回の事件の発端である杜夫への晒し行為ニュースで紹介され、掲示板があっという間に炎上。事態を重く見た学校側は、退院後も3人に3ヶ月間の謹慎処分及び大学の指定校推薦枠の取り消しを通達した。かくして、真樹の捨て身の行動により問題児同級生に鉄槌がくだされ、友人を困らせていた暴力団の息子も逮捕に追い込み、組織を壊滅に追い込むことができた。真樹の勇気によって一度に二人が救われたのだった。

こんにちわ。

描きたいことを全部書いたら長くなってしまいました。

ごめんなさい。

ともあれ、杜夫が報われて良かったです。

佳久も迷惑な同級生がいなくなってホッとしているでしょう。

次回から新編です。

今度はどんな強敵が現れるのでしょうか?

お楽しみに!

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