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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode4 告白に御用心
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第51話 真間子は二度振る

こんばんわ!

真間子は翔真と会うことになりましたが、果たしてどうなるのでしょうか?

「よっしゃー、これで真間子ちゃんは俺のものだぜ!」

 そう嬉しそうに叫んだのは翔真である。先程真間子と初めてやり取りをした翔真だったが、水曜日に会う約束ができてすっかり舞い上がっていた。

「会ってくれるってことは脈ありってことでいいんだよな?つまりは俺の大勝利だ、ヤッホー!」

 そう飛び跳ねながら喜んだ翔真だが、当の真間子たちは翔真の態度に不満を示しており、脈ありどころか罠にはめようとしている事など彼は知る由もなかった。これは最初に引っかかった杜夫にも言えたことなのだが。

「なんだ、あの湯川って奴、見るからに根暗陰キャなのに俺にいい出会いくれたじゃんか。恋のキューピットだな、あいつは。」

 元々真樹が翔真に真間子へのアプローチを進めたのだが、これも真樹の作戦の内の一つ。無論、真樹に利用されていることも翔真は舞い上がって全く気付いていない。

「水曜日か。楽しみだな。まあ、ここまで来て俺が振られる事なんて無いから心配する事なんて無いな。」

 翔真は何を根拠にしているのか自信満々だった。杜夫にしろ、翔真にしろ、恋愛への欲求が高まると自分の都合のいいようにしか考えられなくなるようである。


 水曜日。

「ん、電話だ。」

 授業が終わり、野球部の練習に向かおうとしていた真樹は一度トイレに行き電話に出る。相手は佳久であった。

「何だ、佳久?」

「真樹、今日木戸君デートだよ。大丈夫かな?」

「ああ、知ってる。昨日ノリノリでメッセージ送ってきたからな。」

 佳久は翔真がこの日真間子と会うことで真樹に電話してきた。因みに、あのやり取りの後翔真は真樹に報告してきただけでなく、学校でも佳久を含めて多数の同級生に話していたことは言うまでもない。

「なんか、色々と嫌な予感がするんだけどな。」

「気にするな、俺の計画のためにあいつには当て馬になってもらおう。」

「相変わらず容赦ないな、真樹は。」

「屑二人を潰すチャンスだ。遠慮も容赦もいらん。」

「…。分かった。任せるよ。」

「ああ。俺は野球部の練習あるから。じゃあな。」

 そう言って真樹は電話を切り、野球部の練習へと向かった。これから起こる事を想像し、心の中で不敵な笑みを浮かべながら。


 一方こちらは市内の大型ショッピングモール。この時間になると学校帰りの学生などが多く訪れ、この日も例の漏れず多くの若者で賑わっている。因みにここはかつて、慶が真樹に頼まれてユカリを尾行した際に彼女達が訪れた場所でもある。そんなショッピングモールの入り口で翔真はご機嫌な様子で立っていた。

「そろそろだな。早く来ねーかな!」

 そんなことを言いながらうろうろしている。理由は勿論真間子と待ち合わせている為だ。翔真はあの後、このショッピングモールでデートすることを提案し、真間子はこれに同意。こうして翔真は今、ここで真間子が来るのを待っている。自分が利用されていることも知らずにである。まだそれに気付かないまま待つこと10分…。

「あの…翔真さんですか?」

「ん…?おお、君が真間子ちゃんか!」

 真間子がやってきて翔真と合流。普段は粗暴で口が悪い真間子だが、杜夫の時と同様に、最初に会うときは一見礼儀正しそうな感じで猫を被っている。

「そうそう、俺が翔真!いやーようやく会えて嬉しいよ!今日は楽しく過ごそう!」

「はい!私も翔真さんに会えて嬉しいです…とでも言うと思ったか!バーカ!」

 真間子は突如表情を豹変させ、翔真をバカにするような目で見ると同時に暴言を浴びせる。突如本性をむき出しにした真間子に対し、翔真が状況が理解できず唖然としている。そして、物陰にいた取り巻き二人も出てきて、翔真を見ながらクスクスと笑っている。

「あ、あの…真間子ちゃん?!」

「あ?気安く呼んでんじゃねーぞクソが!」

「お前馴れ馴れしいんだよ!」

「キモいんだよ、雑魚ヤンキーの分際で!」

 状況が理解できない翔真をよそに、真間子と取り巻き達は容赦なく暴言を浴びせ始める。そして、ようやく自分の置かれている状況が分かってきた翔真は青筋を立てながら詰め寄ってくる。

「なっ…。何だよいきなり!今までのあのやり取りは何だったんだよ?!」

「そんなの、お前をおびき出す為に猫かぶったに決まってんだろーが!」

「そんなことも分かんないの?本当に馬鹿なんだね!」

「真間子はね、お前みたいな勘違いヤンキーに現実を分からせるために来てあげたの。感謝しなさい!」

 怒る翔真に怯まず、真間子たちは口汚い暴言を浴びせ続ける。その言葉に翔真もついに我慢の限界が来てしまった。そして真間子の胸倉をつかみながらさらに詰め寄る。

「てめぇ、この俺を馬鹿にしやがって!許さねえ!」

「殴れんのか?あ?!そんならお前を暴行罪で訴えてやる!」 

「きゃー、大変ですー!不良高校生が友達を殴ろうとしていますー!」

「みなさーん、このヤンキー捕まえて下さーい!女の子を殴ろうとしているサイテー野郎でーす!」

 怒りに燃える翔真をいいことに、真間子はさらに煽り、取り巻きがわざと騒ぎたてる。翔真は呆れ顔で手を放し、捨て台詞を吐きながらその場を立ち去って行った。

「覚えてろ!このままで済むと思うなクソ女!いつか必ずぶっ殺してやる!」

「やれるもんならやってみろよヤンキーが!口だけのチキン野郎なクセに適当に言ってんじゃねーぞ、あ!?」

「ダッサ、キッモ!お前みたいな奴一生モテないから!」

「バーカバーカ!消えろ、イキリ野郎!」

 売り言葉に買い言葉だが、お互いに悪口を言い合いながらその場ぁら立ち去り、騒ぎは収まった。騒ぎを起こした張本人である真間子たちはというと…。

「あー、面白いわー!まぁ、公津みたいに泣かせることができなかったのは不満だな。」

「でもよかったじゃん!イキりヤンキーの面くらった所見れて!」

「これで、後は湯川をとっちめればすべてが大成功ね!」

 そんなふうにのんきなことを言っているまま子たちだったが、これが地獄への入り口だとまだ気付かないでいた。


 翌日。真樹の学校にて…。

「おお、そうか。そんなふうに振られたか。よし、計画通りだ。」

「ほ、ほんとにやんのか真樹?へたすりゃお前が殺されるぞ。」

「知った事か。俺はあいつらを杜夫と同じ、いや。それ以上に酷い目に会わせられればそれでいい。」

 真樹は休み時間、佳久と電話でやり取りしていた。内容は勿論翔真が昨日真間子から手ひどく振られたことなのだが、これこそ真樹の計画の起点であったのだ。

こんばんわ!

翔真も杜夫と同様悪口言われて振られました。

そして、動きだす真樹の計画の全貌とは…?

次回をお楽しみに!

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