第50話 互いの思惑
こんにちわ!
先週は更新できなくて、すみませんでした。
先週の土曜日の野球部の練習前に真樹は翔真から預かった手紙を真間子の下駄箱に仕掛けることに成功し、週明けの月曜日に真間子はその手紙を発見。真樹は内心真間子が手紙をスルーしてしまうのではないかと不安にかられたが、彼女は真樹を嵌める為のウォーミングアップとして翔真に接触する模様だ。真間子が自らその事をクラスメートたちに話していたことにより、噂は瞬く間に広まった。相変わらず杜夫はまだ学校に来れていないが、真間子を成敗し、杜夫をまた学校に来られるようにするための真樹の作戦は少しずつではあるが着実に進行している。そんな日のある休み時間…。
「よう。害虫湯川君。」
真樹が廊下を歩いていると、イケメン裕也が見下すような表情で話しかけてきた。真樹から裕也に話しかけることはまずないが、裕也から真樹に話しかけることは時々ある。ただし、大抵マウンティング目的であり、今回もやはり例に漏れなかった。
「何だよ?性悪大和田君。」
「言ってくれるじゃねーか。真間子ちゃんがもうすぐお前を追い出すって言うのに随分余裕だな。」
「悪いけど俺はいなくならないよ。何勝手に決めつけてんの?」
真間子は翔真と接触して杜夫の様に心理的に痛めつける作戦の後、真樹の居場所を奪うつもりでいる。真樹の事を目障りだと思っている裕也の中では、真樹が不登校になるビジョンがもう見えているようだった。
「お前、俺に向かってそんな口きいていいと思ってる訳?癌細胞の癖に。」
「俺が癌細胞ならお前は悪魔の手先だ。市川が杜夫にした事は人間として最低レベルな事だぞ。そんなことも分からずに、一緒になって杜夫を嘲笑するなんて、善意の欠片もないんだな、お前の心って。」
真樹が不満なのは、大半の生徒が真間子の行いを肯定的に受け取って杜夫を嘲笑していることだった。この名誉棄損レベルの侮辱は許せる物とは言えないが、杜夫が罠にかかって侮辱され、登校拒否したことを喜んでいる生徒がほとんどである(大半は女子生徒)。そして、裕也の方も先週教室で他の女子生徒達と共に大声で杜夫の事を嘲笑していた。真樹はその時無言で去ったものの、やはり友達をバカにされたことは許せないでいた。
「馬鹿じゃねぇの、お前って。世の中友達の数と異性からの好感度が全てなんだよ。あいつは見た目もキモい、勉強も運動もできない。その癖女には興味津津。他の女の子達があいつを見る度にキモいから嫌って言ってたよ。だから来なくなって喜ぶのは当然だろ。あいつとお前はここに存在しているだけで迷惑なんだよ。」
「お前、言ってること滅茶苦茶だな。病院行って頭の中調べてもらったら?」
真樹は裕也の発言に開いた口がふさがらなくなってきた。どうやら彼の理論としては、モテることが正しく、モテなくて異性から嫌われることが悪ということみたいである。
「そんな必要ねぇよ。俺はいたってマトモだ!お前みたいに異性を嫌い、喧嘩を売る奴方がイカれてる。お前が病院行けよ。」
「ふん。勝手に言ってろよ。最後に勝つのは俺だ!」
真樹はそれだけ言い残してさっさと教室に戻ってしまった。杜夫への侮辱もまだ収まらないが、加えて今は真間子がどのようにして真樹をお手仕入れて学校に居られなくするかを期待する声も上がり始めている。勿論真樹はそんなこと構いなしに作戦を続けるのであった。
放課後。
「真間子ー、早く帰ろう!」
「今行く、待ってろ。」
真間子と取り巻き二人は普段通りに下校した。雑談しながら駅に向かっているのだが、取り巻きの一人があの話題を出す。
「ねえ、真間子?あの翔真とか言う奴とやり取りした?」
「いや、まだだ。」
「じゃあさ、今何か送ってみたら?どんな奴か調べてから痛めつけた方がよくない?」
「うん。そうだな。そうしよう。」
真間子はそう言うとスマホを取り出してトークアプリを起動させ、手紙に書かれた連絡先を検索する。翔真のアカウントを見つけると早速メッセージを送信。そして、すぐに返事が来た。
『初めまして。真間子って言います!お手紙ありがとうございます!』
『ヤッホー、宜しく!俺は翔真ってんだ。連絡くれて嬉しいぜ!』
『突然でびっくりしましたけど、これも何かの縁だと思うんでこれからもお話ししましょうか?』
『分かってんじゃん、真間子ちゃん。ここでトークもいいけど、もし時間取れるなら直接会って遊んだりしたいなー。』
『うふふ、翔真さんて面白いですね。そうですねー。水曜日の放課後とかどうですか?』
『お、いいよー!俺も暇だし!時間と場所は後で送るから、もし何かあったら教えてね!じゃぁ♡あ、それと俺の顔写真送るから記念にもらっといて♡』
翔真はメッセージの後自分の顔写真を真間子に送った。そこには、恐らく自撮りしたであろう翔真がキメ顔で映っていた。
やり取りと終えた真間子はというと…。
「うぜぇ。なんか上から目線でムカつく。」
「写真もチャラそうで無理ね!」
「でもいいんじゃない。真間子に盛大に振られて思い知らせてやろうよ。」
真間子たちは尊大な翔真の態度を受け入れられなかったようだ。こうして、真樹抹殺の前夜祭として翔真を罠にはめようと決めた真間子だったが、この時彼女はこの選択が愚かであった事に気づいていなかった。
こんばんわ。
先週は諸事情で更新できませんでした。
さあ、真間子と翔真がやり取りしましたが、事態はどう向かうのか?
次回をお楽しみに!




