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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode4 告白に御用心
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第46話 やまぬ騒ぎ

こんにちわ。

家庭訪問した真樹。

果たして、彼に秘策はあるのか?

 杜夫が心配になった真樹は、放課後家に直帰せず公津家にお見舞いに行った。杜夫は学校どころではないほど落ち込んでいたが、真樹の話に耳を傾けてくれた。そして、そんな杜夫から事件の全てを聞いた真樹は案の定怒りが爆発。杜夫の代わりに真間子へ仕返しすることを誓った。翌日、杜夫が晒されたことはまだ女子生徒の間で笑いのネタにされており、ほとぼりが冷める気配はなさそうだ。それどころか、真間子は女子達の間で『キモ男を追放した英雄』とまで讃えられている有様だった。一方、数少ない男子生徒達の反応は真っ二つに分かれていた。いわゆる地味な男子達や真樹と仲がいい野球部の面々は男心を弄んで許せないと思っている反面、裕也を中心とした女子と仲がいいイケてる男子陣は杜夫に関して『ざまあみろ』と思っており、女子達と一緒に杜夫を嘲笑して楽しんでいた。

 そして、杜夫はこの日も欠席している(真樹が休めと言ったのもあるが…)。校内の雰囲気がそんな状態になっている中、ある休み時間中に真樹は慶と話している所に声を掛けられた。

「ねえ、湯川君。ちょっといい?」

 話しかけてきたのは学級委員長の美緒だった。彼女は他の女子が揃って杜夫を嘲笑する中、担任の立石と共に犯人である真間子に注意しに行っていた。

「いいけど何?」

「ここじゃ話しづらいから、廊下に来て。」

「早めにしてくれよ。貴重な休み時間無駄にしたくないから。杜夫か…?」

「ええ、そうよ。とにかく来て。」

「あ、待ってよ。僕も詳しく聞きたいから同席していい?菅野さん。」

「勿論よ。」

 相変わらず美緒に嫌みを言う真樹だったが、美緒は気にせず真樹、慶と共に廊下の人気のない所に出た。そして、誰もいない階段の踊り場まで来ると、美緒はあの話題を切り出した。

「さっき鬼越さんから聞いたんだけど、昨日公津君の家にお見舞いに行ったんだって?」

「ああ。行ったよ。」

「どうだったの?杜夫、大丈夫だった?僕心配だよ。」

 美緒の質問に答える真樹に対し、慶も心配そうに尋ねた。普段なら真樹と慶は登校時一緒にいることが多いので、登校中に話す事も出来たのだが、この日慶は寝坊して1本後の電車に乗ったので(始業時間にはギリギリ間に合い、遅刻はしていない)まだ真樹から詳しい話を聞いていない。真樹は表情を暗くしながら昨日の事を話し始めた。

「杜夫は、まぁ…落ち込んでるよ。初恋をこんな形で打ち砕かれちゃぁ、無理はない。市川の野郎は、SNSの裏アカウントを使ってユキという架空の女になり済まして杜夫をその気にさせ、ニュータウンの駅へ杜夫を誘い出し、引っかかった杜夫を大衆の面前で散々バカにしてその様子をネットにアップした。まとめて言うと、事件の真相はこんな感じだ。」

 真樹から話を聞いた美緒と慶は言葉を失った。いくら嫌いな相手でも、そこまで執拗に陥れようとする心理が理解できないでいた。

「なんてこと…。」

「どうしてそこまで…。」

「俺も理解できん。ただ一つ分かってるのは、市川は自分が邪魔だと思った奴を排除するために手段を選ばないということだ。そして、杜夫の次のターゲットは俺だ。」

 真樹は自分を指さしながらそう二人に言った。美緒と立石が真間子に注意しに行っていた時、真間子は同じく問い詰めようと訪れた真樹に対してそう言い放ったのだった。

「確かに市川さん、そう言ってた。まさか真樹…真っ向から挑むつもり?」

「勿論だ。このままじゃ、杜夫が報われない。」

「やめなよ真樹、相手にすることないよ。市川さんと関わるとロクなことないよ。」

 心配そうに説得する慶。慶の気持ちとしては、真樹が痛めつけられるような所を見たくないというものだった。しかし、真樹は微笑みながら言った。

「安心しろ、オニィ。俺があんな奴にやられると思うか?」

「そりゃぁ、思ってないけど…。」

 慶は心配する一方で、真樹が簡単にやられるような人じゃないことは頭では分かっていたものの、それでも不安はぬぐえない。そんな中、美緒も質問する。

「何か手があるの?市川さんを黙らせる方法が?」

「ああ。もう完膚なきまでに叩きのめしてやる。これ以上放置して、第2第3の被害者は出させない。」

 美緒の質問に対し、真樹は自信満々にそう答えた。そんな様子の真樹を見て、慶と美緒は不安をぬぐいきれないでいたが、優しく声をかける。

「まぁ、真樹がそう言うんだったら僕は信じるよ。でも、無理はしないでね!何かあったらいつでも僕に相談して!」

「そこまで言うなら、私も湯川君を信じるわ。だけど、決してバカなことはしないことよ!」

 信じると同時に注意を促した慶と美緒に対し、真樹は静かに頷いた。そして、休み時間も終わり、3人は教室に戻って行ったのだった。


 放課後。

「おーい、真樹!帰ろうぜ!」

「分かった。今いくから待ってろ。」

 授業が終わり、荷物をまとめている真樹に教室の外から同じ野球部員の伸治と武司が声をかける。この日は火曜日なので野球部の練習は無い。真樹は荷物を持って慶と共に教室を出た。校舎の外を出ると、伸治があの話題を切り出す。

「そーいえば真樹、杜夫のやつ大丈夫なのかよ?」

 やはり杜夫の事は心配の様だった。真樹は険しい表情で伸治に応える。

「ありゃぁ、重症だな。完全にへこんでる。」

「だよねぇ…。」

 伸治は申し訳なさそうにそう言った。そして、武司の方も深刻な顔で言う。

「女子って怖いわ。特に今回は市川の恐ろしさがよーく分かったよ。」

「あんなひどいことするなんて、同じ女として恥ずかしい!市川さんはおかしいよ!」

 慶もすっかり怒り心頭になっていた。各人それぞれの思いを口にする中、真樹は自信気に言った。

「ああ。あいつはおかしい。だが、あいつがでかい顔できるのも今週いっぱいだ。俺が杜夫の代わりに仕返しをしてやる。」

 そう言った真樹に対し、伸治と武司が驚いたのは無理もない。

「マジで?何か手があるのか?」

「どうするつもりだよ真樹?」

 疑問を抱く足りに対し、真樹ははっきり出は無いが復讐宣言をした。

「まぁ、見てろ。目には目を、歯には歯をだ!あいつには杜夫と同じ…いや、それ以上に痛い目合わせてやる。」

 そんな真樹を見て、慶は心配しつつも真樹を応援する事にした。

「とりあえず、真樹に任せようよ二人共。でも真樹!もしやばくなったら僕も助けに行くからね!ぜーったい、無理しないで!」

「分かってるさ。」

 そんな分に話しながら4人は駅に着き、一人だけ方向が違う真樹は3人とは別の列車に乗った。そして、最寄り駅である佐倉駅に到着した所でどこかに電話をかけた。

「もしもし、俺だ。ちょっと相談に乗ってもらいたいんだが…。」

 この電話が、真樹の計画の始まりとなり、後の大騒動に繋がるのであった。

こんにちわ。

真樹は一体、どんな手を使ってくるのでしょうか?

次回をお楽しみに!

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