第44話 真樹の家庭訪問
こんにちわ。
先週は更新できなくて、すみませんでした。
真樹の嫌な予感は見事に的中してしまった。杜夫に宛てられた手紙はラブレターでも何でもなく、C組の女子生徒である市川真間子が仕組んだ罠であった。先週から真樹は杜夫に何度も罠であると忠告したが、杜夫の彼女が欲しいという欲望が暴走。真樹の制止を振り切ってしまい、まんまと嵌められてしまったのだった。真樹はもっと必死で止めればよかったと悔やんだが、時すでに遅し。デートだと思ってノコノコと出てきて、駅で待ちぼうける杜夫の写真や、ユキとの恋人まがいのやり取りのスクリーンショットがネット掲示板に拡散され、噂は学校中に広まってしまった。真樹は犯人が真間子であることに気付いており、問い詰めに行こうとしたものの、既に美緒と立石が先に来て注意していた。ただ、肝心の真間子は二人からの注意に対して反省どころか喧嘩を売る始末、そして次は真樹の居場所を奪うと宣戦布告までした。そして、宣戦布告を受けた真樹はそのまま一緒に来ていた慶と共に教室に戻ろうとしていた。すると、B組の教室の前を通った時…。
「ハハハハハ、マジでダせー、ウケるー!」
聞き覚えのある大きな笑い声が聞こえて見ると思って二人は教室を覗く。教室内では、サッカー部のイケメン男子、裕也が机の上に座り、大勢の女子生徒に囲まれながら大笑いしていた。会話の内容は、勿論晒された杜夫の事である。
「陰キャ野郎があのメッセージ本気にしてやんの!自分に青春来たとか、マジで馬鹿だアイツ!」
「ホント、マジであり得ないよね!」
「公津キモっ!真間子が晒してくれて最高ね!」
「あいつに好かれるとか、死ぬよりいやよ!マジで吐くわ!」
裕也と一緒に周りの女子生徒達も杜夫が来ていないことをいいことに言いたい放題、散々な侮辱っぷりだった。裕也からの嘲笑は尚も止まらない。
「よかったー、俺は陰キャ不細工に生まれなくて。お陰で女の子達に仲よくして貰えるし、あんな罠仕掛けられて引っかかることも無かったからな。やっぱ若いうちはモテ努力と経験、これに尽きる。だから俺は今、最高に青春を楽しめてるぜ!」
「うち、男子少ないけど裕也君だけいれば十分ね!」
「公津はキモいからいらない。湯川は存在そのものがいらない。」
「うん。あの二人は今すぐ死ぬべき。同じ男として恥ずかしいよ。」
杜夫を散々侮辱した揚句、直接関係ない真樹の名前まで出して人格否定した裕也。真樹は廊下でこっそり聞いていたが、特に何もすることなく黙って教室に戻って行った。隣にいた慶もイライラを隠せないでいた。
「もう!何なのみんな?!地味で人気者じゃないって理由だけでネットに晒して侮辱するなんて!しかも、やられる方が悪いって色々あり得ないよね!」
「ああ。だから、俺はもう許さないって決めた。」
プリプリと怒りっぱなしの慶に対し、真樹は冷静に答える。だが、その真樹の言葉からは秘められた怒りのオーラが漂っているようにも見えた。その後、二人は教室に戻り、いつもの様に授業を受けたが、休み時間での杜夫に対する嘲笑は止むことは無かった。
放課後。
「あいつが心配だ。俺、見舞いに行ってくるわ。」
「僕は今日練習あるから一緒に行けなくてごめん。杜夫に会えたら宜しく言っといて。」
「ああ、任せろ。」
授業を終えた真樹と慶はそんな会話をしていた。慶はそのまま部活へ向かい、真樹は早足気味で学校を出る。駅へ向かい、普段の帰り路とは反対方向の電車に乗り、杜夫の家の最寄り駅へ向かって下車。その後、歩いて杜夫の自宅まで来た。何度か杜夫の家に遊びに行ったことがあるので何も見なくてもたどり着くことができる。
「出てくれるかな。」
そう心配しながらインターホンを押す真樹。するとしばらくしてドアが開き、杜夫の母親が出てきた。
「はーい、あら湯川君。」
「突然お邪魔します。杜夫君はいますか?」
真樹がそう聞くと、杜夫の母親は深刻そうな表情を浮かべて答えた。
「うん。ずーっと閉じこもって出て来ないけど…返事もしてくれないし。」
「もしよろしければ、会わせてもらえないでしょうか。」
「いいわよ。さあ、上がって。」
招かれた真樹はそのまま玄関へ上がり、杜夫の母親に導かれて二階にある杜夫の部屋に来る。そして、杜夫の母親はドアをやや乱暴に叩きながら中にいる杜夫に声をかけた。
「杜夫、湯川君来たわよ!いい加減返事してドアを開けなさい。」
母親が必死で呼び掛けるも、部屋の中からは全く応答が無い。どうやら今日一日部屋に引きこもって出てきていないようだ。
「杜夫、返事しなさい!杜夫!」
母親は呼び続けたが、目の前のドアは開くことは無く、中から声も聞こえない。母親は少し溜息をつきながら、真樹に頭を下げる。
「ごめんね、湯川君。せっかく来てくれたのに。昨日朝早く出かけたと思ったらとすぐ帰ってきて、『体調悪い』って言って部屋に入ったっきり出てきてくれないの。ご飯も食べてくれないし。」
悲しそうな表情で真樹に謝る杜夫の母。真樹は杜夫の心のダメージが予想以上に深刻だと悟り、少し考えてから杜夫の母に言う。
「おばさん。ここは一度、俺に任せてくれませんか?二人だけで話させてください。」
「…。分かったわ。なんか、本当にごめんなさいね。」
杜夫の母は申し訳なさそうにそう言い残して、1階に下りて行った。そして、真樹はそのままドアの前に座り込み、中にいる杜夫に向かって語りかける。
「杜夫、いるんだろ?出てきてくれよ。」
真樹が言うも、やはり部屋の中からは応答が無い。真樹は溜め息をつきつつ、無言のドアの前で話し続けた。
「だから言ったろ。心当たりない手紙の誘いなんかに乗るなって。言っちゃ悪いが、お前みたいにモテないけど彼女が欲しいって奴ほど、ああいう罠に嵌められ易いんだ。思春期のモテたいって言う男心を利用してな。」
真樹はただ慰めるのではなく、杜夫にとって結構痛い所を突いてきた。杜夫の事を思って忠告したのに、当の本人が少しも耳を傾けてくれなかったことへの憤りもあったのだろう。尚も真樹は続ける。
「本当は体調だって悪くないんだろ?恋心を弄ばれたショックで学校どころじゃなくなった…そうだろ?」
会話だけ聞けば、真樹の言い分は傷口に塩を塗るように聞こえるかもしれない。ただ、真樹も幼少期の女子からのいじめで不登校寸前まで追い込まれたことがあるので、杜夫の気持ちは痛いほど分かっていた。
「安心しろ。市川の奴は絶対に許さないし、あのまま野放しになんてさせない。地獄の底まで叩き落としてやるからよ。」
真樹はそのように真間子に対する復讐宣言をした。すると、何か心に届く者があったのか、ドアが開き、杜夫が出てきた。
「真樹…。」
出てきた杜夫はすっかり元気が無くなり、ただでさえ色白な顔がさらに青白くなっていた。ショックで泣き腫らしていたのか、目も少し充血している。真樹は杜夫が出てきたことが嬉しかったのか微笑みながら杜夫に声をかける。
「話してくれ、昨日何があったのかを。」
真樹がそう言うと、杜夫は部屋の中に招く。杜夫は元気がなさそうにベッドに座り、真樹は床に座った。そして、真樹が杜夫の口から聞いた新実に対し、更なる怒りを覚えることになるのだった。
こんにちわ。
杜夫君、やはりショックだったみたいです。
真樹はどう解決するのか?
次回をお楽しみに!




