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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode3 恐怖の体育祭
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第37話 試練を乗り切って

こんにちわ。

7月初投稿です!

 体育祭から一夜明けた翌日。この日は休日だったので、真樹は慶、杜夫と共に南船橋にある大型ショッピングモールへと出かけていた。真樹が遊びに行くときは大体この面々か、野球部のチームメートと行動を共にすることが多い。

「はぁ、ようやく面倒なことが終わった。今度こそ少しは落ち着いた生活ができるかな?」

 そう疲れが混じったような声で呟いたのは真樹だった。何せ、彼はただ競技に参加していただけではなく、実行委員の女子生徒による悪質な罠を回避し、成敗するために色々行動を起こしていたので、余計な疲れもたまっていた。

「僕はちょっと寂しいかな?でも、リレーでいい走りができたのはすごい満足だね!一生語れそうだよ!」

 満面の笑みで慶がそう言った。体育祭の予行演習の時点で気合いっぱいだった慶は、本番でも大活躍だった。誰が見ても、心から体育祭を楽しんでいたと言ってもいいだろう。一方、杜夫の方は思ったほど元気が無く、少し悔いがあるような表情だった。

「ふぅ。いいよなぁ、二人は。目標達成できて。俺なんか、徒競争でビリになるわ、その後も大して活躍できないわ、女の子から声掛けられず、結局彼女作ることも出来なかったからな。こんなはずじゃなかったのに。」

 杜夫は体育祭でいい所を見せて女子からモテモテになり、その後人生発彼女を作ると体育祭開幕前から豪語していた。しかし、元々運動音痴な杜夫がいきなり大活躍できるような場面は無く、結局計画は失敗に終わってしまったのだった。

「気にするな杜夫。大恥晒した訳じゃないんだぞ。」

「そうだよ。せっかくの休みなんだし、いっぱい遊ぼう!ストレス発散は大事だよ!」

 真樹と慶に慰められた杜夫は、「うん、そうだな。」とだけ言い、少し笑顔が戻った。その後3人はまず、慶が行きたがっていたスポーツ用品コーナー(真樹も見たいものがあったので喜んでいた)に行き、運動部の二人はそれぞれ必要な用具を購入。次に杜夫が行きたがっていた家電コーナーへ行き、しばらく物色した後、杜夫がスペアのレンズを購入した。そして、色々見ている内に時刻は正午になっていた。

「そろそろ昼にしよう。早く行かないと混むぞ。」

「オッケー!」

「賛成、腹減った。」

 真樹の提案に慶と杜夫も賛同し、早速3人はフードコートへ向かった。しばらく見回った後、一番好いていた長崎ちゃんぽんの店に入店し、それぞれ好きなものを注文した。

「うーん。美味しい、美味しい!やっぱ走った次の日ってお腹が減るよねー!」

 これ以上に無い位幸せそうに微笑みながら、慶は特盛のちゃんぽんを口に運んでいた。彼女はかなりの大食いで、外食した際は必ず一番量が多い物を頼む。

「本当に美味そうに食べるな、オニィは。グルメレポーターやったら視聴率取れるんじゃないか?」

 皿うどん(大盛)を食べながら真樹は冗談交じりにそう言った。すると、まぜ麺を食べていた杜夫が何かを思い出したように真樹に言った。

「そう言えば、真樹。お前、大変だったな。ブーイング以外にもあんな目にあってたなんて。」

 真樹は体育祭の間、ずっと学校の女子生徒から口汚いブーイングを浴びせられ、見に来ていた父兄たちを驚かせていたが、それ以外にも実行委員による卑劣な罠を仕掛けられていた。しかし、持ち前の危険予知能力で全て回避しただけでなく、菅野美緒の援護もあって見事彼女達に制裁を加えることができた。

「なーに。大したことないさ。正直あいつらが俺が参加するってわかって何もしてこない筈が無いし。まぁ、思ったより仕掛けるトラップのレベルが低くて助かったぜ。」

 真樹は得意げにそう言った。しかし、彼女たちの行いは決して許されるものではなく、慶は怒り心頭で文句を言う。

「でも、いくら何でもやり過ぎだよ!コーラに下剤仕掛けたり、大縄の持ち手に危ない液体染み込ませてやけどさせようとしたり。完全に傷害罪!逮捕されたっておかしくないよ!」

 不満たらたらにそう漏らす慶。一方の真樹は済んだ事だとばかりにかなり冷静な様子で怒る慶と杜夫を宥める。

「まあ、明日になればあいつらにはそれ相応の処分が下されるのは間違いないっしょ!でも馬鹿だなぁ。俺を罠にはめようとするなんて!経験豊富な俺を陥れようなんて1億年早いっての!」

「でも、先読みして口に脱脂綿詰めたり、透明なゴム手袋持ってくるなんて普通できないぞ。超能力でも身についてるんじゃないか?」

「真樹がどんな経験をしたのか…僕は恐ろしくてちょっと聞きづらいよ。」

 驚く杜夫と慶を隣に、真樹はしてやったりの表情で言い放った。その後、3人は昼食を食べ終えた後にゲームセンターで遊び、楽しい休日を過ごせたのだった。


 翌日。休みが終わり、大谷津学院にいつもの光景が戻ってきた。そして、真樹に卑劣な罠を張った1年体育祭実行委員の女子4人の処分が決定した。本来なら傷害未遂で告発されてもおかしくないのだが、真樹が脱脂綿やゴム手袋を使った影響で身体的な被害が無かったことと、真樹自身4人の悪行を暴けただけでも十分だと思っており、被害届は出さず、最終的な処分は学校側に任せようと思っていた。今回、4人の実行委員は立場を乱用して特定の生徒を危険な目に合わせようとしたことにより、まず体育祭実行委員からは除籍。そして、来年度の体育祭の参加も禁じられた。更に、学校への危険物の持ち込み、それを用いた意図的な傷害の企てもあって2週間の停学処分だけでなく、3年時に与えられるはずだった大学への指定校推薦枠も剥奪されてしまった。勿論、実行委員の4人はこの処分を不服とし、容疑も否認したが美緒の証言、そして真樹がこっそり録音した会話内容が決定打となり、覆ることは無かった。こうして、真樹は卑劣な罠を仕掛けた体育祭実行委員から見事勝利することができたのだった。そんな日の午後の授業でのこと。国語の授業が終わった後に、立石が真樹を呼び出した。

「湯川君。」

「何ですか?」

「申し訳ないけど、一緒に職員室来て。」

「???」

 真樹は何で呼び出されたか分からず、首をかしげながら職員室に入った。立石は椅子に座ると、頭を下げながら真樹に謝ってきた。

「湯川君。本当にごめんなさい。ブーイングだけでも辛かったはずなのにまさか裏であんなことされていたなんて。正直私は担任として、気付けなかったことが情けないわ。」

「いいんですよ。こっちも脱脂綿とゴム手袋持ってきたおかげ物理的な被害は無いですから。」

「でも、本当に被害届出さなくていいの?」

「いいんですよ。逮捕される様を見届けるのもおもしろそうでしたけどね。でも、この俺を罠にはめた代償として気まずいまま飼殺される様を見届けるのもスカッとします。」

「そう…。分かったわ。私も頼りない担任かもしれないけど、できる限りあなたの力になりたいの。一人で抱え込まず、相談できることがあったら話して欲しいわ。」

「分かりました。でもまぁ、大丈夫ですよ。慣れっこですから。」

 真樹はそれだけ言うと、職員室から出て行った。教室に戻ろうとすると、今度は別の人物に呼び止められた。

「湯川君。」

 真樹が無言で振り向くと、そこには自分のクラスの学級委員長である美緒が立っていた。真樹は何で呼びとめられたか分からなかったが、取り合えず生返事を返す。

「何か用?」

「何よ。相変わらず不愛想な態度しちゃって。用があるから声掛けたんでしょ。」

「文句ならよそで言え。」

 真樹は不満げにそう返す。美緒もその真樹の態度に苛立ちはあったが、ここではそれをぐっと噛み締めて続けた。

「大変だったわね。私もいくら何でもやり過ぎだと思ったし、今回の処分もまだ生温いって思ってるわ。…女嫌いは否定しないけど、あんまり女の子が嫌がること言うんじゃないわよ。これ以上暴徒化したらもう誰もあなたをかばいきれないわ。」

 美緒はそれだけ言うと、立ち去って行った。美緒の忠告自体は真樹の耳には届いている。しかし、真樹は今まで様々な人から迫害され続けたり、裏切られたりばかりの人生だったこともあり、基本的に自分以外の人間を信用していない。今回のように、自分の身を守れるのは最終的に自分だけである、と心の中でそう思い、真樹は教室に戻って行った。

こんにちわ!

実行委員には勿論処分を受けてもらいました!

次回から、また新たな敵が現れます!

真樹はたはしてどう立ち向かうのか?

お楽しみに!

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